秋篠宮皇嗣殿下お誕生日に際し(令和5年)

会見年月日:令和5年11月27日
会見場所:赤坂東邸
記者会見をなさる秋篠宮皇嗣殿下
記者会見をなさる秋篠宮皇嗣殿下

秋篠宮皇嗣殿下のお誕生日に際してのご近影

秋篠宮皇嗣殿下の記者会見
令和5年11月27日(月)

問1 お住まいについてお伺いします。秋篠宮邸の改修にあたり、ご家族で相談をされ、宮邸改修後も佳子さまが分室で生活をされることになった経緯や、当初の計画からの変更点について公表されなかった理由をお聞かせください。宮邸の改修費用をはじめ、佳子さまが分室にお住まいの事実を公表するまでの経緯やタイミング、説明内容をめぐっては国民の間でも様々な意見がありますが、殿下のお考えをお聞かせください。国民の理解を得るためにはどのような対応が必要だとお考えでしょうか。
殿下

今の御質問にあった私たちの住まいについてですけれども、まずお話をしておくのがいいかなと思うのは、住まいというと住んでいる場所、つまり居住区になります。今回の改修というのは、その住まいの部分と、それから来客の応対をしたり、それから私たちが様々な打合せをしたりする場所、これを公室部分と呼んでいます。そして、広義ではその二つを秋篠宮邸と言えると思います。それにプラスして、役所の一組織である皇嗣職、それが加わった工事、改修でありました。それの新築部分若しくは増築部分というのは、最も大きかったのがお役所の部分、皇嗣職の部分で、これが66%でした。そして、それから今度は公室部分、これはもう50年間、元の秩父宮邸ですけれども、50年間にわたって行われてこなくて、かなり老朽化した部分がありました。それで、かなり引き延ばしていたんですけれども、それも、どうしてもせざるを得ないということで行ったものと、そこに、こちらが主として公的なものに関わる仕事をする場所というもの、それが大体30%弱ですね。29%になるかな。そして住まいについて、5%ほどの増築をしたわけでございます。今いろいろとこう話題になっていること、それは、それら全てが一緒にされていることが大きいように思います。そしてまた一方で、今まで発表されてきたことに、その三つの区分けというものがどうも明確ではなかった、説明が不十分だったと私は思っています。そのことを理解していただきたいと考えます。また、公表でしたか、公表しなかったこと。

記者

ご家族での相談や、佳子さまが分室で生活をされることになった経緯。

殿下

これは当初、この改修工事が始まる時に、 私と妻もそうでしたし、それから娘たちも両方とも最初から、改修した後の所に、当時は長女と次女二人ですけれども、部屋を設けないという考えを持っていました。理由としては、いずれはこの家から出ていくであろう、実際に一人はもうその前に結婚しているわけですけれども、娘たちの部屋をそこに用意すること自体がある意味無駄になるという考えからです。そのことを両方、つまり、私たちも思っていましたし、娘たちも思っていましたので、話合いというか、ある意味、その認識を確認したということで、非常にすんなりと決まったことでありました。そして、そのことを公表しなかった理由、これは、つまり、仮に住んでいた場所の一部と今住んでいる場所と一体的に使うということであり、次女が別々に住んでいるというのを公表しなかったことでありましょうが、当初しなかったのは、まず、どこに住んでいるかというのはプライベートなことになります。この家のどこに誰が住んでいるということは、そもそも、もともと公表していないことですね。そしてもう一つはやはりセキュリティ上のこともありますので、そういうことから公表しなかったわけです。しかしその後、例えば皆さんとお話をしているこの赤坂東邸を秋篠宮邸の一部にする、一体化させるという話などもありましたけれども、そういうのは、結局は今の共用殿邸としての形を残すべきだろうということから、そういう話がなくなったことなどを合わせて、やはり当初からの大きな変更というふうに考えたことから、6月の公表ということになったわけです。そうですね。大体それで今の質問に答えていますでしょうか。

