皇居東御苑花だより(令和2年7月3日)

令和2年7月3日
写真 説明
イワタバコ(イワタバコ科)
イワタバコ(イワタバコ科)Conandron ramondioides
山地の湿った岩壁に生える多年草です。葉がタバコの葉に似ていることから名付けられ,葉の大きさは約10~30cmで,縁には不揃いな鋸歯があります。夏に10~20cmの花茎を伸ばし,紅紫色の花を咲かせます。
ムクゲ(アオイ科)
○ムクゲ(アオイ科)Hibiscus syriacus
別名はハチスといい,中国原産で生垣などによく植えられます。よく分枝して,高さ3~4mになります。7~10月,枝先に直径6~10cmの花を開きます。花は1日花で,普通紅紫色ですが白花や八重咲きなど多くの園芸品種があります。実は直径約2.5cmの球形で,熟すと5裂して,長い毛のある種子を多数出します。
ヤブミョウガ(ツユクサ科)
○ヤブミョウガ(ツユクサ科)Pollia japonica
山地の林内などに群生する多年草です。根は白色で長く横にはいます。茎は50~90cmになり,葉を6~7枚集めてつけます。7~9月,白色で直径7~10mmの花をつけます。果実は青藍色に熟します。
モッコク(ツバキ科)
○モッコク(ツバキ科)Ternstroemia gymnanthera
海岸の近い山地に生え,高さ10~15mになります。樹皮は帯黒褐灰色でなめらかで,葉は長さ3~7cmの狭倒卵形で,厚くて光沢があります。6~7月 葉腋に直径1.5cmの白い花を下向きに咲かせます。熟すと厚い果皮が裂けて赤い種子をだします。
ハナイカダ(実)(ハナイカダ科)
○ハナイカダ(実)(ハナイカダ科)Helwingia japonica
山地に生え,高さ1~2mになります。葉は互生し,ふちに芒状の鋸歯があります。5~6月,葉の表面の主脈の中央に淡緑色で4弁の花をつけます。果実は直径7~9mmの球形で黒く熟し,甘味があります。若葉は山菜として利用されます。
マヤラン(ラン科)
○マヤラン(ラン科)Cymbidium macrorhizon
常緑広葉樹林下に生える腐生植物です。高さ10~30cmで,7~8月にかけて白色で紅紫色を帯びた1.5cmほどの花をつけます。和名は,最初の発見地,神戸市麻耶山にちなみます。
キヌタソウ(アカネ科)
○キヌタソウ(アカネ科)Galium kinuta
和名は,柄のついた果実を砧(衣類をやわらかくするために使う槌)に見立てたものといわれます。山地の林下や,ふちなどに生える多年草です。葉は4枚が輪生し,3本の縦の脈が目立ちます。7~8月に花冠が4裂した白い花が茎の上部に枝を分けて円錐状に多数つきます。
オオバギボウシ(キジカクシ科)
○オオバギボウシ(キジカクシ科)Hosta sieboldiana var.sieboldiana
山地の草原や丘陵地などに生える多年草です。葉は根生し卵円形または卵状隋円形で,先は短くとがり基部は心形です。7~8月,長い総状花序をつけ淡紫色または白色の花が多数開きます。和名は葉が大きいことによります。
ノカンゾウ(ススキノキ科)
○ノカンゾウ(ススキノキ科)Hemerocallis fulva var. disticha
野原や溝のふちなどに生える多年草です。葉は広線形で長さ40~70cm,主脈はへこみます。7~8月,葉の間から70cmくらいの太い花茎をだし,橙赤色のラッパ状の花が10個ほど咲きます。一日花で昼間だけ開きます。結実はまれにあります。
ハンゲショウ(ドクダミ科)
○ハンゲショウ(ドクダミ科)Saururus chinensis
水辺に白い根茎をのばして群生する多年草です。臭気があり,茎は高さ60~100cmで直立します。6~8月,花が咲く頃に上部の葉は白くなります。和名は半夏生(7月初旬)のころ白い葉をつけるからとか,半分化粧をしたように見えることからつけられました。
リョウブ(リョウブ科)
○リョウブ(リョウブ科)Clethra barbinervis
高さ8~10mになります。樹皮は薄片となってはがれ茶褐色でなめらかになり,薄片をつけたまま床柱としても使われます。7~9月,枝先に小さな白い花を密につけます。
ノリウツギ(アジサイ科)
○ノリウツギ(アジサイ科)Hydrangea paniculata
日当たりのよい山野に生え,高さ2~4mになります。7~8月,枝先に,小形で5弁の両性花多数とその周囲に直径1~5cmの白色,時に淡紅色の装飾花をつけます。和名は,枝を折ると糊状の糸を引くことによります。
アジサイ(アジサイ科)
○アジサイ(アジサイ科)Hydrangea macrophylla form.macrophylla
ガクアジサイの両性花がすべて装飾花に変わったもので,古くから栽培されています。高さ1.5mほどになります。6~7月に,枝先に直径約3~6cmの装飾花を球状につけます。淡い青紫色の花弁のように見えるのは萼片で,花弁はごく小さく,雄しべと雌しべともありますが,結実はしません。

参考図書:山渓カラー図鑑「日本の樹木」,山渓カラー図鑑「日本の野草」(山と渓谷社)

日本の野生植物(平凡社)

写真:宮内庁