天皇皇后両陛下のご活動

国事行為などのご公務

ご執務になる天皇陛下
ご執務になる天皇陛下(宮殿 表御座所)
(写真:宮内庁)

天皇陛下は,内閣の助言と承認により,国民のために,憲法の定める国事に関する行為を行われます。その中には,国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命すること,内閣の指名に基づいて最高裁判所長官を任命すること,国務大臣その他の官吏の任免を認証すること,国会を召集すること,法律や条約を公布すること,栄典を授与すること,大使の信任状を認証すること,外国の大公使を接受することなどが含まれています。これらの事項についての閣議決定の書類は,毎回,閣議の後に陛下のお手元に届けられ,陛下は,これを丁寧にご覧になった上で,ご署名やご押印をなさいます。その数は,平成30年中で約960件になりました。さらに,陛下は,これらの国事行為に関連して,国会開会式に毎回ご出席になるほか,宮殿で行われる儀式に臨まれます。これらの儀式には,内閣総理大臣及び最高裁判所長官の親任式,認証官任命式,外国特命全権大使の信任状捧呈式,勲章親授式などがあります。

宮殿及び御所においては,これらの儀式をはじめ,拝謁,ご会見,茶会,午餐,晩餐など,両陛下ご主催のさまざまな行事が,平成30年中に約220件行われました。これらの行事は,社会のさまざまな分野で地道な努力を続けている人々を励まし,顕著な功績を挙げた人々をおねぎらいになることを目的としたものが多く,その機会に,国会議員・閣僚・各省幹部・裁判官をはじめ法秩序維持に携わる人々,医師・看護師ほか医療・社会福祉関係者,勲章・文化勲章受章者,学士院賞・芸術院賞受賞者など各界各層の多数の人々とお会いになっておられます。また,宮殿では,国際親善を目的として,国賓のための公式晩餐や,その他外国要人,在京外国大使などのためのご引見,午餐も行われます。平成30年中に両陛下がお会いになった外国からの賓客は王族,大統領等元首,首相,議会議長など55人でした。外国からの大使の着任,離任の際には,その都度お会いになり,その数はこの一年で64か国にのぼります。

また,我が国から外国に派遣される大使夫妻についても,赴任前と帰朝後に一人一人にお会いになり,その数は平成30年に66か国2組織でした。その他外国元首とのご親書・ご親電の交換があり,ご親電の数は約556件ありました。

行幸啓

国民体育大会秋季大会にご臨席の天皇皇后両陛下
国民体育大会秋季大会にご臨席の天皇皇后両陛下(富山県)
(写真:共同通信)

両陛下の東京都内でのお出ましは,毎年のものだけでも,全国戦没者追悼式,日本学士院授賞式,日本芸術院授賞式,日本国際賞授賞式,国際生物学賞授賞式などがあります。皇后陛下は,日本赤十字社名誉総裁として,全国赤十字大会とフローレンス・ナイチンゲール記章授与式(隔年)にご出席になっています。

両陛下は,ご即位後15年で,47都道府県を全てお訪ねになり,平成29年までには全ての都道府県を2回以上お訪ねになりました。毎年,全国植樹祭・国民体育大会・全国豊かな海づくり大会にご出席のための3回の地方行幸啓があるほか,国際学会ご出席や地方事情ご視察のための行幸啓もあります。その際には,常に,地元の福祉・文化・産業施設などをお訪ねになり,関係者を激励なさいます。特に,福祉関係施設については,これまでに全国で通算500か所以上をお訪ねになっており,毎年,障害者週間の前後には,障害者のための施設をご訪問になっています。なお,平成26年(2014年)に天皇皇后両陛下がともに80歳をお迎えになられたことから,こどもの日及び敬老の日にちなんだ福祉施設等へのご訪問は,平成27年(2015年)以降は若い世代の方にお譲りになっています。

