主な式典におけるおことば(平成14年)

皇太子殿下のおことば

第57回国民体育大会冬季大会スケート競技会・アイスホッケー競技会開会式
平成14年1月26日 (土)(北海道:帯広の森スピードスケート場)

第57回国民体育大会冬季大会スケート競技会・アイスホッケー競技会の開会式に,全国から参加された選手,役員,並びに地元北海道の皆さんと共に出席できることを,大変うれしく思います。

国民体育大会は,昭和21年に第1回大会が開催されて以来,多くの関係者の熱意と努力に支えられ,国民の健康増進とスポーツの普及・振興に大きな役割を果たしてきました。

この伝統に培われた意義ある大会に参加される選手の皆さんが,日ごろ鍛えた力と技を十分に発揮されるとともに,お互いの友情をはぐくみ,地元の皆さんとの交流を深められるよう期待しています。

雄大な北海道の自然を背景に,道民の皆さんの温かい協力の下に開催される「とかち青空国体」が,いつまでも皆さんの心に残る,実り多い大会となることを願い,私のあいさつといたします。

第47回青少年読書感想文全国コンクール表彰式
平成14年2月8日 (金)(東京会館)

第47回青少年読書感想文全国コンクールで表彰を受けられた皆さん,おめでとうございます。

今回は,日本国内はもとより,海外の日本人学校からの応募も含め,414万編もの応募があったと聞いています。読書離れを心配する声がある中で,これほど多くの若い人々が,日ごろから本に親しみ,素晴らしい感動を体験し,その感動を感想文として表現していることを,喜ばしく思います。

私は本を読むということは未知のこととの対話だと思います。読書をすることにより,今まで知らなかったこと,気付かなかったこと,そして他の人の気持ちについてもたくさんのことを学ぶことができます。そして,それは,特に若い皆さんにとっては,喜びであるとともに新鮮で,長く記憶に残るものとなるのではないでしょうか。

私はこのコンクールの表彰式に出席するのに当たって,毎回,受賞者が対象とされた図書の幾つかに目を通します。そして,大人である私にとっても子供向けに書かれている本から新たな知識を得る喜びを見いだすことが多くあります。今年の図書には「赤ちゃんのはなし」という本がありました。昨年の12月に子供が生まれた私たちは,父親,母親としてはいわば新入生ですが,私たちにもこの本はとても興味深いものでした。

私がこのコンクールの表彰式に出席するのは今回で7回目となりますが,その都度,皆さんの先輩に当たる受賞者の皆さんが,読んだ本について語るときの目の輝きがとても印象に残っています。

皆さんが,今後とも読書を通じて豊かな感性をはぐくまれ,大きく飛躍されることを希望するとともに,このコンクールが今後一層発展していくことを願い,お祝いの言葉といたします。

阪神・淡路大震災記念「人と防災未来センター」開館記念式典
平成14年4月21日 (日)(阪神・淡路大震災記念「人と防災未来センター」)

一瞬にして,多くの尊い命を奪った阪神・淡路大震災から,早7年が経過しました。ここに,改めて亡くなられた方々に,心から哀悼の意を表します。

御遺族を始め被災地の皆さん方は,互いに励まし合い,助け合いながら,心を一つにして多くの困難を乗り越え,国内外からの温かい支援の下,復旧・復興に取り組んでこられました。

私も,震災直後,犠牲者の方々の合同慰霊祭に参列するため被災地を訪れましたが,その時目の当たりにした被災状況から街が立派によみがえり,将来への明るい展望が開け始めていることに深い感慨を覚えます。

大きな被害をもたらした震災は,私たちに多くの教訓を残しました。

これらの教訓は,震災の記憶の風化に耐え,絶えず受け継がれていく必要があります。この度,阪神・淡路大震災記念「人と防災未来センター」が設立されたことは,この意味でもとても意義深いことであると思います。

このセンターは,震災の経験と教訓を,次世代を担う子供たちを始め後世の人々に伝えるための展示施設を備え,災害に対応するための実戦的な調査研究や人材育成を今後進めていかれると伺っております。

「人と防災未来センター」が,震災の被災者の方々を始め多くの皆さんに支えられながら,意義深い成果をあげられ,広く世界に貢献する防災拠点として大いに発展することを願い,記念式典に寄せる言葉といたします。

第13回全国「みどりの愛護」のつどい
平成14年4月27日 (土)(国営越後丘陵公園)

