「海と山のあいだ-近代日本の風景描写」
令和2年7月23日(木・祝)~9月27日(日)
前期:7月23日(木・祝)~8月23日(日)
後期:8月29日(土)~9月27日(日)
休館日:毎週月曜日・金曜日。展示替の期間
開館時間:午前9時~午後4時30分 (入館は午後4時15分まで)
わが国は東西南北に長く,日本列島を背骨のように走る山脈が太平洋側と日本海側に分け,その四方を豊かな海に囲まれています。山が多く森林に恵まれた土地では,梅雨や雪がもたらす湿潤な気候条件のもと,稲作を中心とする農耕生活が営まれてきました。このような特徴のある風土のなかで,人々は四季を通じて移り変わる自然の風情に親しんできました。
わが国の造形美術は,人々の身近にある自然に育まれつつ生み出されてきたとも言えます。古くより和歌に詠まれ,絵に描かれた風光明媚な土地は「名所」として知られるようになり,歌枕や画題として定着しました。そして,諸外国との交流が進み始める十八世紀以降は,伝統的な名所絵に新たな風景描写がみられるようになります。さらに近代化が急速に進む明治期以降には,大きく変化していく街並みだけでなく,画家自身が感興のおもむくままに身近の様々な四季の風景を描き表わすようになりました。平成25年(2013)に世界文化遺産に登録された富士山も,伝統的な名所絵としてだけではなく,それぞれの作者の個性的な表現によって表わされました。また,絵画の世界だけにかぎらず写真や工芸の分野でも,風景へと注がれる新たな眼差しによって意欲的な試みがなされました。
本展では,わが国近代の造形美術における風景描写に注目し,四季折々にみられる美しい自然の表情を描いた作品を紹介します。