眞子内親王殿下 ペルー及びボリビアご訪問を終えられてのご印象

眞子内親王殿下のご印象

令和元年8月2日(金)
ペルー及びボリビアご訪問を終えて

この度は,「日本人ペルー移住120周年」及び「日本ペルー交流年」に当たりペルー共和国政府のお招きでペルーを,「日本人ボリビア移住120周年」に当たりボリビア多民族国政府のお招きでボリビアを,公式訪問いたしました。このような年にそれぞれの国を訪問出来ましたことを,大変嬉しく思います。そして,今回の訪問に際しご尽力くださり様々なご配慮をくださいました方々へ,心より感謝の気持ちを表したく思います。


ペルーでは,ビスカラ大統領閣下を表敬いたしました後,閣下主催の午餐会にお招き頂きました。ボリビアでは,第六代サンタクルス大統領の霊廟へ献花の後,モラレス大統領閣下を表敬し,閣下主催の午餐会にお招き頂きました。また,両国各地の知事,市長,村長をはじめとする方々が,夕食会や歓迎式典,市の鍵や賓客宣言文の贈呈等を通して歓迎してくださいましたことも,誠に有り難く存じました。

いずれの国でも,日系社会にとって重要な場所,施設や移住地をご案内いただき,訪問先以外から来られた方も含め,あらゆる世代の日系の皆様とお会いし,移住当時を始め,現在のご生活やいろいろな分野におけるご活動などについて様々なお話を伺えましたことは,強く心に残っております。それぞれの国の歴史や多様な文化に触れる機会や,在留邦人やJICAの方々より現地でのご活動について伺う機会をいただきましたのも,嬉しいことでした。

多くの方々があたたかく迎えてくださいましたことに,深く感謝しております。


ペルーのリマでは,「日本人ペルー移住百周年記念碑」への献花の後,「日本人移住120周年記念式典」に各地より集まられた日系社会の皆様と共に出席し,120周年をお祝いいたしました。記念式典ではペルーと日本の舞踊が披露され,いきいきとした空気が会場を包んでいました。日秘文化会館の日本人ペルー移住史料館では,展示を拝見し,ペルーの日系社会が歩んで来られた長い道のりに思いを馳せました。また,ラ・ウニオン校とラ・ウニオン運動場協会,エンマヌエル協会の診療所と憩いの家を訪問し,ペルーの日系社会のご活動と各施設での皆様のご様子に接したほか,ペルーと日本のフュージョン料理を味わうなど,両国の文化の融合を体験いたしました。リマの新市街ミラフローレス地区を散策する時間もありました。

リマの天野博物館では,故天野芳太郎氏が収集されたアンデス文明チャンカイ文化の織物をはじめとした美しく素晴らしい展示物を拝見し,クスコでは,マチュピチュ遺跡の麓にあるマチュピチュ村を訪れて初代村長であった故野内与吉氏についてのお話を伺うなど,日本からペルーに渡り活躍された方々のご功績に触れ,感銘を受けました。

クスコのインカ帝国の遺跡であるマチュピチュやサクサイワマンでは,壮大な遺跡を眺め,当時の人々の石を積み上げる技術や,太陽の動きの正確な理解に驚きを覚えました。サントドミンゴ教会の土台の一部として残っているインカ帝国時代の太陽神殿であるコリカンチャ,インカ帝国時代のビラコチャ神殿の跡に建設されたクスコ大聖堂を訪れましたことも,ペルーの歴史や文化をより深く知ることができる特別な機会でした。


ボリビアのラパスでは,ラパス日本人会館や日本庭園を訪れ,ラパス日本人会館のボリビア日本人移住資料館では,120年の歴史の中に,おひとりおひとりの物語があることを改めて感じました。

ボリビアにおける「日本人移住120周年記念式典」は,次の訪問地であるサンタクルスにて行われました。式典でガルシア・リネラ大統領代行が政府代表としてあたたかいお言葉をくださり,その後に行われた祝賀会にサルバティエラ副大統領代行がご出席くださいましたことは,大変ありがたいことでした。祝賀会では,歌,日本舞踊,琉球太鼓なども楽しませて頂きました。サンタクルス中央日本人会館の日本語普及校やビルへン・デ・ファティマ乳幼児養護施設では,普段の学習や生活のご様子を垣間見ることができたように思います。

サンタクルスのサンファン移住地とオキナワ移住地では歓迎昼食会を開いてくださり,移住地の産物を使った手作りのお料理やボリビアの民族舞踊,三線や歌で,心のこもった歓迎をしてくださいました。慰霊碑に献花し,移民史料館,歴史資料館にて移住地の歴史の展示を拝見いたしました際,保存された移住当初の原生林を目の当たりにした時には,開拓当初の厳しい環境と,その中で行われた開拓がどれほど大変なことであったのかに思いをいたしました。サンファン学園やコロニア沖縄農牧総合協同組合(CAICO)を訪問し,どのような教育や農業が行われているのかを知ることもできました。

公共交通機関であるロープウェイからラパス市を眺め,国立民族博物館で民族文化の多様性を学び,グエンべ自然公園で豊かな動植物を観察できたことも,貴重な経験でした。


いずれの国でも,様々な場面で,日系社会の中で日本の文化が継承されていることを感じると同時に,日系の方々をはじめとする多くの人々の協力のもと,日本の文化や日本語に接し学ぶ機会が作られ開かれていることを実感し,喜ばしく思いました。日本語を流暢に話される若い世代の日系の方々にもお目にかりました。


日本からの移住者とそのご子孫が,大変な苦労と困難を勤勉さと誠実さを持って乗り越えてペルーとボリビアにしっかりと根をおろし,その発展に貢献され,人々の厚い信頼を得てこられたこと,日本・ペルー,日本・ボリビアの架け橋となってこられたことに,改めて,心より敬意を表します。そして,日系の皆様が築き上げて来られた歴史が未来を担う若い世代にも大切に引き継がれていくことを願い,私もその歴史を心にとどめてまいりたいと思います。


これからも,日系社会の皆様がお元気で末永く活躍され,日系社会が一層発展しますよう,また今後とも日本とペルー,日本とボリビアの友好関係がますます深まりますよう,願っております。