第13回全国「みどりの愛護」のつどいに,皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

緑豊かな自然は,私たちに潤いや安らぎをもたらしてくれます。また,地球温暖化の抑制や大気の浄化,災害の防止などの面でも大切な役割を果たしています。このような緑の恩恵を,いつまでも享受し続けることができるよう,その保全と育成に努めていくことは,私たちの重要な責務であると思います。

その意味でも,ただ今表彰を受けられた方々の緑の愛護活動への取組は,誠に意義深いものであり,そのたゆみない努力に対し,心から敬意を表します。

美しい自然に恵まれた国営越後丘陵公園で開催される今回のつどいにおいて,全国から集まった皆さんが,相互に交流を深め,緑を守り育てる心を新たにされるとともに,その皆さんの心と活動を通じて,緑豊かで快適な生活環境づくりが一層進展することを願い,私のあいさつといたします。

日米フルブライト交流計画50周年記念式典
平成14年5月26日 (日)(東京国際フォーラム)

日米フルブライト交流計画50周年を記念する式典に皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

フルブライト交流計画は,人と人との交流を通し,相互理解を深めることで平和な世界を築き上げたいという,故J.ウィリアム・フルブライト米国上院議員の願いから始まりました。第二次世界大戦直後に計画が始まって以来,世界の国々が事業に参加し,26万人を超える同窓生が各国で活躍されていると聞いています。日米両国の間の事業は今年50周年を迎えましたが,この間,6千数百人の日本人を米国に派遣し,約2千人の米国人を我が国に迎えることを通じて,両国間の友好と相互理解の促進に大きく貢献してきました。

若いころの海外への留学は,非常に貴重な経験となります。私にとっても,留学の経験が,その後の人生に極めて有益であったと感じます。帰国した多くの同窓生の方々が,フルブライト交流計画で得た貴重な経験を糧に,我が国社会の発展の過程でそれぞれ活躍されてきたことを誠に喜ばしく思うとともに,その後のフルブライト交流計画を記念募金活動などを通じて支援されてきたことに,心から敬意を表したいと思います。

過去半世紀の間に交通や通信の手段は格段の進歩を遂げましたが,各国の間の人物交流を推し進めていくことは,21世紀に入っても引き続き重要であると思います。フルブライト交流計画がこれからも発展を続けるとともに,日米の人々の間の相互理解が一層深まることを願い,私のあいさつといたします。

第38回献血運動推進全国大会
平成14年7月11日 (木)(宮崎県:ワールドコンベンションセンターサミット)

第38回献血運動推進全国大会に出席し,全国各地から参加された皆さんとお会いすることを,うれしく思います。

本年は,日本赤十字社法制定50周年,日本赤十字社創立125周年に当たり,また日本赤十字社が血液事業に取り組んでからちょうど50年を迎える記念すべき年でもあります。

最近の献血の状況は,成分献血及び400ミリリットル献血が定着し,おおむね年間約580万人の方々が献血されていると聞いています。これは,血液を必要とする患者さんへの献血者の貴い思いと行動の現れであり大変心強く,喜ばしいことと思います。

国内で献血された血液から得られる輸血用血液と分画製剤の原料血漿(けっしょう)は,優れた検査を経て,国内の医療に供されているとのことです。輸血用血液は全て国内献血から得られておりますが,血漿分画製剤については,輸入に頼る部分を残しており,昨年来,血友病の患者さんの生活に不可欠な血液凝固第VIII因子製剤については,遺伝子組替え製剤の輸入が停滞するという事態が生じておりますが,献血者の皆さんの絶大な協力により,日本赤十字社はこの困難を乗り切りつつあると伺っております。これも本日ここに,表彰を受けられた方々を始め,献血運動推進に尽くしてこられた関係者の皆さんのたゆみない尽力と,国民の皆さんの一人一人の献血による協力があって成し得たものであり,ここに深く敬意を表します。

人口の高齢化,少子化が進む中で,ここ宮崎大会を契機に,若い人たちの献血への理解と協力がより一層深まり,普及されていくことを希望して,大会に寄せる言葉とします。

第26回「水の週間」記念式典
平成14年7月29日 (月)(新宿パークタワー)

第26回「水の週間」記念式典が,多くの関係者の出席を得て開催されることを誠に喜ばしく思います。

水は,あらゆる生命の根源となる基本的資源であり,人類も水の恵みを享受しつつはぐくまれ,発展してきました。

特に我が国では,多くの湖や河川に恵まれた自然風土の中で,人々の生活,習慣,文化に水が深く関わってきました。近年,水は国民生活の向上と産業社会の高度化に貢献し,その役割はより広く,重要性はますます高まっています。