平成10年(1998年)2月,天皇陛下は「長野オリンピック冬季競技大会」の名誉総裁として皇后陛下とご一緒に同大会の開会式及び閉会式にご臨席,併せて競技をご覧になりました。また,3月には1998年パラリンピック冬季競技大会をご覧のため長野県へ行幸啓になりました。

平成3年(1991年)の雲仙・普賢岳噴火,平成5年(1993年)の北海道南西沖地震,平成7年(1995年)の阪神・淡路大震災,平成16年(2004年)新潟県中越地震,平成19年(2007年)新潟県中越沖地震,平成23年(2011年)東日本大震災,長野県北部地震,平成26年(2014年)8月豪雨(広島県),平成27年(2015年)9月関東・東北豪雨(茨城県),平成28年(2016年)熊本地震,平成29年(2017年)九州北部豪雨(福岡県及び大分県),平成30年(2018年)7月豪雨(岡山県,愛媛県及び広島県),北海道胆振東部地震の際には,いずれも,現地事情が許し次第,現場に赴かれ,犠牲者を悼み,被災者を慰め,救援活動に携わる人々を励まされました。その後も,被災地の復興状況に深いご関心をお寄せになり,関係者の報告をお受けになってきました。特に東日本大震災関係では,3月から5月にかけ,7週連続で避難所及び被災地をご訪問になり,被災者をお見舞になりました。

平成7年(1995年)11月には雲仙・普賢岳噴火被災地の復興状況をまた,平成11年(1999年)8月には北海道南西沖地震の被災地,平成13年(2001年)4月には阪神・淡路大震災被災地,平成19年(2007年)10月には平成17年(2005年)の福岡西方沖地震の被災地,平成20年(2008年)9月には新潟県中越地震の被災地,平成26年(2014年)11月には平成26年2月大雪被害の被災地(埼玉県),平成29年(2017年)には平成27年の口永良部島噴火の被災地(鹿児島県),東日本大震災の被災地には,平成24年(2012年)10月に福島県,平成25年(2013年)7月に岩手県・福島県,平成26年(2014年)7月に宮城県,9月に青森県,平成27年(2015年)3月に宮城県,7月に福島県,平成28年(2016年)3月に福島県・宮城県,9月に岩手県へご訪問になり,それぞれ復興状況をご視察になりました。

また,平成12年(2000年)来,地震,噴火による災害のため離島を余儀なくされた三宅島島民のことをお心にかけ,平成13年(2001年)7月には三宅島を上空より,新島,神津島は現地にて災害状況をご視察になり,島民をお見舞いになり,また,避難した島民が作業に従事している東京や下田の避難生活支援施設を訪問し,励ましていらっしゃいました。平成18年(2006年)3月には,帰島後1年を迎えた三宅島をご視察になり,島民を励まされました。

両陛下は,戦後50年に先立つ平成6年(1994年)には,硫黄島・父島・母島へ,また,戦後50年に当たる平成7年(1995年)には,長崎・広島・沖縄・東京(東京都慰霊堂)へ,それぞれ,慰霊のために赴かれました。このほか,戦後70年の平成27年(2015年)には,高尾みころも霊堂(産業殉職者慰霊施設)(東京都八王子市)をご訪問になったほか,東京都慰霊堂(東京都墨田区),観音崎公園内の戦没船員の碑(神奈川県横須賀市)にも赴かれました。

外国ご訪問

フランス国ご訪問の天皇皇后両陛下
フランス国ご訪問の天皇皇后両陛下(パリ市長主催レセプション:パリ市)
(写真:東京新聞)

