皇居東御苑花だより(令和2年7月17日)

令和2年7月17日
写真 説明
ヒマワリ(はるかのひまわり)(キク科)
ヒマワリ(はるかのひまわり)(キク科)Helianthus annuus
北米原産の1年草です。平成17年1月,上皇上皇后両陛下が阪神淡路大震災10周年追悼式典にご出席のため神戸市を訪問された際,地震で亡くなった小学生の名前にちなんだ「はるかのひまわり」の種子が,遺族代表の小学生から両陛下に贈られました。皇居東御苑のヒマワリは,両陛下がお育てになった苗から採られた種を代々受け継いでいます。
サンゴジュ(実)(レンプクソウ科)
○サンゴジュ(実)(レンプクソウ科)Viburnum odoratissimum var. awabuki
沿海地の山地に自生するほか,広く植えられます。高さは普通5~6m,大きいものは15mにもなります。葉は対生し,長さ8~20cmの長楕円形です。6~7月,枝先に大形の円錐花序をだして,白い花を多数つけます。核果は長さ7~8mmの楕円形で,赤色から藍黒色に熟します。
タラノキ(ウコギ科)
○タラノキ(ウコギ科)Aralia elata
日当たりのよい山野に普通に生え,高さ3~5mになります。枝や葉に鋭い棘が多いです。8~9月,大形の複総状花序に直径3mmの小さな白い花が多数開きます。
クサギ(シソ科)
○クサギ(シソ科)Clerodendron trichotomum Thunb
山野の林緑や川岸などの日あたりのよいところに生えます。高さ3~5mになり,枝や葉を傷つけると強い悪臭があります。花期は8~9月です。枝先の葉液から長い柄のある集散花序をだして,直径2~2.5cmの白い花をつけます。果実は直径6~7mmの球形で,光沢のある藍色に熟します。
オニユリ(ユリ科)
○オニユリ(ユリ科)Lilium lancifolium var.lancifolium
野原や田のあぜ道ばたなどに普通に見られる多年草です。花期は7~8月です。茎は1~2mになり暗紫色で若いときには白い毛があります。葉のわきには黒紫色のりん片からなるムカゴがつきます。茎の先端に直径10cmほどの大輪の花をいくつもつけます。
ヤマユリ(ユリ科)
○ヤマユリ(ユリ科)Lilium auratum var.auratum
高さ1~1.5mの日本特産のユリです。花期は6~8月で白い花の内側には赤い小点があり花は大輪で,直径15~20cmもあり強い芳香があります。りん茎は食用になります。
オミナエシ(オミナエシ科)
○オミナエシ(オミナエシ科)Patrinia scabiosaefolia
秋の七草のひとつとして有名です。日当たりのよい草原などに生える多年草で,高さ1m内外になります。7~10月に,黄色の小さな花を多数つけます。
ムクゲ(アオイ科)
○ムクゲ(アオイ科)Hibiscus syriacus
別名はハチスといい,中国原産で生垣などによく植えられます。よく分枝して,高さ3~4mになります。7~10月,枝先に直径6~10cmの花を開きます。花は1日花で,普通紅紫色ですが白花や八重咲きなど多くの園芸品種があります。実は直径約2.5cmの球形で,熟すと5裂して,長い毛のある種子を多数出します。
イワタバコ(イワタバコ科)
○イワタバコ(イワタバコ科)Conandron ramondioides
山地の湿った岩壁に生える多年草です。葉がタバコの葉に似ていることから名付けられ,葉の大きさは約10~30cmで,縁には不揃いな鋸歯があります。夏に10~20cmの花茎を伸ばし,紅紫色の花を咲かせます。
マヤラン(ラン科)
○マヤラン(ラン科)Cymbidium macrorhizon
常緑広葉樹林下に生える腐生植物です。高さ10~30cmで,7~8月にかけて白色で紅紫色を帯びた1.5cmほどの花をつけます。和名は,最初の発見地,神戸市麻耶山にちなみます。
ヒメヒオウギズイセン(アヤメ科)
○ヒメヒオウギズイセン(アヤメ科)Crocosmia × crocosmiiflora
明治中頃に渡来し,今では多くの庭園で栽培されています。高さ50~80cmの多年草です。夏に茎の上部から多数の紺赤色の花を開きます。
キキョウ(キキョウ科)
○キキョウ(キキョウ科)Platycodon grandiflorum
日当たりのよい山地や野原などに生える50~100cmの多年草です。花が美しいために昔からよく栽培されており,八重咲きや白花など園芸種も多いです。根は太くて黄白色をしており,多肉質で薬用とされます。7~9月に,青紫色で鐘形の花が咲きます。秋の七草の「朝貌(あさがお)」はキキョウのことだと言われています。
サルスベリ(ミソハギ科)
○サルスベリ(ミソハギ科)Lagerstroemia indica
中国原産で江戸時代以前に渡来しました。高さは3~9mになります。幹はなめらかで淡褐色の薄い樹皮がはげ落ちたあとが白く特徴的です。7~9月,枝先に直径3~4cmの紅紫色または白色の花を次々に開きます。比較的花の咲いている期間が長いです。花弁は6個で丸く,しわが多いです。

参考図書:山渓カラー図鑑「日本の樹木」,山渓カラー図鑑「日本の野草」(山と渓谷社)

日本の野生植物(平凡社)

写真:宮内庁