皇太子殿下 メキシコご訪問時のおことば(仮訳)

メキシコ

平成18年3月16日 (木)
第4回世界水フォーラム開会式(メキシコ市)における皇太子殿下のおことば

世界各国からの多くの参加者と共に,ここメキシコ市において開催される第4回世界水フォーラムに出席できることをうれしく思います。

私は,3年前に日本において開催された第3回世界水フォーラムに名誉総裁として参加しました。このフォーラムでは,政府や国際機関の代表のみならずNGOなどを含む多くの参加者が集まって論議が行われ,具体的な多くの行動が約束され,世界の水問題に対する関心の高まりに大きく貢献できたと思っています。私自身も世界で起こっている様々な水問題についての理解を深めることができました。

その後,国連「水と衛生に関する諮問委員会」の設立や,「国際『生命のための水』10年」の発足など世界的な取組に加え,アフリカでアフリカ水閣僚会議が活動を強め,またアジア太平洋地域では,アジア・太平洋水フォーラム構想が動き出すなど,世界の各地で熱心な活動が展開されていることを喜んでいます。

しかしながら,ミレニアム開発目標にも挙げられている「水供給と衛生」問題の解決に向けて,世界の多くの人たちの努力が続けられてはいるものの,いまだに顕著な改善は見られていないと言わざるを得ません。また,インド洋津波,あるいは大型ハリケーンや台風による被害など多くの水関係の災害が発生しており,これに対する取組も急務となっています。

第4回世界水フォーラムでは,「ローカルアクション」がキーワードとされていますが,これは行動を重んじた第3回世界水フォーラムからの流れを更に加速したものであり,これを歓迎するとともに,それぞれの地域の問題の改善が進んでいくことを願っています。

メキシコの地域では,早くからマヤ文明などの高度な文明が繁栄してきましたが,現在メキシコ合衆国では,南北で大きく異なる水問題を克服するために,中央と地方が力を合わせて協力されていると伺っています。

昨年開催された2005年日本国際博覧会に,メキシコ合衆国政府が出展したパビリオンは,水と自然と文明のつながりを表現した見事なものであり,このパビリオンは博覧会の実施した審査会において,「自然の叡智(えいち)賞」を受賞しました。この機会にメキシコ政府と国民に敬意を表します。

メキシコ合衆国政府の招聘(へい)により開催されたこのフォーラムが,世界の水問題の解決に向けた大きな一歩となることを心から願い,私のあいさつといたします。