天皇陛下のご感想(新年に当たり)

平成8年

戦後最大の災害となり,多くの人々に深い悲しみをもたらした阪神・淡路大震災から一年がたとうとしています。この一年,被災者には,肉親や知人を亡くし,あるいは住む家を失った悲しみに耐え,懸命に生きてこられました。寒さの一段と増す折から,厳しい環境にある被災者,特に,高齢者の健康が案じられます。被災地の復興が一日も早く成し遂げられ,人々の生活が安らかになるよう念願しています。

昨年は,戦後50年という節目を迎え,様々な行事が行われました。私ども皆にとり,戦没者を悼むとともに,過去の歴史に対する認識を深め,平和への願いを新たにする意味深い年であったと思います。

夏の始めには,長雨が続き,一昨年の冷夏を思い返し案じていましたが,天候が回復し,多くの地域で農作物の作柄が順調だったことは喜ばしいことでした。

新しい年が我が国民にとっても世界の人々にとっても幸せな年であるよう切に希望いたします。