ご即位後,両陛下の外国への公式ご訪問は,平成3年(1991年)にタイ・マレーシア・インドネシア,平成4年(1992年)に中華人民共和国,平成5年(1993年)にイタリア・ベルギー・ドイツ,平成6年(1994年)にアメリカ合衆国,フランス・スペインと続き,阪神・淡路大震災などのために2年国内に留まられた後,平成9年(1997年)にブラジル・アルゼンチン,平成10年(1998年)に英国・デンマーク,平成12年(2000年)にオランダ・スウェーデン,平成14年(2002年)にポーランド,ハンガリー,平成17年(2005年)にノルウェー,平成18年(2006年)にシンガポール・タイ,平成19年(2007年)にヨーロッパ諸国,平成21年(2009年)にカナダ・アメリカ合衆国(ハワイ州),平成24年(2012年)に英国,平成25年(2013年)にインド,平成28年(2016年)にフィリピン,平成29年(2017年)にベトナムをご訪問になりました。そのほか,平成5年(1993年)の欧州ご訪問の際にローマ法王とEC委員長をお訪ねになり,その直前には,両陛下が長年に渡りご親友であったボードワン国王のご葬儀にご参列のためベルギーに赴かれました。また,平成26年(2014年)には,ファビオラ元王妃のご葬儀にご参列のため皇后陛下がベルギーへ赴かれました。両陛下は,戦後60年にあたる平成17年(2005年)には,アメリカ合衆国自治領北マリアナ諸島サイパン島へ,戦後70年にあたる平成27年(2015年)にはパラオへ,それぞれ,慰霊のために赴かれました。両陛下が,ご即位後現在までに公的にご訪問になった国は28か国になり,ご即位前から通算すれば51か国を公式にご訪問になっておられます。これに,いわゆるお立ち寄り国を加えれば,両陛下がご訪問になった国は,58か国となります。

各国ご訪問の際は,その国の元首をはじめとする各界各層の人々と広くお会いになり,各地で,歴史・文化・産業・社会福祉などに関係する多くの施設をご訪問になっておられます。

ご即位10年関連行事

平成11年(1999年)ご即位10年を迎えられた天皇陛下は皇后陛下とご一緒に11月12日国立劇場で行われた政府主催天皇陛下御在位10年記念式典にご臨席になり,また同日皇居外苑で行われた天皇陛下ご即位10年をお祝いする国民祭典に当たっては,二重橋にお出ましになり,国民の祝賀にお応えになりました。

また,平成11年一年を通じて,ご即位10年を記念して行われた第28回日本車椅子バスケットボール選手権大会,99ジャパン・パラリンピック陸上競技大会,ご即位10年・ご成婚40年奉祝の元海外青年協力隊員の集いへのご臨席や元海外派遣青年団員の拝謁の他,ご即位10年慶祝愛馬の日や国立公文書館のご即位10年記念特別展示等へのお出ましがありました。

両陛下はこれら国民各層や外国から寄せられた祝意に対し,政府主催記念式典の出席者や外交団を中心に,宮中茶会に招かれ,謝意を表されました。また11月の京都行幸啓にあたっては,ご即位10年に当たっての茶会を催され,近畿地方2府4県(大阪府,京都府,兵庫県,奈良県,滋賀県及び和歌山県)の各界代表者,陵墓職員等を招かれました。

ご即位10年に当たり,両陛下は,記者会の要望により,特別記者会見に臨まれました。宮内庁では同会見の全記録をビデオにまとめ,公表しています。また,宮内庁は平成元年以降の両陛下のお言葉,御製,御歌などを収録したご即位10年記録集「道」を編集,刊行しました。

ご即位20年関連行事

平成21年(2009年)ご即位20年を迎えられた天皇陛下は皇后陛下とご一緒に11月12日国立劇場で行われた政府主催天皇陛下御在位20年記念式典にご臨席になり,また同日皇居外苑で行われた天皇陛下ご即位20年をお祝いする国民祭典に当たっては,二重橋にお出ましになり,国民の祝賀にお応えになりました。

また平成21年一年を通じて,ご即位20年を記念して行われた内閣府青年国際交流事業50周年記念レセプションへのご臨席,ご在位20年慶祝愛馬の日や国立公文書館のご在位20年記念特別展示,記念コンサートや記念写真展等へのお出ましがありました。