しかし,私たちの日常生活に欠かすことのできない水も無尽蔵ではありません。水は,水源地域の方々を始め多くの人々に守り育てられて供給される,限りある貴重な資源です。このような水資源を安定的に確保し,その有効活用を図ることは,国民生活を守り発展させるために不可欠であり,今後とも水資源対策が一層充実されることが望まれます。

本日,水資源功績者として表彰される方々の活動は誠に意義深いものであり,そのたゆみない努力に対し敬意を表します。また,作文コンクールとフォトコンテストに入賞された方々に祝意を表したいと思います。

明年3月には「第3回世界水フォーラム」が我が国で開催されます。今日,世界各地で水不足や水質汚染などが深刻化しており,21世紀に生きる私たちは,地球規模の観点から世界の水問題にも目を向けていくことが大変重要であると考えます。

「水の週間」の諸行事を通して,水の大切さに対する国民の理解が更に深まることを願い,式典に寄せる言葉といたします。

平成14年度全国高等学校総合体育大会総合開会式
平成14年8月1日 (木)(茨城県:笠松運動公園陸上競技場)

平成14年度全国高等学校総合体育大会「2002年茨城総体」が,全国各地から多数の参加者を迎えて,豊かな自然と多彩な文化に恵まれた,ここ茨城の地で開催されることを,喜ばしく思います。

選手の皆さんには,日ごろ鍛えた力と技を十分に発揮し,お互いに友情をはぐくむとともに,地元の方々とも交流を深め,高校生活のすばらしい思い出をつくられるよう願っております。

そして,この大会が,選手の皆さんの活躍と数多くの地元高校生の協力によって,実り多いものとなることを期待いたします。

皆さんの御健闘を,心からお祈りいたします。

第13回日本ジャンボリー大集会
平成14年8月5日 (月)(大阪府:舞洲ベースボールスタジアム)

第13回日本ジャンボリー大集会に,国内外から参加されたスカウトの皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

今回のジャンボリーは,ボーイスカウト日本連盟創立80周年を記念して,世界の約40の国・地域からの参加者を得て,「アジア太平洋地域ジャンボリー」として開催されています。皆さんは,スカウト運動が世界的な広がりをもっていることを体験し,実感されていることと思います。

また,今回の大会は,大都市が開催地となる初めての日本ジャンボリーであると伺っています。そのために,スカウトの皆さんが場外のプログラムに参加されるなど,一般の人々や地域社会・文化との触れ合いが多い大会でもあります。

皆さんが,スカウト同士の友情を深められることはもちろん,多くの人々との交流を通じて,社会の一員として,スカウトとして,明るい未来を築くために共に学ぶことは,大変意義深いことであります。皆さんには,くれぐれも体に気を付けて,この日本ジャンボリーで多くの思い出をつくってください。

我が国のボーイスカウト運動が,80周年を迎え,また,今回の大都市でのジャンボリー開催を契機に,更に発展することを願い,大集会に寄せる言葉といたします。

第12回世界精神医学会横浜大会開会式
平成14年8月24日 (土)(パシフィコ横浜国立大ホール)

第12回世界精神医学会横浜大会が,世界各国から多くの参加者を迎え,アジアで初めてここ横浜の地で開催されることを大変うれしく思います。

現代の社会は,物質文明の急速な発展によって,人々の暮らしに多くの豊かさをもたらしましたが,他方では,それに伴う各種の新しいストレスの増加をもたらし,人々に多くの心の問題を生み出しています。21世紀は,このような心の問題を解消し,人類の心の健康を守る「心の世紀」であって欲しいと願っております。

世界精神医学会は,全世界の精神医学,精神保健・福祉などの専門家が,当事者や家族の方々も交えて,この領域の最新の知識や技術を持ち寄って討議し,その成果を実践に応用するための集まりであると伺っております。ここでの成果は,世界中の心の病を持つ人々の治療やこれらの人々がより良い生活を送ることができる社会作りに役立つとともに,広く一般の人々の心の健康増進に貢献し,さらには,心の病に対する人々の心の壁を除く契機になることが期待されています。

