皇太子殿下 メキシコご訪問を終えて

皇太子殿下のご感想

(平成18年3月21日)
メキシコご訪問を終えて

この度,フォックスメキシコ国大統領からメキシコ市で開催されている「第4回世界水フォーラム」への出席の御招待をいただき,あわせて我が国と同国との友好関係にもかんがみ,同国に私としては3度目となる訪問をいたしました。

まずは,ご招待くださり,現地でも温かいご配慮をしていただいたフォックス大統領とメキシコ国に対し,深い感謝の意を表します。同国においては,メキシコ市及びユカタン州の両地を訪れましたが,いずれの地でも国民の皆様に大変温かく迎えて頂いたことを心からうれしく思っております。

また,メキシコ国よりの帰途,カナダ国バンクーバー市に立ち寄りをいたしました。そこでも短時間の滞在ではありましたが,バンクーバー市民の皆様にとても温かい歓迎をしていただいたことに感謝をしております。

メキシコ国では,第4回世界水フォーラムの開会式に際し,3年前京都市で開催された第3回世界水フォーラムで務めた名誉総裁としての経験をふまえ,多岐にわたる水に関する問題の重要性や,この問題解決に向けて努力が続けられているものの,いまだに顕著な改善が見られない現状について,改めて世界に訴えることができたことを幸いに思います。

また,この機会に,かねてより関心を抱いていた江戸の発展にいかに水運や上水道の整備が重要な役割を果たしたかということについて基調講演をさせていただいたことは,私にとりましても大変有意義なことでした。

更に,懐かしい日墨会館で,今回も多くの日系人や在留邦人の方々に温かく迎えていただいたことや,日本メキシコ学院において,日墨両国のたくさんの児童や生徒,教職員や父兄の皆様に盛大な歓迎をしていただいたことをとても有難く思います。

ことに,日本とメキシコの幼稚園児が共に学び遊ぶ姿には,日本メキシコ学院の伝統となっている国際教育の重要性とともに,日本とメキシコの結びつきの強さに改めて感銘を受けました。

それ以外にも,メキシコの古代マヤ文明の代表的な地であるウシュマル遺跡を訪問できたことや,世界文化遺産にも登録されているソチミルコ自然公園やラムサール条約登録湿地であるセレストゥン生物圏保護区の訪問もとても印象深いものがありました。

それぞれの地で,多くの方々にお会いをし,改めてメキシコの持つ文化や歴史,社会の多様性について理解を深めることもできたように思います。同時に,多くの日系人や日本人の方々がメキシコ各地で活躍されており,特に,自然環境保護の分野においてメキシコの人達からも,高い評価を受けていることを知り,心強く感じました。また,訪問各地でタコスを始めトウモロコシを使った美味しいメキシコ料理やユカタン料理を堪能したり,明るい開放的な国民性を感じさせるマリアッチの演奏等も楽しむことができました。

今回の私のメキシコ国訪問が,これまでに天皇皇后両陛下の御訪問をはじめとする様々な交流により培われてきた日本とメキシコ両国の長い友好の歴史の絆を一層強固なものにすることに少しでも貢献できれば幸いです。

また,カナダ国バンクーバー市においても日系人や在留邦人の方々に温かく迎えていただいたことに深く感謝いたします。

今回の訪問に皇太子妃が同行することができなかったことは残念でしたが,メキシコ,カナダの両国においてお目にかかった方々からお見舞いとお励ましの言葉を頂いたことをありがたく思っております。

また,いつの日か二人で訪れることができれば幸いです。