両陛下はこれら国民各層や外国から寄せられた祝意に対し,政府主催記念式典の出席者や外交団を中心に,宮中茶会に招かれ,謝意を表されました。また11月の京都行幸啓にあたっては,ご即位20年に当たっての茶会を催され,近畿地方2府4県(大阪府,京都府,兵庫県,奈良県,滋賀県及び和歌山県)の各界代表者等を招かれました。

ご即位20年に当たり,両陛下は,記者会の要望により,特別記者会見に臨まれました。宮内庁では同会見の全記録をDVDにまとめ,公表しています。また,宮内庁は平成11年以降の両陛下のお言葉,御製,御歌などを収録したご即位20年記録集「道」を編集,あわせて平成元年から平成10年までのお言葉等を収録した「道」も新装版として刊行しました。

伝統文化の継承

天皇皇后両陛下の御歌集「ともしび」書籍写真
天皇皇后両陛下の御歌集「ともしび」
(写真:宮内庁)
皇后陛下の御歌集「瀬音」の写真
皇后陛下の御歌集「瀬音」
(写真:宮内庁)

和歌は長く皇室の伝統として重んぜられ,両陛下はお祝いごとやご旅行などの折に触れ,歌をお詠みになっています。宮中では,鎌倉時代中期に始められたと言われる歌会始の儀が毎年1月に行われ,ここでは,全国から詠進された和歌の中から選ばれた十首が,両陛下の御製(ぎょせい)・御歌(みうた)などとともに,伝統に則り披講されます。両陛下のお詠みになった和歌は,新年をはじめとする機会に発表されていますが,昭和61年(1986年)には,ご成婚25年を祝い,神社本庁の希望によって,それまでにお詠みになったお二方の御歌の一部を編纂した御歌集「ともしび」が,また,平成9年(1997年)には,出版社の熱心な要請により,皇后陛下の御歌集「瀬音」が出版され,平成19年(2007年)には新装版が出版されました。

御歌集「ともしび」は平成3年(1991年)に英語に,御歌集「瀬音」は,平成18年(2006年)にフランス語に,平成30年(2018年)には御歌集「その一粒に重みのありて」をドイツ語に翻訳されています。

毎年1月,両陛下は明治2年に遡る講書始の儀に臨まれ,人文科学,社会科学,自然科学の各分野における学問の権威者からご進講をお受けになります。

その他,正倉院や京都東山御文庫などに収蔵されている宝物や御物は勅封によって保存されており,また,雅楽,古式馬術などが宮内庁によって継承されています。

お稲刈りをなさる天皇陛下
皇居内の水田で稲刈りをなさる天皇陛下
(写真:宮内庁)

天皇陛下は,我が国の農耕文化の中心である稲作について,昭和天皇のお始めになった行事をお引継ぎになりました。春には種籾をおまきになり,初夏に田植えをなさり,秋には稲刈りをなさっています。平成30年(2018年)には,200株の田植えをなさいました。

ご給桑になる皇后陛下
皇居内の紅葉山御養蚕所でご給桑になる皇后陛下
(写真:宮内庁)

皇后陛下は,昭憲皇太后が明治4年にお始めになったご養蚕を香淳皇后からお引継ぎになりました。皇居内の紅葉山御養蚕所で,春から初夏にかけて,掃立て・給桑(きゅうそう)・上蔟(じょうぞく),繭かきなど養蚕の各段階の作業にたずさわっておられます。ご養蚕の期間中皇后陛下は,ご公務の合間や休日に,しばしば,御養蚕所や桑園へお出ましになり作業をなさっています。長年飼育されて来た日本在来品種「小石丸」は,正倉院宝物の絹織物の復元に最もふさわしい糸であることが確認され,この品種を増産し,平成6年(1994年)から平成21年(2009年)まで,正倉院にお贈りになり,貴重な古代裂の あしぎぬあやにしき等の復元がなされてました。また,平成17年(2005年)には,鎌倉時代の絵巻「春日権現験記絵」(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)の表紙裂と巻緒の修復のためにもお贈りになりました。

