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今年の5月,令和の御代が幕を開けました。御即位に関する一連の儀式はまとめて,大礼(たいれい)と呼ばれています。 大正4年(1915)と昭和3年(1928)に行われた大礼に際しては,儀式の調度が新たに製作され,また御即位をお祝いするため各方面から献上品が寄せられるなど,大礼ゆかりの様々な美術品が皇室に伝えられました。本展では,当館が所蔵するこれらの慶祝の意のもとに製作された品々の中から,その当時の美術の特質や時代の様子を伝える作品,そして御即位にちなんで鳳凰や菊,桐をはじめとする吉祥のモチーフが表された作品を紹介します。 大正度の大礼は,近代に入って制度として整えられた後,国家的行事として行われた初めての大礼で,その内容は,以後の大礼の基本となりました。全国各地で奉祝行事が催され,多くのお祝いの品が寄せられました。そして,昭和度の大礼は,大正度の内容を引き継ぐ形で行われましたが,関東大震災から五年を経て,復興の時期とも重なりました。帝都復興の様子は,献上の屏風にも描かれ,新たな時代への大きな期待に満ちています。また,外国との交際が一層深まったことを反映して,各国から贈進品がもたらされたことは,この時の大きな特色です。さらに,皇室においても,文化の奨励のために,皇族の方々が交わされた大礼記念の美術品の製作を各作家に依頼されたことも注目されます。皇室の御慶事に関連した美術品を概観するとき,この昭和度大礼は,華やかさの頂点として位置づけられます。 本展を通じて,大礼を慶祝する伝統的な美のかたちに親しんでいただくとともに,御即位を寿ぐ機会となれば幸いです。 展覧会図録(PDF形式:64.2MB) |