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当館では,皇室が行われた国際親善を中心とするテーマに基づいて,これまで幾度かの展覧会を開催してきました。諸外国の元首や高官から皇室へ贈られた各地の珍しい品々は,当館の収蔵品の性格を特徴付ける一つとなっています。これらの品々はある意味ではその国を象徴する役割を担い,私たちはそれらを見ることを通じて異なる文化へと思いを馳せるのです。 さて,インターネットを始めとする情報化社会の進展によって,私たちは十数年前に比べてはるかに容易に海外事情を知ることができるようになりました。しかし,実際にその土地を初めて訪れることによって,その独特な風土や国民性にふれる一連の経験は,まさに百聞は一見に如かずの言葉通り,新鮮な驚きと感動をもたらしてくれるものです。美術工芸品を通じて出会う国々の姿もまた,政治や社会問題のニュースによって伝えられる姿とは異なる印象を私たちに与えてくれるのではないでしょうか。今日まで引き継がれる伝統文化や民族色豊かな造形とは,すなわちそれぞれの国が歩んだ歴史や人々の日常の生活に根ざしたものだからです。異文化への素朴な関心を生み出す未知の造形芸術との出会いは,私たちの想像力を広げる美術鑑賞の醍醐味の一つと言えるでしょう。 本展では世界各地の様々な作品を一堂に集め,これまでに紹介した中でも特に造形的に興味深い作品や,今回が初紹介となる貴重な作品,今までに取り上げることができなかった国々の作品などにも注目します。また,それらの品々が作られた時代も紀元前から現代にいたるまで幅が広く,それぞれの歴史的な特質に迫ります。それでは,世界を巡る美術探検へと旅立ちましょう。 展覧会図録(PDF形式:37.9MB) |