眞子内親王殿下 パラグアイご訪問を終えられてのご印象

眞子内親王殿下 パラグアイご訪問を終えられてのご印象

パラグアイ訪問を終えて(平成28年9月28日(水))

「パラグアイ日本人移住80周年」という記念すべき年に,パラグアイ共和国政府のお招きにより同国を公式訪問できましたことを誠に嬉しく思います。

このたびの訪問では,カルテス大統領閣下を表敬訪問し,親しくお話しをする機会をいただきました。その後には,閣下が夕食会を催してくださるなど,優しくお迎えいただき,たいへんありがたく存じました。私の訪問にあたり,ご尽力いただいた多くの方々,そして各地で受けた温かい歓迎と様々なご配慮に対し,心より感謝の気持ちを表したく思います。

パラグアイでは,訪問した先々で思い出深い出会いがありました。首都アスンシオンでは,独立の家(歴史博物館)や観光情報センター,日本パラグアイ学院や泥博物館(民俗博物館)を訪問し,パラグアイ・日本・人造りセンターで開催された歓迎式典に出席いたしました。南部のエンカルナシオンでは,世界遺産のトリニダ遺跡とコスタネーラ遊歩道を訪れ,イタプア県知事主催の夕食会に出席いたしました。東部のシウダ・デル・エステでは,世界有数の発電能力を誇るイタイプダムと,先住民族博物館を訪れました。アスンシオンとエンカルナシオンからは市の鍵,イタプア県とアルト・パラナ県からは名誉訪問者賞を頂きました。これら様々な機会を通してパラグアイに親しむことができ,喜ばしく思っております。

パラグアイ日本人移住80周年記念式典と祝賀会は,誠に盛大なものでした。

本80周年には,パラグアイ国と同政府による日系社会の貢献に対する感謝,そして,日系社会による自分たちを受け入れてくれたパラグアイの人々に対する感謝,という双方の思いが込められていると伺っておりました。これらの催しに参加された方々の間に強い絆を感じ,このような特別な年を祝う場に出席できたことを幸せに思いました。

また,1936年に最初の入植者が足を踏み入れたラ・コルメナを始めとして,チャベス,ラ・パス,ピラポ,イグアスの5つの移住地を訪れるという大切な機会も頂きました。どの訪問先でも,日系社会の方々が心を込めて歓迎してくださいましたことに,深く感謝しております。日本の歌や踊り,和太鼓,小学生相撲などの楽しい出し物や,地元で採れた作物を使ったおいしい日本料理などで,おもてなしをしてくださいました。そして,各移住地の慰霊碑や記念碑,学校,移住史料館,農業協同組合等の施設を見学し,移住から今日までの歴史に思いを馳せました。これらの移住地やアスンシオン,エンカルナシオン,エステ,アマンバイの日系社会の方々,日本に関係の深いパラグアイの方々,JICA関係の方々とお会いできましたことを,たいへん嬉しく思います。

ご高齢の方から私と同年代の方まで,日系社会の様々な方々と,移住への思いや現在の生活,お仕事や活動など,いろいろなお話ができましたことは,忘れられない思い出となりました。想像を絶するような困難を勤勉さと誠実さで乗り越え,努力を積み重ねて現在の生活を築かれたことと思いますが,穏やかな表情で今の暮らしへの感謝を語られる一世の方が多いことは印象的でした。日本人移住者とその子孫の皆様が,パラグアイの発展に貢献され,パラグアイの人々から厚い信頼を得て,日本・パラグアイ両国の友好の掛け橋となってこられたことに,心より敬意を表します。

これからも,日系社会の方々がお元気で末永く活躍されるとともに,日系社会が一層発展しますよう,また今後とも日本とパラグアイが寄り添える関係でありますよう,そして両国の友好関係がますます深まりますよう願っております。