この度,世界精神医学会が初めてアジアで開催されることは,我が国や東洋の精神文化を世界に紹介する上でも役立つとともに,なお発展途上にあるアジアの精神医学・精神保健の推進のためにも,大きな影響を与えるものと思われます。

また本年は,我が国の精神医学を代表する日本精神神経学会の創立100周年に当たると聞いております。この記念すべき年に,世界の精神医学関係者の方々を我が国にお迎えできることは,大変喜ばしいことです。

終わりに,今回の横浜大会がこれまでの精神医学の進歩と業績の上に立って,21世紀への新たな展望を開く力強い船出の機会となることを願うとともに,この大会の実現に努められてこられた関係者の皆さんの努力を多として,あいさつといたします。

第14回全国農業青年交換大会開会式
平成14年8月28日 (水)(宇都宮市文化会館)

第14回全国農業青年交換大会に,全国各地から参加された皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

昨年の徳島大会から一年の間に,我が国では,より安全で安心な食べ物を求めて,国民の間で農業に対する関心が高まってきていると思います。その中で,全国の農業の若い担い手である皆さんが,農業青年クラブ活動などを通して日ごろから研鑽(さん)に励まれるとともに,新しい時代の農業の在るべき姿を求めて努力を重ねられていることを,大変心強く感じています。

近年の大会では,インターネットを通じた広報活動も盛んになり,既に準備段階において,全国の農業青年の間で数多くの情報が交換され,友情の輪が育ってきていると伺っております。全国各地から集まられた皆さんには,栃木県のすばらしい自然や文化に直接触れ,地元の皆さんとの交流を大いに深められることを希望します。

BSE問題も含め,日本の農業を取り巻く状況には厳しいものがありますが,この大会において,農業青年の皆さんが,日ごろ培われた知識,技術,研究成果を交換し,農業の持つ多様な可能性について語り合われることを通じて,我が国の新しい時代の農業が発展していくことを願い,私のあいさつといたします。

民間航空再開50周年記念事業第50回「空の日」記念式典
平成14年9月20日 (金)(赤坂プリンスホテル)

民間航空再開50周年を記念して,第50回「空の日」記念式典が多くの関係者の出席を得て開催されることを喜ばしく思います。

この50年の間に,航空は我が国の経済の発展とともに着実な発展を遂げ,今日,国民の交通の手段,そして国際的な交流の推進役として定着し,重要な役割を果たすようになりました。私が初めて航空機に乗ったのは,小学校6年生の時,羽田空港,岡山空港間のYS11機でした。空から見る富士山や日本アルプス,瀬戸内海はとても美しく,また,浜名湖の形が地図で見るのと同じだったことが鮮明に印象に残っています。本日,感謝状・表彰状を受けられた方々を始め,航空の発展をこれまで支えてこられた多くの関係者の皆さんのたゆみない努力に対して,深く敬意を表します。

航空がこれだけ身近なものになった今日も変わることなく,空の安全性の確保が非常に大切です。空の日・空の旬間の事業を通じて,航空の果たす役割,航空の安全確保の大切さ,航空レジャーの楽しさなどについて,国民の理解が一層深まっていくことを希望します。

航空が,すべての人々にとって更に安全で便利で快適な交通機関として発展を続けるために,皆さんがこれからも力を尽くしていかれることを期待し,式典に寄せる言葉といたします。

国際交流基金設立30周年記念平成14年度国際交流基金賞・国際交流奨励賞授賞式
平成14年10月4日 (金)(東京全日空ホテル)

国際交流基金が設立30周年の記念すべき年を迎えた今年,平成14年度の国際交流基金賞・国際交流奨励賞授賞式に皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

国際交流基金は,国際的な交流を通じ,世界の文化の向上と人類の福祉に貢献するという大切な役割を担って,国内だけでなく,広く世界各国において様々な事業を進めてきました。私自身,これまでに,日本語国際センター,日米センター,関西国際センターなどの基金の機関を訪問し,その積極的な活動を直接に見る機会を持ちました。さらに,ベルギーにおけるユーロパリア・ジャパン,英国における「JAPAN2001」などの文化行事に出席した際には,主催者や協力機関として,基金がそれぞれの国で大切な役割を果たしている様子を見てまいりました。基金の活動をこれまで内外で支えてこられた関係者の皆さんの熱意と努力に対して,深く敬意を表します。

