主な式典におけるおことば(平成11年)

皇太子妃殿下のおことば

商工会議所婦人会創立50周年記念式典
平成11年4月8日 (木)(ホテルニューオータニ)

商工会議所婦人会が,創立50周年を迎え,本日,外国からのお客様もお迎えして皆様方とお祝いできますことを,うれしく存じます。

商工会議所婦人会が創立されました昭和24年は,戦後まだ間もない,食糧の十分な確保も難しく,物資の乏しい時代でしたが,このような時期に,女性経営者の方々が力を合わせ,苦境の中から経済再建を目指して活動を始められましたことは,大変意義深いことであったと思います。

その時以来,今日までの半世紀に及ぶ活動を通じ,商工会議所婦人会は,女性経営者の育成に力を注がれ,我が国の経済発展並びに女性の社会的地位の向上に貢献してこられました。皆様方の中には,女性の経営者として,例えばお仕事と御家庭の両立において,あるいはその他の面でも様々な御苦労を乗り越えつつ,社会に新しい灯をともしてこられた方が多くおいでのことと思います。

また,経営者としての社会的責任を感じられた皆様が,雲仙普賢岳の噴火,阪神・淡路大震災などの災害に対する義援金や,長年にわたる共同募金への寄附などを通じ奉仕活動に熱心に取り組んでこられたほか,最近では環境問題,福祉問題についても積極的に行動しておられると伺っております。皆様方が,経営者としての幅広い見識の上に立ち,また,女性としての視点をいかして,こうした活動に携わってこられたことに感謝いたしますとともに,婦人会が過去半世紀にわたり,様々な分野で達成された功績に改めて敬意を表したいと思います。

商工会議所婦人会は創設以来,海外の女性経営者団体との交流を積極的に図ってこられたと伺っております。今日,経済の動きは,国境を越えて連動する国際化の時代になり,また,我が国の社会も様々な面で大きな変化の中にありますが,このような時代にあって,世界の女性経営者の方々と共に将来への新しい展望を持ってお互いに連携し合い,希望に満ちた21世紀の経済社会の創出を目指していかれることは大きな意味を持つことと思います。

これからも商工会議所婦人会が,豊かな経験を生かして,更に活動を広められ,我が国にとどまらず広く国際社会の発展のためにも貢献されることを願い,ごあいさつとたします

更生保護制度施行50周年記念第36回“全国更正保護婦人の集い”
平成11年6月9日 (水)(東京国際フォーラム)

本日,更生保護制度施行50周年を記念して開催されました,「全国更生保護婦人の集い」に,全国各地で活動されている皆様方と共に出席できることを,大変うれしく存じます。

更生保護婦人会の活動は,戦後間もなく,混迷する社会の中で,迷い,傷ついた子供たちを見過ごすことができず,その健やかな成長を願って手を差し伸べられた,心ある女性たちによって始められたと伺っております。以来,ボランティア活動の先駆的存在として,人と人とが互いに支え合って生きていくことの大切さを胸に,長年にわたり心を砕いてこられた皆様の努力は大変尊いものと思います。社会の中で,過ちに陥った人や子供たちが,本人の自覚と努力とともに,周囲の協力によって立ち直り,立派に社会に復帰することができることは大切なことだと思います。更生保護婦人会は,過ちから立ち直ろうとする人たちが,一人一人の人間として尊重され,生きていく上での心の糧を見いだせるようになるための手助けを地道に続けてこられました。皆様の,母としての,あるいは姉としての,温かい人間愛に満ちた行為は,困難な道のりをたどりながら更正へ向かって努力しようとする人々にとって,どれほど大きな心の支えとなってきたことかと思います。

今日,大きく変わりつつある社会の様々な側面が,子供たちの心に影を落とし,とりわけ,多感な年ごろの少年を取り巻く問題の中には深く憂慮されるものも少なくありません。このような中にあって,皆様は,子供たちが健やかに育つための環境として,地域社会の結び付きの大切さを改めて深く心に留められ,人と人との触れ合いを実感しつつ生きることのできる社会をつくり上げていくための新しい取組を始められたと伺います。

現在,この婦人会の活動に,20万人余りもの女性が全国各地で携わっておられることを心強く思いますとともに,時には様々な困難に直面しつつもこの活動を進めてこられた皆様とその先駆者の方々に,心より敬意を表したいと思います。今年,更生保護制度施行50周年を迎えるに当たり,皆様方が,これまで積み重ねてこられた貴重な体験を振り返りつつ,将来へ向けて新たに創意を凝らし,更に多くの人々の協力を得て,活動の輪を広げていかれることを心から願っております。

終わりに,本日表彰を受けられました方々にお祝いを申し上げますとともに,ここに集われた皆様が,今後ともお元気で活躍されますことを期待し,ごあいさつといたします。