天皇皇后両陛下 オランダ・スウェーデンご訪問（スイス・フィンランドお立ち寄り）を終えて

天皇皇后両陛下のご感想（平成12年6月1日）
オランダ・スウェーデンご訪問（スイス・フィンランドお立ち寄り）を終えて

スイス・オランダ・フィンランド・スウェーデン4ケ国の訪問を滞りなく終えることができました。各国で，王室・政府関係者を始め多くの人々から温かく迎えられ，我が国と日本の人々に対する友好の気持ちが示されたことをうれしく思っています。

最初に訪れたスイスでは，大統領閣下が，わざわざジュネーブまで来られておもてなし下さったことに感謝しています。美しいスイスの自然や，マルシッスイー村で人々の善意にあふれる歓迎を受けたこと，さまざまな国際機関で働く日本人職員から国際社会のために貢献している様子を聞いたことなどが心に残っています。

オランダにおいては，女王陛下並びにクラウス殿下から，誠に行き届いたご配慮と丁重なおもてなしをいただきました。今回ご一緒に過ごした日々のことは，これまでの度重なるお二方との出会いとともに，忘れられない思い出となることと思います。また，今回の訪問にあたってのコック首相を始めとするオランダ政府の尽力に感謝しています。

訪れたオランダの各地で，日蘭両国民の間の交流が盛んになり，友好と協力の絆が強まっていることを感じました。その中で，先の大戦から55年を経た今日，なお戦争の傷を負い続けている人々のあることに心が痛みますが，その人々の間に，より良い将来を築いていくことに心を向けようとする多くの人々のあることに胸を打たれています。その努力に報いるためにも，両国民が，400年に及ぶ両国間の交流の歴史のあらゆる局面をありのまま心にとどめながら，相互理解と友好協力関係のさらなる増進のために力を合わせていくことを願ってやみません。

週末に訪れたフィンランドでは，大統領閣下を始め政府，ヘルシンキ市の関係者や市民から誠意に満ちた歓迎を受けました。コイヴィスト元大統領ご夫妻を始め，15年前にフィンランドを訪れた際に会った人々と再会するなど，楽しくくつろいだ時を過ごすことができました。

スウェーデンにおいては，国王王妃両陛下を始め，王室の方々から滞在期間中を通じて心のこもったご歓待をいただきました。両陛下とご一緒に訪れたシルヴィア・ヘメットでは，スウェーデンの優れた社会福祉の一端に触れることができたほか，東アジア博物館や欧州日本研究所などでは，両国民の間の密接な交流の実情を目の当たりにすることができました。

それぞれの国で微妙に異なる初夏の風景の中で，行く先々で出会ったさまざまな人々の温かい友情に満ちた笑顔の印象が，長く記憶に残ることと思います。

この度の訪問が，日本国民とそれぞれの国の国民との間の相互理解と友好関係の増進に資するものとなることを切に望みます。