会見年月日:平成7年2月22日
会見場所:東宮御所
天皇陛下は常に象徴として国民とともに苦楽を共にするという精神的な立場に立つと言っておられます。
近年では,雲仙の普賢岳の噴火の折,そして,北海道南西沖地震の折被災地を訪れられ,お見舞いをされました。また,この度の大震災の折には地震の発生の直後からできるだけ早い時期に被災地を訪れられることを希望されつつ,交通が途絶し,救援物資の調達もままならない現地の状況を気遣われ,救援活動を何よりも優先させなければならないとのお気持ちで,よい時期に現地を訪れることを希望され,先日お見舞いをなされました。
また,地震の発生直後から格別のご心痛をもって被災地の状況をお聞きになり,お見舞いの意を表され,また,お見舞いの言葉,そしてお見舞金を賜られました。私も天皇陛下のこのようなお気持ちを体し,この度の大震災で亡くなった方々に心から哀悼の意を表すとともに,被災者の方々がこの困難な状況を一日も早く克服されることを心より祈っておりますし,また,今回の震災の甚大さとその規模に鑑み,現地の状況を見,現地を訪れ,被災者の方々を少しでもお励ましできればと思っております。
また,避難所であるとか,復旧作業の現場ですとかそのような場所を訪れ,避難所におられる方々や救援・復旧活動に当たっておられる方々を少しでもお励ましできればと思っております。
私はいわゆる戦後の生まれでありまして,戦争のことはまったく体験としてはございませんけれども,戦前,戦中はほんとに多くの方々が大変な思いをされたというふうに伺っております。そして多くの方々にとって深い悲しみの時期でもあったというふうに伺っております。また,戦後は友好(的)な国際環境に支えられ,また,人々の不断な努力によって荒廃から復興し,今日のように発展することができたことは大変に幸せなことであると思っておりますし,このような平和が今後とも長く続くことを祈っております。
また,先の大戦については,日本を含む世界の各国で多くの尊い人命が失われ,また,多くの人々は苦しい,あるいは非常に悲しい思いをされたということは事実でありますし,私達はこのようなことを将来にわたって忘れてはならないと思いますし,また,このようなことが二度とあってはならないと思います。天皇陛下もおっしゃっておられますように,常に謙虚に過去を振り返るとともに平和な世界を目指して歩んでいく,ということが大切であると思います。
また,昭和天皇は常に世界の平和と国民の幸福を祈って望んでおられたというふうに伺っておりますし,また,戦争については後に,戦争は非常に残念なことであった,というふうにおっしゃっておられます。私の立場では昭和天皇の戦争責任についてのコメントは控えさせていただきたいと思います。
この問題については様々な議論があることは聞いておりますが,この問題は法律上のことでもありますので,私の立場からはコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
このことについては,出発前にも申し上げましたとおり,私としては非常にしのびない,日本を離れるのは,非常にしのびない気持ちではあったわけですけれども,政府の方針に従って中東地域を訪問したわけであります。それで,ヨルダンにあっては日程を,これは政府の方針で日程を短縮して,そして日本に戻ることになったわけですけれども,いずれも私のこういう公式な外国訪問につきましてはすべて政府の閣議了解を経なければいけないという事情がありますので,その辺の訪問については政府の方針に従ったわけであります。
この間,帰国しましてからは被災状況についての話を伺う機会がありましたし,それからまた,日を追って被災地の状況などをニュースそれから新聞等でもって見る機会がございました。私としましては今,どういうことができるか,いろいろ考えていたところでありますけれども,今度,現地に行きまして少しでも被災者の方々をおなぐさめすることができればと思っております。
また,先程の質問に追加させていただきますと,中東を訪問している最中もやはり,ひとときもこの神戸の被災地で亡くなられた方々,そして苦しい生活を送っておられる方々のことは頭を離れることはありませんでした。
私も先日の両陛下のご訪問の様子はテレビや新聞等で見ましたし,それからまた,両陛下からもいろいろお話を伺う機会がございましたけれども,先程も申し上げましたように,救援活動を何よりも優先させなければいけないというお気持ちで,そして,現地でよい時期に現地を訪問したいというお気持ちを強く持っておられてこの度のご訪問がなったわけですけれども,現地において両陛下が親しく被災者の方々を励ましておられる様子を私も拝見し,ほんとうに両陛下もとても大変でいらっしゃったと思いますけれども,大変,その辺を立派になさっておられるように拝見いたしました。
それからまた,両陛下からも具体的にどういう話ということは申し上げられませんけれども,被災地でのことをいろいろ伺うことができました。
まだ具体的には,私,二人の間ではいろいろ今後考えていくことだと思いますけれども,両陛下のなさりようを拝見しながら行く先々でどういうふうに被災地の方々を励ましていくか,私達としてまた考えていきたいというふうに思っております。
体力的な面ではまだまだ若いつもりでおりますけれども,ただ,四捨五入すれば40ということになりますですね。
特に節目という感じはいたしませんけれども,毎日毎日をこれからも一生懸命生きていきたいなと考えております。