皇居東御苑花だより(令和2年10月2日)

令和2年10月2日
写真 説明
カシワバハグマ(キク科)
〇カシワバハグマ(キク科)Pertya robusta
山地の林内によく生える高さ30~70cmの多年草です。根茎は横に這い,茎は直立して枝分かれしません。9~11月,茎の上部に白っぽい頭花を穂状につけます。名前の由来となったハグマ(白熊)とは,ヤクの尾の毛のことで,払手(ほっす:僧が法事の時に持つはたきに似た仏具)などに使われます。
シュウメイギク(キンポウゲ科
〇シュウメイギク(キンポウゲ科)Anemone hupehensis var. japonica
本州,四国,九州地方及び中国に自生する多年草です。日本に野生状態で生育しているものは,古く中国から渡来したものと考えられています。草丈50~80cmで,地下茎をもちます。株全体に白い伏毛があり,根出葉は大きく,有枝で3出複葉を形成し,小葉は3中裂します。また,茎葉は3裂し,無柄で互生します。茎頂で分枝し,直径5~7cmの淡い紫紅色の花を多数つけます。
キンモクセイ(モクセイ科
○キンモクセイ(モクセイ科)Osmanthus fragrans var. aurantiacus f. aurantiacus
中国原産で,ギンモクセイの変種です。庭などに広く植えられています。高さは普通4~6m,大きいものは10mを超え,よく分枝します。10月,葉のわきに橙黄色の小さな花が多数束生して,強い芳香を漂わせます。雌雄異株ですが,日本には雄株しか渡来していないので,雌花はなく,果実は見られません。空気が汚れていると,花つきが悪いといわれています。
ガマズミ(実)(レンプクソウ科)
○ガマズミ(実)(レンプクソウ科)Viburnum dilatatum
各地の山野に普通に生え,高さ2~4mになります。昔から人々の生活と結びつきが深く,地方名も多くあります。5~6月に,枝の先端から小さな白い花を多数開きます。9~10月に実が赤く熟し,霜が降りる頃になると,白い粉をふいて甘くなり,食べられます。
○ヒガンバナ(ヒガンバナ科)
○ヒガンバナ(ヒガンバナ科)Lycoris radiata
別名はマンジュシャゲともいい,人里に近いところに群生する多年草です。昔中国から渡来したものが広がったといわれています。高さ30~50cmの花茎に赤色の花を輪状につけます。花のあと,線形の葉を広げ,他の草が枯れている冬の間に球根に養分を蓄えます。和名は彼岸のころ花が咲くのでつけられました。
○シロバナマンジュシャゲ(ヒガンバナ科)
○シロバナマンジュシャゲ(ヒガンバナ科)Lycoris ×albiflora
花期には葉がなく,花茎の先に5~10個の花をつけます。形態はヒガンバナに似ますが,花被片はヒガンバナほど反り返らず,葉も幅が広いです。ヒガンバナとショウキズイセンとの自然交雑種といわれています。
ススキ(イネ科)
○ススキ(イネ科)Miscanthus sinensis
別名をカヤともいいます。平地や山地の日当たりの良い場所に普通に見られる大形の多年草です。大きな株をつくって群生します。高さ1~2m,花穂は長さ20~30cmで2個ずつ対となった小穂を密につけ,白色又は黄褐色,ときには紫色を帯びます。秋の七草のひとつで,古名の尾花は花穂の姿によります。
フヨウ(アオイ科)
○フヨウ(アオイ科)Hibiscus mutabilis
高知県南部,九州南部などの暖地の沿海地に自生します。高さ1~4mになり,葉は掌状に浅く3~7裂します。7~10月,枝の上部に白色や淡紅色の花が咲きます。花は直径10~14cmの大輪で,1日でしぼみます。
マヤラン(ラン科)
○マヤラン(ラン科)Cymbidium macrorhizon
常緑広葉樹林下に生える腐生植物です。高さ10~30cmで,7~8月にかけて白色で紅紫色を帯びた1.5cmほどの花をつけます。和名は,最初の発見地,神戸市麻耶山にちなみます。
ノコンギク(キク科)
○ノコンギク(キク科)Aster microcephalus var. ovatus
野山にごく普通に生える高さ50~100cmの多年草で,茎は直立します。葉は両面に毛があり,ざらざらしています。花期は8~11月で,頭花は淡い青紫色で茎の先に多数が散房状につきます。
ジュウガツザクラ(バラ科)
○ジュウガツザクラ(バラ科)Cerasus ×subhirtella‘Autumnalis’
4月上旬と10~12月の2回花が咲きます。花は白色のものが多く,淡紅色,濃紅色などもあります。冬に咲く花は小形で,春に咲く花はやや大形なものになります。果実はまれにつきます。
サザンカ(ツバキ科)
○サザンカ(ツバキ科)Camellia sasanqua
日本特産種で数多くの園芸種があり,庭木や公園樹としてよく植えられます。暖地の山地に生え,高さは普通5~6mになりますが,大きいものでは15mにもなります。10~12月,枝先に直径4~7cmの花を咲かせます。花弁は5個で平開し,ツバキと異なりバラバラになって散ります。
アメリカヤマボウシ(実)(ミズキ科)
○アメリカヤマボウシ(実)(ミズキ科)Cornus florida
別名をハナミズキとも言います。米国東海岸からメキシコにかけて分布し,日本には明治中期に渡来しました。1912年に当時の東京市長尾崎行雄がワシントンにサクラを送り,その返礼に東京に贈られた木としてよく知られています。高さ5~12mになり,よく分枝します。秋に美しく紅葉し,枝先につややかな深紅色の実をつけます。

参考図書:山渓カラー図鑑「日本の樹木」,山渓カラー図鑑「日本の野草」(山と渓谷社)

日本の野生植物(平凡社)

写真:宮内庁