主な式典におけるおことば(平成31年)

文仁親王妃殿下のおことば

第41回聴覚障害児を育てたお母さんをたたえる会
平成31年1月21日(月) (憲政記念館)

 「第41回聴覚障害児を育てたお母さんをたたえる会」の開催に当たり、全国からお集まりの皆さまとお会いできましたことを大変嬉しく思います。

 本日は、最初に、聴覚障害児を育てたお母さま方への表彰がございます。この表彰は、昭和53年に始まり、今日までに8,500名以上の方が表彰されました。

 近年、補聴機器や情報通信などを含む科学技術の進展や、手話言語に対する理解の広がりにより、聴覚に障害のある子どもたちをとりまく環境は、大きく変化しております。そうした中、子どもたちが、コミュニケーションの力を伸ばし、社会で生きていく力を身につけるためには、様々な課題があると伺っております。皆さまには、お子様方が言葉を学び、自分らしく生きていけるよう、心を配り、努力や工夫を重ねてこられたことと思います。困難に直面し、不安を感じたこともおありだったでしょう。その中で、希望をもって、お子さまを立派に育てられましたことに、深く敬意を表します。
 
 続いて、社会貢献の著しい聴覚障害者への表彰がございます。今回の受賞者は、幼い頃から画家になりたいという夢を持ち続けて、夢を実現した方です。現在は洋画家として活躍され、また、障害者理解のための啓発活動を幅広く進めていらっしゃることを、心強く思います。

 そして、「第14回全国聾学校作文コンクール」の金賞受賞者の表彰がございます。今年も、数多くの小学生、中学生、高校生が、経験したことや考えたことを自分の言葉で書き表してくれました。この度受賞される方々を始め、作品を寄せてくださった方々が、これからますます言葉の力を伸ばしていくことを期待しております。
 表彰を受けられる皆さまに、心からお祝いを申し上げます。

 聴覚障害に関わる分野でご尽力されている方々に感謝の意を表しますと共に、聴覚障害に対する理解がさらに深まり、皆が安心して豊かに暮らせる社会が築かれますことを願い、大会に寄せる言葉といたします。