記者

発表するまでの経緯やタイミングにあっては。

殿下

そうですね。発表するまでの経緯。経緯というか、特にタイミングですね、これについては冒頭にお話ししたように、この改修工事が、私たちの住まいともう一つは皇嗣職というお役所の一部署と両方のことを合わせて発表しないといけないというようなことから、いろいろ意見集約に時間が掛かった。本来であれば、年度末に出せば良かったと思いますけども、いろんなことから時間が掛かったということがありました。そして、それとともに、これは最終的にこういうことを公表するという段階で、それを良しとするのは、まあ言ってみれば私ですが、私自身がそのことについて、かなりぐずぐずしていたということがあります。つまり引き延ばしてしまい、非常にタイミングとして遅くなったなというのが反省点です、といったところでしょうか。

記者

タイミングに関連するのですけども、ぐずぐずということはどういったところ。

殿下

そうですね。どういったというか。先延ばしにしてしまったというところですね。もっとやはりそこにきちんと関わって、タイムリーに出すという必要があったなと思っています。

記者

この発表の経緯やタイミングに関しては、国民の間でも様々な意見がございますが、国民の理解を得るためには、どのような対応が必要だとお考えでしょうか。

殿下

そうですね。こういうことは、理解を得るというのは、本来はそういう何かをする前に理解を得るという、得られるかどうかということなのだと思います。したがって1回出たことに対して理解を得るということは、なかなか私自身は難しいことだと思いますけれども、先ほど冒頭でお話ししたような、こういう事情があるのだということをまずは伝えておくことが必要かなと思いました。よろしいでしょうか。

問2 宮内庁に皇室の情報発信強化を目的とした広報室が新設されてから約8カ月が経過しました。殿下が過去の会見で言及されたタイムリーな情報発信や、反論する場合の「基準作り」の検討状況とともに、現在の皇室の情報発信についての見解や課題、秋篠宮家へのバッシングととれる一部報道やSNS上の声についてのご感想や、その対応について宮内庁と話し合っている事柄がありましたら教えてください。公的なご活動以外のご様子を伝えることは皇室への理解を深めることにもつながりますが、殿下のお考えをお聞かせください。
殿下

宮内庁に広報室ができたのがこの4月になります。ただ、この広報室ができて、半年以上()っていますが、私自身が何かそれに関わっているということはありません。しかし、恐らく、宮内庁の総務課広報室で、皇室の情報発信ということについては、今いろいろなことを考えている、検討している段階だと思います。私はやはり情報、先ほど自分のことがタイムリーじゃなかったのであまり言えないのですけれども、やはり大切な情報を役所のウェブサイトでタイムリーに発信していくということは、大変大事なことだと思います。ウェブサイトについても、それほど遠くないうちにリニューアルが行われるという話も聞いておりますので、そこが良い形での情報発信の場になるといいのではないかと思っています。(質問が)たくさんあったので。

記者

殿下は過去の会見でも言及されていました、反論する場合の「基準作り」に関して、これに関してはいかがですか。

殿下

そうですね。昨年も確か基準は非常に作るのは難しいという話をしたかと思います。何かリアクションをする時にしても、その中にいろいろな要素が入っていますので、これをどこか一定のところに持っていくというのは、これはなかなか難しいですけれども、メディアとかネット、そういうものに対して、対応するための何らかのガイドラインというのは、引き続き検討していく必要があるかと思っています。そうですね、基準ということについてはその辺りでしょうか。

記者

現在の皇室の情報発信についての見解や課題については、いかがでしょうか。

殿下

そうですね。皇室の情報発信、これは先ほどお話ししたことと重複しますが、やはり、皇室全体の情報発信、これをタイムリーに行っていくことは非常に大事なわけなのですけれども、一つ、もし課題を挙げるとすれば、広報室というものができても、ではその広報室が今度はそれぞれの家ですね、うちも含めて、どういうふうに密にコンタクトをとりながらやっていくかというのは、これはそれぞれとやらなければいけないわけですから、人員的な問題もありますし、どういうふうにコラボというか協力しながらやっていくかというのは、これからもっと考えていかなければいけないことではないかと思います。

