この春,天皇皇后両陛下は,御成婚50年の記念すべき日を迎えられました。さらに今年は天皇陛下御即位20年のお祝いの年にも当たります。この二重のお慶びに際し,当館では,常に国や人々に心を寄せて歩まれてきた両陛下の御様子を,テーマごとに5期にわたって御紹介します。最初の3期は,御成婚,御即位,そして御日常をテーマとして,それぞれに
昭和34年4月10日,国中が歓喜に溢れた御成婚は,今も多くの人々の記憶に残る御慶事でした。御成婚をテーマとする第1期では,当時お召しになった御装束をはじめ,各国からのお祝いの御贈進品や御成婚に縁の品々が,あの御慶事を
また,平成2年には,両陛下は伝統的な御装束に身を包まれ,御即位の諸儀式に臨まれました。わが国の長い歴史の中で整えられてきたこの時の諸儀式の様子に,私たちは改めて日本文化の深遠さを感じました。第2期では,この御即位の儀式に縁の品々が登場します。
そして,第3期には,両陛下の御日常を御紹介するために,日ごろの御活動に関する品々が選ばれています。
今回の展覧会の企画に当たっては,両陛下に深い御理解をいただき,貴重な品の数々を御紹介できることとなりました。日ごろから人々とのふれあいを大切にされている両陛下のお姿に触れていただければと思います。
両陛下は,昭和34年4月10日に御結婚になりました。当時,皇太子でいらっしゃった明仁親王殿下は,テニスを通じてお知り合いになった正田美智子様をお妃にと望まれ,昭和33年11月27日の皇室会議で承認を得られました。昭和34年1月14日の「納采の儀」によって正式な御婚約となり,御結婚の運びとなりました。
御結婚の当日は,暖かな日差しに恵まれ,国中が祝福しました。お二人は日本の伝統的装束(皇太子殿下の御装束は黄丹御袍,妃殿下は御五衣に御唐衣,御裳<いわゆる十二単>)を召されて,宮中の賢所での「結婚の儀」に臨まれました。次いで,昭和天皇,香淳皇后に正式にお会いになる「朝見の儀」が行われて結婚の御報告をされた後,皇居から東宮仮御所までを馬車でパレードされました。その沿道には53万人もの人々が祝福につめかけたと言われます。両陛下の御成婚は,戦後の復興時期を経て,ようやく日本が新たな成長を始めた時期のわが国にとって,大きな明るい話題となりました。
この第1期では,宮中の賢所での儀式に臨まれた折の御装束をはじめ,国内外からのお祝いの品,お二人の思い出の品を紹介します。
<主な展示品>
天皇陛下は,昭和64年1月7日に崩御された昭和天皇の後を継がれ,第125代天皇となられました。
即位に関する皇位継承の諸儀式は,伝統に基づき,昭和天皇の喪が明けた,その翌年の平成2年に執り行われました。その中の最も重要な儀式が11月12日に行われた「即位礼」であり,また同22日夜から23日未明にかけて行われた「大嘗祭」です。「即位礼」は,天皇が皇位に就かれたことを国の内外に宣言されるものです。また「大嘗祭」は,古代から続く即位に関わる厳粛な祭祀です。天皇陛下は,毎年,その年の稲の初穂を皇祖神に供えて国の繁栄と安泰を祈る新嘗祭を行われますが,「大嘗祭」は天皇一代に一度限りの大祭です。言い換えれば,「大嘗祭」は,即位後,初めて行われる新嘗祭のことです。さらにこの「大嘗祭」の終了後,11月24日~25日には,宮殿豊明殿において,天皇陛下が大嘗祭の参列者をお招きになり,悠紀主基両地方の斎田の新穀をもって調整した白酒及び黒酒と酒肴を賜り,共にお召し上がりになる「大饗の儀」が行われました。
この第2期では,これら「即位礼」と「大嘗祭」等の様子を関連の品々と写真を交えて紹介します。
<主な展示作品>
両陛下は,御結婚以来,これまでの皇室の伝統を受け継ぎ,国民の様々な立場に思いを寄せて,その務めにはげまれ,ご家庭にあられては,御研究や御趣味を通して,心豊かな時間を過ごしてこられました。
この第3期では,そうした両陛下の御日常にゆかりの品々を紹介します。お忙しい日々の中,両陛下が様々なことにお心を尽くしていらっしゃる御様子を感じていただければ幸いです。
<主な展示作品>