御養蚕所の繭は絹織物として宮中祭祀や外国元首への贈り物等にも使用されています。家蚕の他にも天蚕を野外天蚕室で飼育されています。

宮中祭祀

天皇皇后両陛下は,皇太子同妃両殿下の時代から,宮中三殿(賢所,皇霊殿,神殿)における祭祀を大切にしてこられました。古くから伝えられる祭儀を忠実に受け継がれ,常に,国民の幸せを祈っておられます。

御所でのご生活

ご研究をなさる天皇陛下のお写真
ご研究をなさる天皇陛下
(写真:宮内庁)

両陛下は,皇居吹上御苑内にある御所にお住まいです。宮殿での公式行事のほかに,御所においても,公式行事に臨まれるほか,内外の諸情勢,学術や芸術文化の現状,災害復旧の状況,各種行事や式典の概要などについて,しばしば関係者のご進講・ご説明をお受けになり,ご懇談の機会を持っておられます。

なお,皇居勤労奉仕団の人々には,ご在京の限り必ず皇居内でお会いになり,各地域の近況について話をお聞きになった上で,ねぎらいのお言葉をおかけになります。

ご研究など

天皇陛下のご著書の写真
天皇陛下のご著書
(写真:宮内庁)

天皇陛下は,長年にわたり,ご公務の合間にハゼ類の分類のご研究をされています。日本魚類学会の会員として,昭和38年(1963年)から現在までの56年間に29編の論文を同学会誌にご発表になっています。その他,「ハゼ科魚類の系統に重要と考えられる幾つかの形態上の特徴(英文)」(昭和60年(1985年),名誉総裁をお務めになった第二回太平洋・インド洋の魚類に関する国際研究会議で口頭発表(英語)され,昭和61年(1986年),同会議報告書に掲載)と「ミトコンドリア・チトクロームb遺伝子の分子系統学的解析に基づくハゼ類の進化的考察(英文)」(平成12年(2000年),秋篠宮殿下もお加わりの共同でご執筆),「DNA分子と形態の解析に基づくハゼ科魚類,キヌバリとチャガラの太平洋側および日本海側の地域集団の進化(英文)」(平成20年(2008年),秋篠宮殿下もお加わりの共同でご執筆),「ハゼ科魚類,キヌバリとチャガラの核DNAとミトコンドリアDNAを用いた種分化の解析(英文)」(平成28年(2016年),秋篠宮殿下もお加わりの共同でご執筆)の4編の論文も発表され,合計33編の論文をご発表になっています。また,国立科学博物館研究報告で「皇居におけるタヌキの食性とその季節変動」(平成20年(2008年)),「皇居におけるタヌキの果実採食の長期変動 」(平成28年(2016年))の論文も共同でご執筆になっています。

これまでにお出しになったご著作としては,以下のものがあります。「ハゼ科魚類の進化」(昭和59年(1984年),日本産魚類大図鑑の出版を記念し,発行者の要請により寄稿された和文小論),「日本産魚類大図鑑(図版,和文,英文の3冊組)のハゼ亜目魚類の項目(初版:昭和59年(1984年)),同(第二版:昭和63年(1988年))を共同でご執筆,「日本の淡水魚類-その分布,変異,種分化をめぐって-」(昭和62年(1987年),チチブ類の項目をご執筆),「日本産魚類検索-全種の同定-」のハゼ亜目魚類の項目(初版:平成5年(1993年)),同(初版補訂第2刷:平成15年(2003年)),「日本産魚類検索-全種の同定-第二版」(平成12年(2000年)),同(第三版:平成25年(2013年)),「Fishes of Japan with pictorial keys to the species, English edition」(英語版:平成14年(2002年))をそれぞれ共同でご執筆,「小学館の図鑑Z 日本魚類館」(平成30年(2018年))のハゼ科チチブ属のシマハゼ類とチチブ類の項目をご執筆になっています。

