主な式典におけるおことば(平成10年)

皇太子殿下のおことば(仮訳)

第30回国際小児がん学会開会式
平成10年10月5日 (月)(パシフィコ横浜)

本日世界各国から小児医学の第一線の研究者を迎え,アジアでは初めての第30回国際小児がん学会がここ横浜市で開かれることは,誠に意義深いものと思います。

医学の進歩により,人々の健康は大きく改善されました。天然痘の撲滅,乳幼児死亡率の大幅な低下はそのよい例でありますが,今日においても,がんと闘っている子供たちが数多くいることは痛ましいことであります。幸い最近においては小児科医,小児外科医,看護婦,並びにソーシャル・ワーカーの方々のたゆまぬ努力により,小児がんという難病から救われる子供が増えてきていることは喜ばしいことであります。特に,神経芽腫(しんけいがしゅ),小児白血病,小児肝がんなどの診断や治療において大きな進歩が見られていると聞いておりますが,今後一層広い分野での更なる向上が期待されます。

国際小児がん学会は,時代の流れを反映した比較的新しい学会と聞いておりますが,参加された皆さんが,本学会において小児がんに関する先進医療の様々な面にわたって,貴重な発表や活発な討議をされ,その結果が,小児がんと闘う子供たちにとっての大きな助けとなり,各国の小児がん医療水準が一層高まることを期待し,開会式に寄せる言葉といたします。