皇太子殿下 アメリカ合衆国ご旅行時のおことば(仮訳)

アメリカ合衆国

平成27年11月20日 (金)
国連水と衛生に関する諮問委員会最終会合における皇太子殿下おことば(国連本部経済社会理事会議場)(仮訳)

オランダ国王陛下
ジャン・エリアソン国連事務副総長
ウシ・アイト国連水と衛生に関する諮問委員会議長
国連水と衛生に関する諮問委員会委員の皆様
ご列席の皆様

国連水と衛生に関する諮問委員会の最終報告書手交式典に出席できることをうれしく思います。

国連水と衛生に関する諮問委員会(UNSGAB)は,11年間の長い旅を終えようとしています。UNSGABが2004年に創設されて以来,14億人の人々が改善された飲料水にアクセスできるようになり,12億人の人々が改善された衛生施設にアクセスできるようになりました。1990年から2004年までと2004年以降とを比べると,飲料水については20%,衛生施設については30%も早いペースで改善が進んでいます。このような顕著な成果を上げてきたことに対し,全ての国と国際社会を祝福したいと思います。私自身,家族のため,社会のため,国家のため,世界のために安全な飲料水と衛生施設を供給するための絶え間ない努力を続けてきた何千何百万という人々の一人であることを,誇りに思います。

UNSGABは,優れた議長により統率されてきました。故橋本龍太郎氏は,この委員会の堅固な基礎を築きました。彼にちなんで名付けられた3つの橋本プランは,UNSGABの証しです。ウィレム・アレクサンダー・オランダ国王陛下は,水と衛生の両分野で顕著な成果を上げました。国王陛下の数多くの成果の一つは,昨日開催された,世界トイレット・デーにみられるように,トイレと衛生施設について不浄なものだという考えを取り除いたことです。ヨルダンのハッサン王子は,中東の水問題に新しい光を当てました。そして,ウシ・アイト現議長は,諮問委員会の設立当初から委員として,副議長として貢献してきました。彼女のリーダーシップによって完成された最終報告書は,諮問委員会の遺産となるでしょう。

多くの組織や個人がUNSGABを支援し,協調して行動してきました。これらの支援なくしては,UNSGABは,多くを成し遂げることはできなかったでしょう。我々を支援し,ともに行動してきた全ての方々に心からの謝意を表したいと思います。

私の旅もまた,実り多いものでした。私は,UNSGABの会議に参加し,地方の施設を視察し,人々と会い,水と衛生についてUNSGABの委員や専門家と研究や議論を行い,特に歴史的視点から,世界水フォーラムや国連水と災害に関する特別会合において講演しました。UNSGABの皆さんと一緒に活動する過程で私自身,水と衛生について様々なことを学ぶことができたことは,素晴らしいことでした。

多くを実現してきましたが,私たちの前には長いみちのりがあります。6億6,300万人の人々は改善された飲料水にアクセスできず,24億人の人々は改善された衛生施設を利用することができません。世界のリーダーは,持続可能な開発のための2030年アジェンダにおいて,新たな目標とターゲットに合意しました。水と衛生に関する事項は,UNSGABの助言を得て,国連水調査委員会によって,持続可能な開発の目標の中に簡潔に位置付けられ,意欲的で具体的な方向性が示されました。国際社会は,新たな持続可能な開発目標のもと,新たな航海を始めようとしています。第21回気候変動枠組条約締約国会議や国連人間居住計画のような重要な出来事が地平に輝いています。本日とりまとめられたUNSGABの最終報告書が,私たちを導く重要な道しるべとなることを希望します。

水と衛生の分野において,皆様とともに国連と国際社会に貢献し,多くの成果を上げたことを誇りに思います。しかしながら,私たちは立ち止まることができません。「全ての人のために水と衛生を」という目標に向けて,皆様とともに私も旅を続けていこうと思います。

ありがとうございました。