記者

秋篠宮家へのバッシングととれる一部報道やSNS上の声についてのご感想はいかがでしょうか。

殿下

そうですね。バッシングと取れる報道とかSNSでの声についての感想、これはまず、なかなか感想を言うのは難しいなと思います。というのは、SNSとかネットユーザーの中で、どれくらいの人が、そういう意見を書き込んでいるのか、非常に極端なことを言っている人の割合というのは相当低いというのは私も知っていますけれども、それよりかは恐らくもっと広範に見た方が良いと思うのですが、バッシングの基準というのもなかなか分かりにくいところもありますけれども、ネットユーザーの中のどれくらいのパーセンテージでそういう発信をしているのか、ということが分からないとこちらとしてもなかなか感想ということは言えないわけですね。それが非常に高いのか、それとも非常に低いのか、によってやはり違ってくると思います。この辺りは、そうですね、私もこれから少し調べてみる必要はあるのかなと、それは、こちらに対してということではなくてですね、全体の利用状況といいますか、そういうもののことですけれども、して(調べて)みたいと思います。

記者

現状の認識としては、かなりお心を痛められているとかっていうような。

殿下

何と言いますか、それを目にしなければ気にはならないわけですね。目にすることもやはりあるわけですけれども。今、お話ししたように、ではどれくらいの人たちがそういうことを書いているのか、発信しているのかということによって、こちらの認識というのも変わってくるということですね。

記者

その対応について、宮内庁と話し合っている事柄がありましたら、お教えください。

殿下

対応については、特段何か話合いをしているということはありません。ただ、これは先ほどの反論の基準にも少し関係してくるかもしれませんけれども、むしろ、例えば宮内庁であれば、繰り返しになってしまいますけれども、よりポジティブと言うとちょっと言い過ぎかもしれないですけれども、正確な情報をタイムリーに出していくことは、そういうものと向き合う上では大事なことではないかと思います。

記者

公的なご活動以外のご様子を伝えることは皇室への理解を深めることにもつながりますが、殿下のお考えをお聞かせください。

殿下

そうですね。公的なもの以外というもの、これもかなりたくさんあるわけですけれども、確かに今お話があったように、そういうものも含めて発信されると、理解が深まるということは考えられます。そしてまた、私たちの活動を三人称でなくて一人称で発信したとすれば、それはより理解が深まると思うのですね。それの延長として、じゃあ、公的な活動以外のものも発信できるかというと、これなかなか、それこそ一定の基準がないと難しいかもしれません。というのは、公的な事柄に非常に近いこともあれば、夏休みにどこかに行ったとか完全に私的なこともあります。そして、もう一つは、あくまでも宮内庁のホームページで情報発信をするということになると、基本はやはり公的な事柄の発信ということになるのだと思います。ですから、その辺りをどこまで許容できるか、というのはこれから検討していく、検討に値するのではないかなと思っています。その中には、例えば外国に行くのであっても、公式ではなくて非公式なのだけれども、行った訪問先ではかなり公的に扱っているものなども今までもありますので、その辺はまた考えていったら良いのではないかと思います。

問3 お子様方についてお伺いします。佳子さまは、手話を使った公務や国際親善のためのペルー訪問など多くの公務に取り組まれていますが、今後のご活動への期待やご結婚に対するお考え、助言されていることや話し合われていることがあればお聞かせください。悠仁さまは来年4月に高校3年生に進級され、9月には成年を迎えられます。最近のご様子や成長ぶりとともに、卒業後の進路についてのお考えや成年皇族としての期待、悠仁さまやご家族で話し合われていることがあれば教えてください。
殿下

まず、それでは次女のことからお話しいたしますと、先日ペルーを公式に訪問して、彼女にとっては2回目になるのですかね、公式訪問で。行く時に飛行機のトラブルなどがありましたけれども、予定していたものは全て向こうで行うことができ、大変有意義に過ごしたと思います。そして、ペルーもそうですし、それから、手話を使った公的な行事ということもお話にありましたけども、日本国内での公的な仕事、そういうものも併せて非常に一所懸命取り組んでいると私は思っています。そして、その後にあったのは助言でしたか。

記者

今後の活動への期待。

殿下

今後の活動への期待ということについては、これは、以前からお話をしていることですけれども、やはりいろいろなところから声を掛けていただいているわけですし、それぞれの、主催している人たちにとっては大変大事な催しが多いわけですね。ですので、引き続き一つ一つ、声を掛けていただいた仕事に対して真摯に取り組んでいってもらいたいと思っております。あとは。

記者

御結婚に対する、佳子さまのお考え、そして殿下のお考えについて。

殿下

そうですね、結婚については、もし、いずれ、娘が結婚のことについて話をしてきた時には、彼女の考えをよく聞いて、そしてまた、こちらの思うところも伝える、というような感じで話し合っていければと思っています。

