皇居東御苑花だより(令和2年5月22日)

令和2年5月22日
写真 説明
アサザ(ミツガシワ科)
○アサザ(ミツガシワ科)Nymphoides peltata
北海道を除いた各地の池や沼に生える多年生の水草です。根茎は水底の泥の中を横にはいます。葉は卵形または円形で長い柄があり,水面に浮かびます。葉の脇から数本の花茎を出し,黄色の花が開きます。
ネジキ(ツツジ科)
○ネジキ(ツツジ科)Lyonia ovalifolia var.elliptica
日当たりのいい山地に多く,高さ5mほどになります。幹がねじれているところから,「ネジキ」の名があります。若枝と葉は赤みを帯びます。5~6月頃,前年枝の葉のわきから,白色の花を吊り下げます。
ユキノシタ(ユキノシタ科)
○ユキノシタ(ユキノシタ科)Saxifraga stolonifera
湿ったところや岩の上などに生える多年草で,よく栽培もされます。花茎は高さ20~50cmで,多数の花をややまばらにつけます。花弁は5枚あり,上の3枚は小さく卵形,淡紅色で濃い斑点があります。薬草として利用されるほか,食用にもなります。
ウメ(白加賀)(バラ科)
○ウメ(白加賀)(バラ科)Prunus mume‘Shirokaga’
中国原産で,庭や畑でよく栽培され,多くの園芸種があります。花は1~3月,葉に先立って開き,通常白色ですが,紅色,淡紅色のものもあります。果実を梅干しや梅酒にするほか,仁を薬用に使います。万花に先駆けて冬のうちから咲き始めるので,昔から人々に愛されています。
ツリバナ(ニシキギ科)
○ツリバナ(ニシキギ科)Euonymus oxyphyllus
山地に生え,高さ4mになりますがまれに6mくらいになるものもあります。5~6月,葉腋から6~15cmの柄をだし,直径6~7mmで淡緑色またはやや淡紫色を帯びた花を開きます。蒴果は球形で熟して5裂すると,朱赤色の仮種皮に包まれた種子が現れます。
ヤマボウシ(ミズキ科)
○ヤマボウシ(ミズキ科)Cornus kousa ssp. Kousa
各地の山野に普通に生え,高さ5~10mになります。6~7月,小さな花が20~30個集まった球形の頭状花序をつくります。白い花弁のように見えるのは4個の総苞片です。果実は集合果で直径1~1.5cmの球形で,10月頃に赤く熟し,食べられます。
コアジサイ(アジサイ科)
○コアジサイ(アジサイ科)Hydrangea hirta
山地や丘陵の林下に生え,下部からよく分枝して高さ1~1.5mになります。若葉は紫褐色を帯び,上向きの毛がまばらにあります。6月頃,枝先に小形の散房花序をだし,直径約4mmの淡青緑色の花を多数つけます。
サイハイラン(ラン科)
○サイハイラン(ラン科)Cremastra appendiculata
山地の木陰などに生える多年草です。地中にラッキョウ大の偽珠根があります。葉は1枚つき,5~6月に30~40cmの花茎をだし淡紫褐色の花を10~20個つけ,一方にかたよって下向きに咲きます。和名は采配蘭で,昔,戦場で指揮をとるのに使った采配に見立ててつけられました。
ガマズミ(レンプクソウ科)
○ガマズミ(レンプクソウ科)Viburnum dilatatum
各地の山野に普通に生え,高さ2~4mになります。昔から人々の生活と結びつきが深く,地方名も多くあります。5~6月に,枝の先端から小さな白い花を多数開きます。9~10月に実が赤く熟し,霜が降りる頃になると,白い粉をふいて甘くなり,食べられます。
ミヤマウグイスカグラ(スイカズラ科)
○ミヤマウグイスカグラ(スイカズラ科)Lonicera gracilipes var. glandulosa
ヤマウグイスカグラの変種で,枝や葉,花冠などに毛が密生します。山野に生え,よく分枝して高さ1.5~2mになります。本年枝の葉腋に淡紅色の花を1~2個下垂します。液果は直径約1cmの楕円形で,6~7月に赤く熟し,表面や果柄に腺毛が密生します。
ウツギ(ユキノシタ科)
○ウツギ(ユキノシタ科)Deutzia crenata var.crenata
山野に普通に生えますが,生垣や庭木としてもよく植えられています。下部からよく分枝して高さ1.5~2mになります。5月下旬から7月にかけて,直径1~1.5cmの白い花が密に垂れ下がって咲きます。幹が中空なので,空木(ウツギ)の名があります。
センダン(センダン科)
センダン(センダン科)Melia azedarach
暖地の海岸近くに自生し,街路樹や公園などにもよく植えられています。高さ5~15m,大きい物は30mにもなります。初夏に淡紫色の花が咲きます。
サツキ(ツツジ科)
○サツキ(ツツジ科)Rhododendron indicum
川岸の岩上に野生しますが,広く栽培され,多数の園芸種があります。高さは1mほどになります。5~7月,枝先に朱赤色または紅紫色の花が1個まれに2個咲きます。

参考図書:山渓カラー図鑑「日本の樹木」,山渓カラー図鑑「日本の野草」(山と渓谷社)

日本の野生植物(平凡社)

写真:宮内庁