皇居東御苑花だより(令和2年10月30日)

令和2年10月30日
写真 説明
ボケ(バラ科))
ボケ(バラ科)Chaenomeles speciosa
中国原産で平安時代に渡来し,広く庭木として植えられ,多くの園芸品種がありますが,九州などでは野生化しています。赤や白の花を咲かせ,果実は長さ8~10cmの楕円形で,7~8月に黄色に熟します。
マンリョウ(実)(サクラソウ科)
マンリョウ(実)(サクラソウ科)Ardisia crenata
暖地の林内に自生し,観賞用に広く栽培されています。茎は直立し,上部でまばらに小枝を出して高さ0.3~1mになり,7月頃,小枝の先に直径約8mmの白い花を多数つけます。果実は球形で赤く熟し,縁起のよい木とされています。
ムラサキシキブ(実)(シソ科))
○ムラサキシキブ(実)(シソ科)Callicarpa japonica vat.japonica
山野に生え,高さ2~3mになります。6~7月,淡紫色の花を多数つけます。果実は直径3~4mmの球形できれいな紫色に熟し,秋も深まり葉が落ちた後も残ります。幹はまっすぐで強いので,道具の柄や杖などに用いられ,昔から親しまれてきました。
シロヨメナ(キク科)
○シロヨメナ(キク科)Aster leiophyllus var. leiophyllus
本州,四国,九州の山地に分布する多年草です。茎は細長く直立し高さ30~90cmになります。葉は短かい柄があって互生し,上面は緑色で光沢があります。白色黄心の頭花を散房状につけます。
○ユズ(実)(ミカン科)
○ユズ(実)(ミカン科)Citrus junos
古くから植えられ,野生化しているものもあります。高さ4~6mになり,葉腋に棘があり,葉柄には広い翼があります。5~6月,枝先の葉腋に直径約3cmの白い花を開きます。果実は直径4~7cmの扁球形で,果皮はでこぼこが多く,強い香気があります。香りの高い果皮や果汁は料理に使われます。
ツワブキ(キク科)
○ツワブキ(キク科)Farfugium japonicum
海岸や海辺の山などに生える30~70cmの常緑の多年草です。花や葉が美しいのでよく庭に植えられ,園芸種も多数あります。10~12月,直径5cmほどの黄色の頭花を散房状につけます。葉はフキに似て厚く,表面に艶があるのでこの名があります。綿毛をかぶった若い葉柄をつくだ煮にしますが,これが本当のキャラブキです。また,葉はあぶって,はれものなどに貼ったりします。
センリョウ(実)(センリョウ科)
○センリョウ(実)(センリョウ科)Sarcandra glabra
暖地の林内に生え,高さ50~80cmになります。葉は長さ6~14cm,薄い革質で光沢があり,縁には粗い鋸歯があります。6~7月,茎の先に2~3個の短い穂状の花序を出します。果実は直径5~6mmの球形で,12~3月に赤色に熟します。
ハマギク(キク科)
○ハマギク(キク科)Nipponanthemum nipponicum
海岸の崖や砂丘などに生える高さ50~100cmの亜低木です。花は白色で枝先に1個つきます。花が大きく美しいので江戸時代から観賞用に栽培されています。
シュウメイギク(キンポウゲ科)
○シュウメイギク(キンポウゲ科)Anemone hupehensis var. japonica
本州,四国,九州地方及び中国に自生する多年草です。日本に野生状態で生育しているものは,古く中国から渡来したものと考えられています。草丈50~80cmで,地下茎をもちます。株全体に白い伏毛があり,根出葉は大きく,有枝で3出複葉を形成し,小葉は3中裂します。また,茎葉は3裂し,無柄で互生します。茎頂で分枝し,直径5~7cmの淡い紫紅色,白色の花を多数つけます。
サザンカ(ツバキ科)
○サザンカ(ツバキ科)Camellia sasanqua
日本特産種で数多くの園芸種があり,庭木や公園樹としてよく植えられます。暖地の山地に生え,高さは普通5~6mになりますが,大きいものでは15mにもなります。10~12月,枝先に直径4~7cmの花を咲かせます。花弁は5個で平開し,ツバキと異なりバラバラになって散ります。
オガタマノキ(実)(モクレン科)
○オガタマノキ(実)(モクレン科)Magnolia compressa var.compressa
暖地の山地に自生します。神社によく植え,神前に供えます。葉は互生し,長さ8~14cmの長楕円形で革質です。表面は光沢があり,裏面は有毛で灰白色です。2~4月,葉の脇に直径3~4cmの芳香のある花をつけます。花弁は萼片とともに白色で基部は紅色を帯び,併せて12枚あります。
○クコ(実)(ナス科)
○クコ(実)(ナス科)Lycium chinense
川の土手や溝のふちなどに生え,高さ1~2mになる。茎は根元から束生し,枝は弓状に曲がって垂れ下がる。若枝には稜がありしばしば刺状の小枝がある。花冠は鐘形で先は5列する。果実は長さ1.5~2cmの楕円形で橙紅色に熟します。
ホトトギス(ユリ科)
○ホトトギス(ユリ科)Tricyrtis hirta var.hirta
山地の半日陰や湿り気のある崖などに生える多年草です。茎は直立または垂れ下がり,30~100cmになります。8~10月,葉のわきに2~3個の花を上向きにつけます。花は直径2.5cmほどで,漏斗状釣鐘形です。和名は,花被片にある斑点を鳥のホトトギスの胸にある斑点になぞらえてつけられました。

参考図書:山渓カラー図鑑「日本の樹木」,山渓カラー図鑑「日本の野草」(山と渓谷社)

日本の野生植物(平凡社)

写真:宮内庁