記者

助言されている事や、話し合われている事はありますでしょうか。

殿下

それは結婚について。特に今はありません。

記者

悠仁さまについてお伺いします。来年4月には高校3年生に進級され、9月には成年を迎えられます。最近のご様子や成長ぶりとともに、卒業後の進路についてのお考えや成年皇族としての期待、悠仁さまやご家族で話し合われていることがあれば教えてください。

殿下

早いもので、来年の9月で18になって、今成人の年齢が18になりましたので、もうそういう時期なのだなという思いを持っています。最近の様子ですけれども、今、高校2年生で、もう少しすると今度高校3年になるわけです。それで、これは多くの人たちがそうなのではないかなと思いますけども、学校以外の多くの時間を机の前に座っているという状況ではあります。一方で、その合間合間を使いながら、以前から自分が関心を持っていたこと、例えば、恐らく1番関心が強いのはトンボ類のこと、トンボについてなのですけども、そのトンボ類の調査をしていることや、また、かなり以前からやはりお米についても調べていましたので、実験をしたりとか、ということもしております。成長の様子というのは、同じ家に住んでいて毎日のように顔を見ていますので、連続的ですから、なかなか私として何が成長したというのは、よく分からないところがあります。恐らく何年か()った後に、この時にこういう感じで成長したのだなということを思い出すのではないかとは思うのですが。自分が持っている関心の幅というのがやっぱり広がってはきているように思うのですね。例えば、トンボを始め昆虫のことについていろいろ調べている、そうすると今度はその生息環境をどういうふうにしたらいいか、そうするとそこにどういう植物がふさわしいかとか、そういうようなものがいろいろ出てきて、それがこうつながってきているのかなという気はします。成長の具合はそんなところでしょうかね。様子、成長はね。それから。

記者

卒業後の進路について。

殿下

卒業後の進路。卒業後の進路は、卒業して例えば大学に行くという時に、本人が何をしたいかということがやはり1番大事なのだと思います。そういうことができるような場所に行ってくれたらいいのではないかなと私は思います。

記者

成年皇族としての期待はいかがでしょうか。

殿下

そうですね。成年を迎えても、しばらくの間は、恐らく学業優先になりましょうから、公的な場所に頻繁に出るということではないと私は思います。もちろん空いているときには出ると思いますが。そしてまた、息子についても、これは娘と同じようにですね、だんだんにいろいろなところから声を掛けていただくことになるのではないかと思います。その場合には、それら一つ一つに対して、一つ一つを大事にして、丁寧に取り組んでいってもらいたいなと思っています。

記者

卒業後の進路について、悠仁さまやご家族で話し合われていることがあれば、教えてください。先ほど本人が何をしたいかということもありましたが、その点について話し合っていることは。

殿下

そうですね。さっきお話ししたこと自体が、話し合っていることにもなります。

問4 安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の有識者会議が、皇族数の減少対策をまとめた報告書が国会に提出されてから間もなく2年が経過しますが、国会での議論が進まない現状を、殿下はどうお感じになっていますか。また、皇室の高齢化や皇族の減少についての受け止めとともに、皇室で古くから担われているご活動や役職、慣例化している公的なご活動の見直しに関してのお考えをお聞かせください。
殿下

まず、最初の国会での議論ということでありますけれども、そのこと自体が皇室制度に関係してくることです。したがって、私が何かお話しするというものではないと思っております。それから、二つ目が。

記者

皇室の高齢化や皇族の減少についての受け止めをお聞かせください。

殿下

これは言い方があまり適当ではないかもしれませんけれども、生物(せいぶつ)である以上、年を取っていくのは、これは必然的なことです。また、寿命といいますか、生きている時間というのも、これも限りがあるというのは、当然のことなわけですね。ということは、次の世代がいなければ当然のことですけれども高齢化し、また、人員が少なくなってきます。また、もちろん結婚して離れる、今のシステムで言えば結婚して離れるということもありますから、これは受け止めというか、必然的なことではないかと私は思っています。それで。

