「春日権現験記絵-甦った鎌倉絵巻の名品-」(修理完成記念)
平成30年8月18日(土)~10月21日(日)
*休館日 毎週月・金曜日
但し、9月17日(月),10月8日(月)の祝日及び9月24日(月)の振替休日は開館し,翌火曜日が休館
*展示替-9月18日(火),21日(金)
鎌倉時代の絵巻の名品《春日権現験記絵》は,延慶2年(1309)3月の年記をもつ付属の目録によって,藤原氏一門の左大臣
ところで,本絵巻は,春日大社の重宝として厳重な管理を受けて伝えられていたもので,江戸後期に何らかの事情で鷹司家の所有となった後,明治初期に皇室に献納され,それ以降は御物の名品の一つとして保護されてきました。そして,平成に入ってその保存管理を担うことになった三の丸尚蔵館では,絵巻を後世へ継承していくには危険な状態になっていると判断し,専門家との調査,検討を経て,平成16年度から13カ年をかけて本格的な保存修理を行いました。この平成の大修理とも言える事業は,本絵巻の芸術性,歴史性とその貴重性を考慮し,それを損なわない形での修理方針を明確にした上で,絵具の光学的・科学的調査を加え,最も確かで安全な修理技術によって実施しました。また,絵巻の表紙裂の復元には,皇后陛下が紅葉山御養蚕所でお育ての小石丸の糸を頂戴しました。さらに,軸首の復元に関わっていただいた
今後,本絵巻は,保存と公開のバランスをとりながら,多くの方々の目に触れる機会が増えることになります。日本人の優れた感性によって育まれたやまと絵のもつ繊細さ,鮮麗さ,優雅さを堪能していただくと共に,本絵巻が今日まで伝えられてきたその背景と保護の重要性にも触れていただければ幸いです。
「春日権現験記絵」15巻(20巻のうち,巻第1・6・10・11・20を除く)
*本展覧会の図録には,全巻の総ての場面を掲載して紹介します。
その他,附属の「目録 1巻」「藤花蒔絵収納箱 2点」や,修理前の旧表紙と旧軸首,修理後の表紙,軸首も紹介します。