ご訪問国:タイ・マレーシア・インドネシア
ご訪問期間:平成3年9月26日~10月6日
会見年月日:平成3年9月20日
会見場所:宮殿 石橋の間
タイ国王陛下,マレーシア国王陛下,インドネシア大統領閣下の国賓としての日本ご訪問に対して,昭和天皇のご名代として,それぞれの国を訪問してから,もう20年以上経ちましたが,その時に受けました温かいおもてなしは,深く心に残っています。即位後,ご招待により,この3か国を訪れることができますことは,喜ばしいことであり,深く感謝しております。この3か国と日本とは深い関係にありますが,それだけに一層お互いが理解を深め,友好関係の増進に努めなければいけないと思います。国と国との友好関係の増進には,それぞれの国の個人個人が親しく交わり,広く信頼関係を確立していくことが必要と思います。このたびの訪問で,それぞれの国の人々と交わり,お互いの理解を深め,友好関係の増進に資するよう努めたいと思っています。
今,陛下がお話になりましたように,タイも,マレーシアも,インドネシアも,かって訪問し忘れ得ぬ思い出を持つ国々であり,このたび再訪できますことを本当にうれしく思い,楽しみにしています。
日本国民が平和を愛し,それぞれの国と友好を深めたいという気持ちを持っていることが伝わるよう努めたいと思っています。それぞれの国民は,歴史の中で育まれた文化を大切にすると共に,未来に向かって豊かな社会を目ざして努めている人々と思います。親しみのある印象を持っています。
以前の訪問を思い出し,懐かしい気持ちでお訪ねしたことを,お伝えしたいと思います。3か国の人々からは,私も親しみ深い印象を受けています。
日本が過去を振り返り,戦後,平和国家として生きる決意をしました。世界の平和を念願し,東南アジアの国々と相携えて,国際社会に貢献するよう努めている姿が理解され,お互いの信頼関係が深まればうれしいことと思っています。
このことについては,特に伺ったという記憶はありません。
日本ご訪問以来,たびたびお目にかかっているタイ国王陛下,即位の礼などで日本においで下さいましたが,ゆっくりお話する機会のなっかたマレーシアの国王陛下,スハルト大統領閣下に,このたび,ゆっくりお会いすることができるのを楽しみにしております。この機会に,旧知の方々と交わり,また,新たな知己を得ることを楽しみにしています。また,それぞれの国の現在の姿に接し,理解を深めるとともにスコータイやボロブドールのような過去の歴史に接することも期待しています。
私も旧知の方との,再会を楽しみにしています。また,この度の旅行では,首都のほかに地方を訪れる機会が設けられており,スコータイやチェンマイ,ペラ,ジョクジャカルタなどの訪問も楽しみにしています。
各国の王室には,それぞれの習慣がありますが,日本では男子の皇族は,皇室会議の議を経るという規定が皇室典範にあります。これは国民の賛意を得て,皇族の結婚は行われなければならないという趣旨であって,国際結婚の場合も,皇室会議が扱う問題と考えます。
私も陛下のお答えと同じように考えます。
現在の世界では,あらゆる国が国際社会の一員という立場に立って,国と国との交渉と共に人と人との交流を深め,友好増進をしていかなければならないと思います。この意味で,政府の決定を受けて外国を訪問し,訪問国の方々と交わり,国民と国民との理解と友好を深めるように資するよう努めていきたいと思っています。
私は,何よりもその時々に自分に求められることを,一つ一つ果たしたいと思っています。それと同時に,国際的な様々な分野で働かれる人々の仕事に常に注意を向け,長い期間にわたって見守り,精神的支援を続けていくことも私どもの大切な役目だと思っております。
この問題については,政府が十分検討を行っていることと思います。このような機会があれば,心して友好関係の増進に努めたいと思っております。
それぞれの国を訪問するに当たっては,その国を理解し友好関係を深める意味からも,首都以外の地域を訪問するということが大事だと思いまして,そういう希望は伝えました。
陛下がいつも仰せになることでございますけれども,やはり親善訪問の場合には,訪問する国の人々が,私どもに何を見てほしいと思っておられるかを,そして何を誇りとして,それを歴史でも何でも見て欲しいと思っておられるか,その希望に沿って日程を組むようにということを仰せになっていらっしゃいますので,その気持ちに沿って日程が組まれればよろしいと思っておりました。
さっきお話いたしましたように,お互いが理解を深めあう,そして友好関係が増進されるような機会になれば,誠にうれしいことと思っております。そういうような方向で努めていきたいと思っています。
陛下のおっしゃるとおりだと思います。こういう国と国との間の関係というのは,日頃からいろいろな分野の方が努力して下さっていることであって,それが公式訪問の折に,お互いの親善が表に非常にはっきりと溢れてくることではないのかと思っております。
それは本当に,こういう事がどういう意味を持つかとか,どういう力になるのか,私にはよく分かりませんが,やはり努力をしている人々の仕事に対して,それをいつも誰かが見ていて,そして,あの,よかれかしと願っているということは,大事なことではないか,また,大勢の人がそういう気持ちの上でいるというようなことは,形にでなくても大事なことだと思っておりますので,それは私の立場だけではなくて,やはり大勢の人が,お互いの上に良いことを願いあっているという,そのような意味のことを,精神的な支援を続けるという言葉で言ったつもりでございましたのですけれども,よろしゅうございますか。
以前,皇室とは祈る‥‥,言葉が違ったかも知れませんけれども,ということもお伺いしたように思いますが,これも同じようなお考えなのでしょうか,それとも別なものなのですか。
その時と同じだと思います。その時にどのような言葉を使ったか覚えておりませんが,やはり一国の道を選ぶような判断とか,その方法とか,それはやはりその時のその国の人々の英知であり,判断であると思います。それに対して皇室というのは,常によかれかしと思って,祈り続けることが大事なのではないかと思ったことを,多分その時に‥‥,記者会見で出たことがありましたか。
いえ,あの紀宮様が記者会見の時に,皇后様がそうおっしゃっていて,私もそう思うとおっしゃったように思いました。
恐らく,そういう気持ちで話していたのではないかと思います。よろしゅうございますか。
モロッコでは国王陛下,また皇太子殿下をはじめ,政府関係者から大変手厚くおもてなしをいただいて,友好関係の増進に一生懸命努めてたと思います。大変うれしく思っています。これを契機として,モロッコと日本との関係が一層深まればうれしいことと思っています。また,英国のジャパン・フェスティバルでは,英国の皇太子殿下と名誉総裁を共にし,開会式が立派に行われ,今これからいろんな催しが続いていくと聞いています。これによって,日本のいろんな面が英国やヨーロッパの人々に伝わっていくことを,今まで日本とヨーロッパとの関係が非常に広い面で,まだ理解が不十分だった点を大きくカバーしていくのではないかと期待しております。