陛下は,魚類学上のご業績により,昭和55年(1980年)にロンドン・リンネ協会の外国会員となられました。リンネ協会の外国会員は学者としての業績によって選ばれ,常時50名に限られています。なお,昭和61年(1986年)に同協会の名誉会員となられたほか,現在,オーストラリア博物館の名誉リサーチ・アソシエート,ロンドン動物学会の名誉会員,アルゼンチン自然科学研究所の永久名誉会員となっておられます。平成10年(1998年)には,英国王立協会(ロイヤル・ソサエティ)から,科学の進歩に顕著な貢献のあった元首等に贈られるチャールズ二世メダルを,初の受賞者としてお受けになりました。

陛下は,また,平成4年(1992年)に米国の科学雑誌「サイエンス」が日本特集号を発行した際,発行者の要請により,「日本の科学を育てた人々(英文)」を寄稿なさいました。平成19年(2007年)には,ロンドン・リンネ協会主催のリンネ生誕300年記念行事において,「リンネと日本分類学」と題する基調講演(英語)をなさいました。

皇后陛下のご著書の写真
皇后陛下のご著書
(写真:宮内庁)

皇后陛下は,お仕事の合間に文学や音楽に親しんでこられました。

平成3年(1991年)には,皇后陛下が文章をお書きになった絵本「はじめてのやまのぼり」が出版され,その後,英語,チェコ語,ハンガリー語,ポルトガル語,アラビア語に翻訳,出版されています。また,皇后陛下の選詩・翻訳・編集のもとに,詩人まど・みちお氏の詩を集めた「どうぶつたち」(THE ANIMALS)が平成4年(1992年)に,また,「ふしぎなポケット」(THE MAGIC POCKET)が平成10年(1998年)に,それぞれ,日本と米国で出版され,平成25年(2013年)には「にじ」(Rainbow)と「けしゴム」(Eraser)が出版されました。なお,平成6年(1994年),まど・みちお氏が国際児童図書評議会(IBBY)から国際アンデルセン賞を受賞した際には,皇后陛下が5年をかけて翻訳された同氏の80編の詩が参考資料となりました。

平成10年(1998年)には,インドで開催された国際児童図書評議会(IBBY)世界大会で,主催者の依頼により,皇后陛下の基調講演「子供時代の読書の思い出」がビデオによって放映されました。その原稿は「橋をかける」と題する本として日英両国語で出版され,9ケ国語に翻訳出版されています。

平成14年(2002年)9月末から10月始めにかけ,スイス・バーゼルにて行われた国際児童図書評議会(IBBY)50周年記念大会に皇后陛下は名誉総裁としてご出席になり祝辞を述べられました。その祝辞の英文,及び元の原文である日本文が単行本「バーゼルより-子どもと本を結ぶ人たちへ-」と題して出版されました。なお,平成21年(2009年)には,「橋をかける」及び「バーゼルより-子どもと本を結ぶ人たちへ-」の2冊を別途解説と共に1冊に収めた単行本が出版されています。

平成17年(2005年)には,皇后陛下が平成元年から古希を迎えられた平成16年(2004年)までの間に公にされた記者会見などのご回答,式典に寄せられたお言葉,ご発表になった御歌などを集成した「歩み」が出版されましたが,平成22年(2010年)にはその後のお記録を加えた「歩み」改訂版が出版されています。

音楽は,ピアノを弾かれ,アンサンブルに参加なさったり,他楽器の伴奏をなさっています。

両陛下は,ご家族の絆を大切にされ,昭和天皇崩御の後は,平成12年(2000年)6月16日の香淳皇后崩御まで年末年始やお誕生日,ご旅行の前後などに加え,香淳皇后のご体調の許す限りほとんど毎週末,吹上大宮御所をお訪ねになっていらっしゃいました。

両陛下は,よく,早朝に皇居の中を散歩なさり,吹上の四季の自然をお楽しみになっています。スポーツはテニスをなさり,ご日程の許すときには,週末,職員のコートでテニスをお楽しみになっています。

お務めの件数について

この資料は,上皇上皇后両陛下の御在位中の様々なお務めをご年令毎に件数をまとめ,令和元年6月28日に報道機関へ発表したものです。