また,本日の受賞者の方々を始めとして,30年の間に国際交流基金賞・国際交流奨励賞は,様々な国の人々に授与されてきました。文化交流の各分野において,日本と諸外国との相互理解の増進に足跡を残してこられた受賞者の皆さんの一層の活躍を心から期待いたします。一人一人の交流はやがて国と国との相互理解に発展してゆくものと考えます。

設立から30年を経た今日,国際交流基金の果たすべく役割は一層広く,かつ重いものとなってきていると思います。新たなる時代に向かって,本日お集まりの皆さんが力を合わせ,地球全体の協調と友好親善のきずなが更に強くなることを願い,私のあいさつといたします。

第26回全国育樹祭
平成14年10月6日 (日)(佐賀県)

第26回全国育樹祭が,全国各地から多くの参加者を迎え,ここ佐賀県嬉野総合運動公園において開催されることを,うれしく思います。

佐賀県は,北に玄界灘,南には世界有数の干満の差を誇る有明海を控え,その間に肥沃(よく)な平野と緑豊かな森林が広がる,自然環境に恵まれた土地であります。

日本の植林発祥の地ともいわれる佐賀県は,戦後荒廃した森林の復旧に県民挙げて取り組み,県土の緑化が大変進んでいると伺っています。長年にわたり,緑を守り育ててこられた県民と林業関係者の皆さんのたゆみない努力を多といたします。

21世紀に入り,地球環境の保全は人類共通の課題となっており,この程開催されたヨハネスブルグサミットにおいても,地球温暖化の防止に向けた国際的な取組の前進が図られ,森林の果たす役割が改めて認識されることになりました。

このような中で,本日表彰を受けられる方々を始め,日ごろから各地域において国土の緑化に尽力されている全国の皆さんに敬意を表するとともに,そうした活動が,更に多くの人々により支えられ,発展していくことを期待します。

終わりに,この度の大会テーマ「未来に根を張れ みんなの緑」にふさわしく,国民一人一人の森林を守り育てる活動の輪が,日本のみならず,アジア,世界へと広がり,次の世代に引き継がれることを願い,あいさつといたします。

第17回国民文化祭・とっとり2002開会式
平成14年10月12日 (土)(鳥取県立県民文化会館)

「ふるさと ふれあい 夢づくり」をメインテーマとする,第17回国民文化祭の開会式に,皆さんと共に出席できることを大変うれしく思います。

鳥取県は,北は日本海に面し,南には中国山地が連なり,鳥取砂丘や大山といった四季折々に美しく豊かな自然に恵まれ,また,古くから大陸との交流があり,長い歴史の中で伝統ある独自の文化をはぐくんできました。

私も今までに幾度か鳥取県を訪れましたが,上淀廃寺跡から出土した法隆寺の壁画と同様の彩色仏教壁画に驚いたこと,大山寺の荘重なたたずまいや大山の美しさに心を打たれたことが懐かしく思い出されます。

この鳥取県において,全国,さらには,海外から,様々な文化芸術活動に取り組まれている多くの方々を迎え,国民文化祭が開催されることは,誠に喜ばしいことであり,関係者の皆さんの御労苦に対し敬意を表します。

今日,心の豊かさやゆとりを求め,国民の文化芸術への関心は高まってきています。

このような中で,我が国の優れた伝統文化を継承しつつ,新しい文化を創造する場として,国民文化祭は大きな役割を果たしており,この国民文化祭を契機として,文化芸術の振興が更に一層進められることを期待します。

終わりに,鳥取県内各地で開催される多彩な催しにより,文化を通じた交流の輪が広がり,希望に満ちたふるさとづくりが進みますよう願って大会に寄せる言葉とします。

2002年(第10回)花の万博記念「コスモス国際賞」授賞式
平成14年10月22日 (火)(紀尾井ホール)

2002年「コスモス国際賞」授賞式に,皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

まず,「コスモス国際賞」が創設10周年を迎えられたことをお祝いします。「自然と人間との共生」という国際花と緑の博覧会の理念を発展させるため,全地球的な観点から,自然と人間とのかかわりに新しい光を当てようとする「コスモス国際賞」の意義が,10周年を機に,今後一層国内外に広く理解されていくことを希望いたします。

また,この度受賞されたチャールズ・ダーウィン研究所に,心からお祝いを申し上げます。チャールズ・ダーウィン研究所は,ガラパゴス諸島固有の生物の調査研究と保護に大きな業績を上げてこられたと伺っております。太平洋上の火山島という厳しい自然条件の中で,1964年の創設以来,優れた成果を積み重ねてこられた関係者の努力に対し深く敬意を表します。