記者

皇室で古くから担われているご活動や役職、慣例化している公的なご活動の見直しに関してのお考えをお聞かせください。

殿下

これは、皇室で古くから担っている活動というのは、何をイメージしておられるのかが私、ちょっと分からないのですけれども、宮中祭()でしょうか。

記者

例えば総裁職とかですね。

殿下

総裁職、そうすると役職と同じこと。

記者

それもありますし。

殿下

なるほど。総裁職などの場合には、先ほどと関連して人数が少なくなれば、それを引き継ぐことというのは難しくなってきてしまいますね。一方で、総裁職でも少し乱暴な言い方かもしれませんが、かなりある分野に特化した、スペシフィックなものとジェネラルなものとがあるように思います。そうすると、もし次の世代がいる場合に、ジェネラルな方は引き継ぐ人がいると思うのですけれども、より特化したものというのは、やはりそれに対して非常に関心があるとか、自分が何かそういうものに携わっているということでなければ、私は引き継ぐべきではないと思っています。

記者

そのほか、御活動に関して、見方によっては既に当初の目的を達しているような御活動というのもたくさんあると思うのですが、そういったものに関してはどのようにお考えでしょうか。

殿下

そうですね。ずっと以前に私は公的なものというのは、受け身的なものではないかというお話をしたことがありましたけれども、したがって、依頼を受ければ引き受けることが多いわけですよね。一方で、先ほどお話があった皇族の数の減少というものもありますし、両方を考え合わせますと、何らかの見直しを行うということは必要になってくるのではないかと思います。ただ、例えば私に関わるもので、私が主導して、ということではないのですね。あくまでそれを主催している人と宮内庁で話し合う事柄かと思います。

問5 この1年を振り返り、国内外の出来事や皇室について印象に残ったことをお聞かせください。
殿下

いろいろなことがこの1年ありましたが、例えば、ロシアのウクライナ侵攻が今でも継続していることや、先月に始まったパレスチナの武装勢力とイスラエルとの衝突などは印象に残っているものの一つですし、特にガザ地区で多くの死亡者が出ていますけれども、その4割以上が子供、つまり次の時代を担う子供たちだったという報道には非常に心が痛みました。

あと、これは多くの人が感じたことかなと思うのですが、今年の夏はとりわけ暑い夏で、確かあれは6月から8月の気温が、観測、いや、統計が始まった1898年以降で最も暑い夏になったということが出ていました。そしてまた、世界的にも、7月ですか、平均気温が最も高い月になったというニュースが流れ、国連のグテーレス事務総長が、地球温暖化の時代が終わって、地球沸騰の時代が来たという発言をしました。とりわけこの夏が暑かったので強く印象に残っているということもありますが、この気候変動というものがいろいろなものに影響を及ぼしていると感じています。例えば、ハワイとかカナダのあの森林火災ですね、あれも気候変動によって干ばつが長期化することも、一つのそれを促進させる要因だと聞いておりますし、また、アマゾン川の水位もうんと下がりましたね、今年ね。それによって船の運航も難しくなりましたし、あそこのカワイルカもかなり死亡したというニュースが流れていました。また、この暑い関係で、農作物や畜産にもかなりの影響が出ております。一方、この極端な気象でいうと、洪水も非常に多かったと思うのですね。こういう自然災害の原因の一つである気候変動、これの要因の中には人間活動というものもありましょう。したがって、私たちの日々の日常というのもそれに関係してくるわけで、やはり、それらのことについてですね、皆が考えていく必要があるのだろうなということが、強く今年は印象に残っています。

