主な式典におけるおことば(平成元年)

皇后陛下のおことば

平成元年全国赤十字大会
平成元年5月31日(水)(明治神宮会館)

本日,全国赤十字大会に出席し,日ごろ赤十字の事業にたゆみない努力を続けられている皆さんに親しくお会いできたことを,大変うれしく思います。

赤十字は,国際的な強い絆で結ばれ,人道的事業を通じ,広く世界の人々の福祉を増進し,平和な国際社会を築くために,大きな力となっておりますが,日本赤十字社が各国赤十字社と互いに手を携えて,立派にその使命を果たしていることは,皆さんの尽力によるものと心から満足に思います。

日本赤十字社が果たさなければならない役割は,内外それぞれの分野で今後ますます重要になってくるものと思われますので,皆さんが互いに力を合せて一層力強い活動を進められるよう希望してやみません。

平成初めての大会に当たり,昭和22年以来,42年の長い年月にわたって名誉総裁の責務をお果たしになった皇太后陛下に,私どもの深い感謝をお奉げしたいと思います。

第32回フローレンス・ナイチンゲール記章授与式
平成元年6月26日(月)(東京プリンスホテル)

第32回フローレンス・ナイチンゲール記章授与式に当たり,受章者を始め,看護に携わる大勢の方々にお会いできたことをうれしく思います。

この度,松浦京さん,新井サダさん,自見喜美代さんが,赤十字国際委員会から,看護婦として最高の名誉であるフローレンス・ナイチンゲール記章を贈られました。ここに,40年以上にわたる,看護業務への献身と,たゆみなく払われた一人一人の尊い努力に対し,深く敬意を表し,受章をお祝いいたします。

受章された方々の,さまざまな環境の下で積まれた豊かな経験が,これからも,日本の,そして世界の看護の上に,受け継がれ,生かされていくことを希望するとともに,皆さん方が長く健康を保たれ,後進の行く手を見守って下さることを願い,本日の言葉といたします。