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慶応3年(1867)正月に明治天皇が践祚し,同年12月には王政復古の大号令が発せられます。これは,平安時代からの摂関制と,鎌倉時代以来の武家政治の終わりを告げるものでもありました。翌年には正月に天皇の御元服儀,8月に即位礼が挙行され,その直後に改元が行われて,若き天皇とともに明治という時代が幕を開けたのです。欧米列強と肩を並べるために,天皇を中心とした近代国家の形成は急務であり,天皇および皇族の新たな役割が模索されることになります。それは,主に儀礼をつかさどる存在であった近世の朝廷とは大きく異なるものでした。 まだ戊辰戦争が継続する中,京都御所紫宸殿で行われた即位礼では,儀式の次第は古制をほぼ踏襲しながらも,参加者の服制や式場の鋪設は日本の本来的,理想的なあり方に戻そうと努めるなど,新旧の要素をうまく結合させた新しい天皇の姿を示そうという姿勢がうかがえます。 そして,明治2年(1869)以降,政治の中枢は京都から東京へと移り,明治21年になると近代国家としての行事を行うのにふさわしい明治宮殿も竣工しました。その後,明治27年の天皇大婚二十五年の祝典や,同33年の皇太子(大正天皇)御成婚といった御慶事のたびに,海外諸国の例も参考としながら盛大な儀式,祭典が開催され,内外に対して広く近代皇室の姿が公開されていきました。 三の丸尚蔵館では平成19年に,皇室の御慶事が相継いだ大正時代をテーマにした展覧会「 展覧会図録(PDF形式:69.8MB) |