あとそうですね、いろいろあるのですが、COVID-19がいわゆる2類相当から感染症法上の5類に移行したというのは、この何年間かを見るとかなり大きいことだったのだろうと思います。日本では、2020年初頭からですから、いろいろな制限が掛からなくなって、人々の活動がCOVID前に近い形になってきた、これは大変喜ばしいことだと思います。例えば、全体の中ではごく一部ですけども、私、若しくは私たちが出席している催しなどでも、例えば、以前だと式典のみであったのが、4年ぶりくらいに懇親会が行われるようになって、ごくごく普通に関係者と話ができるようになった。そしてそういう時に、特に11月、そういう機会が幾つかあったと思うのですが、やはり式典だけでも、もちろんどういう人がそれに関係しているかというのは事前に見てはおくのですが、実際に、そこの場で、懇親の場で話をすることによって、より、こちらの理解が深まるし、そこでいろんな話合いもできたりとかする。これは、それの大切さが、この4年間があったから余計にそういうような感じがしています。いずれにしても、そういう姿が戻ってきたことは、私は(うれ)しく思っています。ただ、SARS-CoV-2というウイルスが、5類になったからなくなったとか、そういうことでは全くないわけですね。そしてまたこの2類相当から5類へ移行するまでの間に、専門家同士の間でもいろいろな意見の交換があったことが記録に書かれているのを見ますと、今でもまだ、普通の風邪、いわゆる普通のアルファコロナウイルスですかね、と同じようにはなっていないわけですね。また、新たなオミクロン株が出てきた時にものすごく驚いたわけですけど、またそういうものが出てくる可能性もあるわけで、やはり感染症に対する備えというのは常にしておく必要があるのではないかなと思います。

あとはそうですね、心配なこととしてもう一つ挙げると、熊の被害が秋田県とか東北中心に多くなっています。ドングリの不作とかいろいろ原因はあるのでしょうけれども、今までで最も多い被害件数になりますが、これについてもやはり野生生物との共存、若しくは()み分けというものを改めて考える機会になったと思います。

あと、いい話としては、若い世代の人たち、例えば、藤井聡太さんの八冠とかですね、大谷翔平さんの活躍とか、車椅子テニスの小田凱人さん、そういう人たちが活躍しているということは非常に(うれ)しいことですね。

あと、この1年で、皇室についてで言いますと、三笠宮妃殿下が100歳を6月に迎えられたということです。三笠宮殿下も100歳の長寿でした。今度は百合子殿下も100歳になられて、御夫妻そろって100歳というのはこれも今までにないことで、とても(うれ)しいことですし、これからもお元気で過ごされることを願っています。大体以上ですが、よろしいでしょうか。

記者

ありがとうございました。

関連質問1 本日は、お時間ありがとうございます。3問目の質問で佳子様のお話で、ペルー御訪問ですとか手話の行事のお話が出ましたけれども、ペルー御訪問の際に、殿下が以前、ミュージシャンからいただかれた楽器の写真を現地にお持ちになってお見せになったと伺いました。そのことについて御報告を受けられたり、どんなふうにお感じになったかということと、あと手話ですけれども、今年の障害者スポーツ大会で、お言葉で殿下、手話をお使いになって、去年、この会見では、妃殿下から少し教わったけれども、今後は佳子様から教わることもあるかもしれない、とお話しになっていましたので、今回、佳子様から手話を教わる機会がおありになったのか、その二つについて伺えればと思います。
殿下

楽器というのは、ルーチョ・ケケサーナさんのですね。家に大事に保管してあったものを、私が保管していたのですけれども、出してきて、その写真をルーチョ・ケケサーナさんに見せたのだと思います。私自身、普段から車の中でルーチョさんの音楽を聴いていて、好きなメロディーなもので、今回、コンサートで聴けたのはね、とても良かったのではないかと思います。それと、手話についてですけれども、今回別に娘から教わったわけではないのですけれども、私は今まで手話の経験はほとんどないですし、基礎的な知識もないので、この前のあれ(手話)はやはり、この1年では1番緊張した挨拶ではないかなと思います。来年はどうなるのか、その時の主催者がどう考えるのかは分かりませんけれども、でも、そういう手話というものが、一つの言葉としてかなり定着してきたのだなとは印象として持っています。

殿下

もう一人おられましたね。

関連質問2 先ほど、百合子様の100歳というお話があったのでお聞きしますが、上皇様が来月、12月で90歳になられます。そのことについての率直な御感想と共に、先日も皇宮警察の音楽会でお会いされていたかと思いますが最近の上皇様、上皇后様の御様子について御紹介いただけないでしょうか。
殿下

歴代の天皇の中では、90歳というのは最高齢ですよね。大変喜ばしいことだと思います。それこそCOVID-19が少し収まってきた辺りから、お出掛けも少しずつ増えてきましたし、最近も私、たまたま散歩中にお話もしたことがあるのですけれども、やはり、こう人と接したりとか、いろいろな所に出掛けるということ、それがやはり元気でいることには大事なことなのかなと思っています。よろしいですか。

記者

ありがとうございます。