皇太子殿下 トルコご旅行を終えて

皇太子殿下のご感想

(平成21年3月19日)
トルコご旅行を終えて

この度,第5回世界水フォーラムに出席するため,初めてトルコ国イスタンブール市を訪れました。まずは,各国からの参加者に対し,すばらしい夕食会を催してくださるなど心温まるおもてなしを頂いたギュル大統領,そして,イスタンブールにご招待くださったエルドアン首相に深く感謝の意を表したいと思います。

また,エロール環境・森林大臣を始めとするトルコ国政府の方々,ギュレル・イスタンブール県知事を始めとする地方政府の方々,そして地元のトルコ国民の皆様や在留邦人の方々にも温かい歓迎をいただいたことを心よりうれしく思っております。

今回の訪問により,イスタンブールが古くからの交通の要衝であり,東西の文化交流の結節点であったことを肌で実感することができました。市内各地に残る歴史の跡や貴重な文化遺産に触れ,その奥深さと魅力に深い感銘を受けると同時に,各時代を生きた人々の息吹に想像をめぐらせたことも,楽しいひとときでした。

今回の世界水フォーラムにおいても,出席者の皆さんの熱のこもった活発な議論を伺い,人類が抱える水問題がますます多様で深刻なものとなっていることを実感するとともに,その解決に向けて世界の各地域,各分野の皆さんが日々努力を重ねておられることを改めて深く認識しました。世界子ども水フォーラムでは,自分たちに身近な水問題に熱心に取り組み,また,お互いの国を理解しようとする子どもたちの姿を見て,とてもうれしく思いました。さらに,今回も,各国から参加した皆さんの前で講演をさせていただいたことは,その準備に当たって「人と水」のかかわりについて様々な考えをめぐらせたことと合わせ,大変有意義な経験となりました。私は,皇族という立場からも,国連「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁の立場からも,できることには限りがあると思いますが,今後とも,可能な範囲で,世界の皆さんの水に関する取組の推進に貢献していきたいと考えています。

今回のイスタンブール訪問は非公式の旅行ではありましたが,私の訪問がトルコと日本両国の相互理解の進展と友好親善の増進のために少しでもお役に立つのであれば幸いです。