皇居東御苑花だより(令和2年4月24日)

令和2年4月24日
写真 説明
キンラン(ラン科)
○キンラン(ラン科)Cephalanthera falcata
山地や丘陵の林下に生える高さ30~50cmの多年草です。花は4~5月に茎の先に黄色の花を10個ほどつけます。花が咲くと,林下でもよく目立ちます。この花の色から,金蘭(きんらん)の和名がつきました。
ギンラン(ラン科)
○ギンラン(ラン科)Cephalanthera erecta
山地や丘陵の木陰に生える高さ10~30cmの多年草です。葉は狭長随円形で,花期は5~6月頃です。茎の先につく3~5個の白色の花は長さ1cmほどで平開しません。和名の銀蘭(ぎんらん)は花の色からきたものです。
コウシンバラ(バラ科)
○コウシンバラ(バラ科)Rosa chinensis
バラの原種のひとつで,古くから庭で栽培されてきました。花は四季咲きで,枝先に1~数個つきます。花冠は直径5~7cmあり,淡紅色~紅色で基部は白くなっています。
ハマナス(バラ科)
○ハマナス(バラ科)Rosa rugosa
海岸の砂地に生え,群落をつくることが多いです。高さ1~1.5mで,枝に細かい刺がびっしりと生えています。6~8月,枝先に紅色で直径6~8cmの大形の花が1~3個開き,強い芳香を放ちます。8~9月に果実は赤く熟し,酸味があって食べられます。花は香水の原料,根と樹皮は染料として利用されます。 山地の岩の上などに生え,高さ1~1.5mになります。若枝は緑褐色で無毛,樹皮は短冊状にはがれ,灰褐色になります。5~6月,狭い円錐花序をだし,直径1~1.5cmの白い花を多数つけます。花弁は5個,雄しべは10個で花糸に1対の角があります。
カラタネオガタマ(モクレン科)
○カラタネオガタマ(モクレン科)Michelia figo
江戸時代中期に渡来し,暖地の神社や庭に植えられています。高さ3~5mになり,若枝や葉柄に褐色の毛が多いです。5~6月,直径約3㎝でバナナのような香りの花が咲きます。花弁と萼片はともに黄白色でふちは紅色を帯び,内側に紫紅色のぼかしがあります。
キエビネ(ラン科)
○キエビネ(ラン科)Calanthe striata
暖地の樹林下に生える多年草です。花期は4~5月です。エビネに似ていますが,全体が大形になり,名前のとおり花の色が黄色で目立ちます。エビネは唇弁の中裂片が2裂しますが,キエビネは2裂しません。
エビネ(ラン科)
○エビネ(ラン科)Calanthe discolor
山地の林内や竹林などに生える多年草です。長さ15~25cmの葉を2~3枚つけ,この葉は冬も残ります。4~5月に萼片が紫褐色で,花弁が白色又は淡紫色の花をつけます。名前の由来は,地下にある球茎が連珠状に横に連なっている形をエビに見立てたことからきています。
カマツカ(バラ科)
○カマツカ(バラ科)Pourthiaea villosa var. villosa
各地の山野に普通に生え,高さ5~7mになります。樹皮は暗灰色で縦にしわがより斑紋があります。4~5月短い枝の先にほとんど無毛の複散房花をだし,小さい白い花が集まって咲きます。果実は長さ7~9mmの楕円形で,秋に赤く熟し,先端にがく片が残ります。
ホウチャクソウ(イヌサフラン科)
○ホウチャクソウ(イヌサフラン科)Disporum sessile
山地や丘陵の林内に普通に生える多年草です。茎は高さ30~60cmです。花は4~5月に枝の先に1~3個垂れ下がり,筒状で平開せず,白色で先端が少し緑色を帯びます。和名は,花の形が寺院や五重塔の軒に下がっている宝鐸(ホウチャク)に似ていることによります。
アメリカヤマボウシ(ミズキ科)
○アメリカヤマボウシ(ミズキ科)Cornus florida
別名をハナミズキとも言います。米国東海岸からメキシコにかけて分布し,日本には明治中期に渡来しました。1912年に当時の東京市長尾崎行雄がワシントンにサクラを送り,その返礼に東京に贈られた木としてよく知られています。高さ5~12mになり,よく分枝します。秋に美しく紅葉し,枝先につややかな深紅色の実をつけます。
シラン(ラン科)
○シラン(ラン科)Bletilla striata
やや湿った岩上や林内に生える多年草です。茎は高さ30~70cmになります。和名は花の色から紫蘭(しらん)とつけられました。
ボタン(ボタン科)
○ボタン(ボタン科)Paeonia suffruticosa
古い時代に日本に渡って来た中国原産の落葉低木です。5月頃,枝の先端に直径15~20cmの大きな花が1個咲きます。花の色は白,紫,紅色,淡紅色,黄色などいろいろあります。
シロヤマブキ(バラ科)
○シロヤマブキ(バラ科)Rhodotypos scandens
山地にまれに自生しますが,庭や公園に植えられることが多いです。高さは約2mになります。5月,枝先に直径1~1.5cmの白色の花が1個開きます。

参考図書:山渓カラー図鑑「日本の樹木」,山渓カラー図鑑「日本の野草」(山と渓谷社)

日本の野生植物(平凡社)

写真:宮内庁