皇居東御苑花だより(令和2年7月10日)

令和2年7月10日
写真 説明
ヤマユリ(ユリ科)
ヤマユリ(ユリ科)Lilium auratum var.auratum
高さ1~1.5mの日本特産のユリです。花期は6~8月で白い花の内側には赤い小点があり花は大輪で,直径15~20cmもあり強い芳香があります。りん茎は食用になります。
オニユリ(ユリ科)
○オニユリ(ユリ科)Lilium lancifolium var.lancifolium
野原や田のあぜ道ばたなどに普通に見られる多年草です。花期は7~8月です。茎は1~2mになり暗紫色で若いときには白い毛があります。葉のわきには黒紫色のりん片からなるムカゴがつきます。茎の先端に直径10cmほどの大輪の花をいくつもつけます。
オミナエシ(オミナエシ科)
○オミナエシ(オミナエシ科)Patrinia scabiosaefolia
秋の七草のひとつとして有名です。日当たりのよい草原などに生える多年草で,高さ1m内外になります。7~10月に,黄色の小さな花を多数つけます。
サルスベリ(ミソハギ科)
○サルスベリ(ミソハギ科)Lagerstroemia indica
中国原産で江戸時代以前に渡来しました。高さは3~9mになります。幹はなめらかで淡褐色の薄い樹皮がはげ落ちたあとが白く特徴的です。7~9月,枝先に直径3~4cmの紅紫色または白色の花を次々に開きます。比較的花の咲いている期間が長いです。花弁は6個で丸く,しわが多いです。
マヤラン(ラン科)
○マヤラン(ラン科)Cymbidium macrorhizon
常緑広葉樹林下に生える腐生植物です。高さ10~30cmで,7~8月にかけて白色で紅紫色を帯びた1.5cmほどの花をつけます。和名は,最初の発見地,神戸市麻耶山にちなみます。
ハナゾノツクバネウツギ(スイカズラ科)
○ハナゾノツクバネウツギ(スイカズラ科)Abelia×grandiflora
別名はアベリアといい,中国原産のシナツクバネウツギとユニフローラの交配種です。大正末期に渡来し,広く植えられています。高さ1~2mになり,よく分枝して茂ります。花期は5~11月と長く,枝先にやや淡紅色を帯びた白い花をつけ少し芳香があり,生垣などによく植えられます。
オオバギボウシ(キジカクシ科)
○オオバギボウシ(キジカクシ科)Hosta sieboldiana var.sieboldiana
山地の草原や丘陵地などに生える多年草です。葉は根生し卵円形または卵状隋円形で,先は短くとがり基部は心形です。7~8月,長い総状花序をつけ淡紫色または白色の花が多数開きます。和名は葉が大きいことによります。
イワタバコ(イワタバコ科)
○イワタバコ(イワタバコ科)Conandron ramondioides
山地の湿った岩壁に生える多年草です。葉がタバコの葉に似ていることから名付けられ,葉の大きさは約10~30cmで,縁には不揃いな鋸歯があります。夏に10~20cmの花茎を伸ばし,紅紫色の花を咲かせます。
ヒツジグサ(スイレン科)
○ヒツジグサ(スイレン科)Nymphaea tetragona
池沼に生える多年生の水草です。多数の根生葉を出し,葉は水面に浮かび光沢があります。6~9月に白色の清楚な花が1個開きます。和名は未草で,未の刻(午後2時)に開くことによります。
ヒメヒオウギズイセン(アヤメ科)
○ヒメヒオウギズイセン(アヤメ科)Crocosmia × crocosmiiflora
明治中頃に渡来し,今では多くの庭園で栽培されています。高さ50~80cmの多年草です。夏に茎の上部から多数の紺赤色の花を開きます。 
キキョウ(キキョウ科)
○キキョウ(キキョウ科)Platycodon grandiflorum
日当たりのよい山地や野原などに生える50~100cmの多年草です。花が美しいために昔からよく栽培されており,八重咲きや白花など園芸種も多いです。根は太くて黄白色をしており,多肉質で薬用とされます。7~9月に,青紫色で鐘形の花が咲きます。秋の七草の「朝貌(あさがお)」はキキョウのことだと言われています。
ハマナス(実)(バラ科)
○ハマナス(実)(バラ科)Rosa rugosa
海岸の砂地に生え,群落をつくることが多いです。高さ1~1.5mで,枝に細かい刺がびっしりと生えています。6~8月,枝先に紅色で直径6~8cmの大形の花が1~3個開き,強い芳香を放ちます。8~9月に果実は赤く熟し,酸味があって食べられます。花は香水の原料,根と樹皮は染料として利用されます。
ホタルブクロ(キキョウ科)
○ホタルブクロ(キキョウ科)Campanula punctata var. punctata
各地の山野に普通に見られる多年草です。6~7月,紅色または白色の花をつけます。チョウチンバナ,トッカンバナなど多くの呼び名で親しまれていますが,ホタルブクロの名もちょうちんの昔の呼び名「火垂る袋(ホタルブクロ)」によるといわれます。一般にはこの花のなかにホタルを入れて遊んだことから名づけられたとの説があります。

参考図書:山渓カラー図鑑「日本の樹木」,山渓カラー図鑑「日本の野草」(山と渓谷社)

日本の野生植物(平凡社)

写真:宮内庁