主な式典におけるおことば(平成25年)

皇太子殿下のおことば(仮訳)

第5回国際デザイン学会連合国際会議開会式
平成25年8月27日(火)(芝浦工業大学豊洲キャンパス)

本日,第5回国際デザイン学会連合国際会議開会式に41の国と地域から参加された多くの研究者の皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

本年は主催者の日本デザイン学会が創立されて60年目であり,この記念すべき年に,日本感性工学会と協力して,「デザインにおける知の統合と革新」をテーマに議論が深められることは,大変意義深いことと考えます。

デザインは,製品・環境・サービスなどに必要とされる機能や要求を整理・統合し,それらをまとまりを持ちつつ経済的で効率的,かつ心地よいものにする,あるいは美しい形にまとめ上げる行為です。しかし,そのためには人文,社会,自然科学の知を統合して,生活の質の改善を探るデザイン学の研究が必要であり,殊に感性に着目し,価値の創造を目指す感性工学との協働は重要だと聞いています。また,こうした取組により,リサイクルしやすい製品のデザインや,文化,言語,年齢,性別,障害や能力の如何(いかん)を問わず,全ての人にとって使いやすく快適な施設,製品,情報のデザインが増えていくことなどを通じ,多様な人々の生活の質の向上に皆さんが尽力しておられることに深く敬意を表します。

現在,社会は科学技術の発展などを受け,大きく変化しています。こうした中で,世界が環境問題や高齢社会などの複合的な課題を新たなサービスの創出と質の向上などを通じて克服していくために,デザイン学の役割は今後より重要となります。今回の会議が実りある成果をあげ,世界のデザインの発展を通じ,人類の幸福に寄与することを願い,私の挨拶といたします。

国際青年育成交流事業第20回記念式典
平成25年9月26日(木)(ホテルニューオータニ)

国際青年育成交流事業が20回目の節目を迎え,ここに,皆さんと共にお祝いすることができることを喜ばしく思います。また,長きにわたり,事業を様々な面から支えてこられた関係者のたゆみない努力に対し,皇太子妃と共に深く敬意を表します。

国際青年育成交流事業は,20年間の歴史を通じ,青年の相互理解と友好関係の促進や国際性豊かな有為な人材の育成に大きな成果を挙げてきました。

情報通信技術が高度に発達し,遠くの国の人々とも容易に会話できるようになった今日にあっても,異なる国の人々が,多様な文化や価値観を尊重し合いながら,お互いの間に信頼関係を築くためには,直接顔を合わせ,言葉を交わすことが何よりも効果的な方法です。

私自身,これまで何度か,参加青年による討論の様子を間近で見てきましたが,いずれの年の討論も大変熱の籠もった,前向きな議論であったと記憶しています。

ここに一堂に会した今年の参加青年の皆さんには,様々な課題について真摯に学び,率直に議論を交わし,お互いに切磋琢磨(せつさたくま)しながら,国を越えた友情を育んでほしいと思います。

多くの分野で国際化が進展する中で,未来を担う青年の皆さんには,世界中の人々と協力し,共に取り組むことが期待されています。是非,若々しい力を発揮して様々な分野で活躍してください。

国々の間の相互理解と友好がますます深まるとともに,国際青年育成交流事業が一層発展することを願い,私の挨拶といたします。

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