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宮内庁には,皇室にゆかりのある図書や公文書,考古品を今日まで守り伝えてきた書陵部という部署があります。平成22年秋に開催した特別展「皇室の 今回の展覧会は,書陵部所蔵の貴重図書を中心に,その時代随一の教養を備えられていたことで知られる天皇の御直筆の書( 花園天皇の〈誡太子書〉や,その御父君である伏見天皇の〈伏見院宸記〉に代表される歴代天皇の宸筆や,能書としても高名な九条良経などの公家の手になる和歌懐紙,日記,書状等の名筆の数々は,単に歴史的資料としての価値が高いだけではなく,美術的視点からも,多くの方々に興味をもって鑑賞いただけることと思います。 また,〈平重盛書状〉や〈西行書状〉も,鎌倉時代という武士が切り開いた新しい時代に先立って,平安時代末期に,すでに宮廷文化の素養を十分に身につけた武士が現れていたことを物語る貴重な書です。 今回の展覧会には,これらの名筆に加えて,京都の御陵に安置されている後白河天皇御木像の内部に納められている天皇御画像( こうした筆跡と肖像とを重ね合わせて御覧いただくことにより,幾世紀もの時の隔たりを超えて,歴史的人物と直接向き合い,対話する時間を持っていただけるならば,これにまさる喜びはありません。 展覧会図録(PDF形式:35.0MB) |