天皇陛下のご研究について

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天皇陛下のご研究

天皇陛下は,長年にわたり,ご公務の合間にハゼ類の分類のご研究をされています。日本魚類学会の会員として,昭和38年から現在までに29編の論文を同学会誌にご発表になっています。その他,「ハゼ科魚類の系統に重要と考えられる幾つかの形態上の特徴(英文)」(昭和60年,名誉総裁をお務めになった第二回太平洋・インド洋の魚類に関する国際研究会議で口頭でご発表(英語)になり,昭和61年,同会議報告書に掲載),「ミトコンドリア・チトクロームb遺伝子の分子系統学的解析に基づくハゼ類の進化的考察(英文)」(平成12年,秋篠宮殿下もお加わりの共同でご執筆),さらに「DNA分子と形態の解析に基づくハゼ科魚類,キヌバリとチャガラの太平洋側および日本海側の地域集団の進化(英文)」(平成20年,秋篠宮殿下もお加わりの共同でご執筆),「ハゼ科魚類,キヌバリとチャガラの核DNAとミトコンドリアDNAを用いた種分化の解析(英文)」(平成28年,秋篠宮殿下もお加わりの共同でご執筆)の4編の論文を併せて,33編の論文をご発表になっています。

これまでにご論文以外のご著書としては,以下のものがあります。「ハゼ科魚類の進化」(昭和59年,日本産魚類大図鑑の出版を記念し,発行者の要請により寄稿された和文小論),「日本産魚類大図鑑(図版,和文,英文の3冊組)のハゼ亜目魚類の項目(初版:昭和59年),同(第二版:昭和63年)を共同でご執筆,「日本の淡水魚類ーその分布,変異,種分化をめぐってー」(昭和62年,単行本)のチチブ類の項目をご執筆,「日本産魚類検索-全種の同定-」のハゼ亜目魚類の項目(初版:平成5年),同(初版補訂第二刷:平成15年),「日本産魚類検索-全種の同定-」同(第二版:平成12年),同(第三版:平成25年),「Fishes of Japan with pictorial keys to the species, English edition」同(英語版:平成14年)をそれぞれ共同でご執筆,「小学館の図鑑Z 日本魚類館」(平成30年)のハゼ科チチブ属のシマハゼ類とチチブ類の項目をご執筆になっています。

陛下は,魚類学のご研究の業績により,昭和55年にロンドン・リンネ協会の50名限定の外国会員となられました。なお,昭和61年に同協会の名誉会員となられたほか,オーストラリア博物館の名誉リサーチ・アソシエート,ロンドン動物学会の名誉会員,アルゼンチン自然科学研究所の永久名誉会員となっておられます。平成10年には,英国王立協会(ロイヤル・ソサエティ)から,科学の進歩に顕著な貢献のあった元首等に贈られるチャールズ二世メダルを,初の受賞者としてお受けになりました。

陛下は,また,平成4年に米国の科学雑誌(サイエンス)が日本特集号を企画した際に,発行者の要請により,「日本の科学を育てた人々」(英文)をご寄稿になりました。平成19年には,ロンドン・リンネ協会で同協会主催のリンネ生誕300年記念行事において,「リンネと日本の分類学」と題する基調ご講演(英語)をなさいました。魚類学のご研究以外にも,国立科学博物館研究報告で「皇居におけるタヌキの食性とその季節変動」(平成20年),「皇居におけるタヌキの果実採食の長期変動 」(平成28年)の論文を共同でご執筆になっています。