チャールズ・ダーウィン研究所の活動は,地球上の生命の進化の解明や,生物多様性の保全にかかわる極めて重要なものであり,その成果が地球の未来と人類の幸せのために大きく活かされることを期待いたします。

「コスモス国際賞」の今後の発展をお祈りし,私のあいさつといたします。

第29回「日本賞」教育番組国際コンクール授賞式
平成14年11月6日 (水)(NHKホール)

第29回「日本賞(にっぽんしょう)」授賞式に,世界各国から参加された皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

「日本賞」は,1965年の創設以来,世界の教育放送番組の向上に先導的な役割を果たし,国際社会における相互理解の増進に貢献してきました。今日,放送界はデジタル化という新しい時代を迎えていますが,今年の「日本賞」では放送番組とインターネットのホームページとの連携による教育的効果を審査する「ウェブ部門」が新設されました。そして,今年の参加作品は,「番組部門」「ウェブ部門」合わせて49か国から208に上り,いずれもそれぞれの社会や地域が抱える問題に正面から取り組み,豊かな教育の実現を目指した,優れた作品ばかりだと伺っております。

子供たちをはぐくみ,豊かな未来を築く上で,放送の果たす役割は非常に大きく,「日本賞」の意義はますます重要になってきていると思います。私たちも「日本賞」を以前に受賞したNHKの教育番組「未来への教室」を度々見ますが,その道を究めた人々による大人である私たちをも引き付ける話の内容や,番組の最後に子供たちが授業の感想を語る目の輝きから,教育番組の大切さをその都度感じます。ここに,長年にわたり教育番組の向上に尽くしてこられた皆さんの努力に対し,心から敬意を表します。

国際社会が多様化,複雑化する中で,「教育」は人類共通の課題として更に重要性を増しています。世界各国から「日本賞」に集まった皆さんが,放送番組を通じて,世界各国が直面する諸問題への認識を深め,「子どもたちの未来のために」という共通の目標に向けて,お互いの知識や経験を分かち合い,共に考えることは大変有意義なことであると思います。

「日本賞」の一層の発展を願い,私のあいさつといたします。

第2回全国障害者スポーツ大会開会式
平成14年11月9日 (土)(高知県立春野総合運動公園)

全国各地から参加された多くの選手,役員の皆さんと共に,第2回全国障害者スポーツ大会「よさこいピック高知」の開会式に出席できることを,大変うれしく思います。

国内最大の障害者スポーツの祭典として,身体障害者大会と知的障害者大会が統合されて開かれた昨年の第1回宮城大会から1年,今年はここ高知県で第2回の大会が開かれることとなりました。

今回参加される選手の皆さんには,日ごろの練習で培った力を十分に発揮し,活躍されることを期待します。また,選手同士の友情をはぐくまれると同時に,ボランティアや地元の方々とも交流を深められ,心のバリアフリーの輪が大きく広がることを希望します。

この大会は,本日ここに出席された関係者の御尽力を始めとして,多くのボランティアや高知県民の温かい協力に支えられて,開催されていると伺っています。これらすべての皆さんの努力に対して心から敬意を表するとともに,この高知大会が,参加される一人一人にとって,実り多く思い出深い大会となることを願い,私のあいさつといたします。

江東区立明治小学校開校130年記念式典
平成14年11月16日 (土)(江東区立明治小学校)

明治小学校の開校130年をお祝いする式典に,皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

すべての子供が学校で学べるようにすることを目指して,学制が公布されたのは明治5年のことでした。明治小学校の開校は,早くもその翌年になります。

近代教育の発展と共に歩んできた明治小学校が,多くの困難を乗り越え,地域の教育の中心として果たしてきた役割は,大変大きなものがあります。本日,130年という本校の歴史に一つの節目を迎えるに当たり,この学校を支え,伝統を築き上げてこられた多くの方々の御努力に対し,深く敬意を表します。

現在,社会の変化に対応し,国際社会において貢献していくためにも,初等教育に対する期待はますます高まっていると思います。

本校における教育のますますの発展に向けて,今後とも関係者の皆さんがたゆみなく努力されることを期待いたします。

私自身の経験からも,小学校時代は,人間形成の基盤をつくる大切な時期です。児童の皆さんには,明治小学校に学ぶ者として,自信と誇りを持って充実した学校生活を送り,未来への道を力強く歩まれるよう希望し,お祝いの言葉といたします。