主な式典におけるおことば(平成27年)

皇太子殿下のおことば(仮訳)

第23回世界スカウトジャンボリーアリーナショー
平成27年8月2日(日)(第23回世界スカウトジャンボリーアリーナ)

第23回世界スカウトジャンボリーに,世界の約150の国と地域から集まったスカウトの皆さんと共に参加できることをうれしく思います。

スカウトの仲間たちが,こうして共に集い,同じ時間を過ごし,語り合えることは,何とすばらしいことでしょう。

私自身,1978年の第7回日本ジャンボリー以来,毎回日本ジャンボリーに出席しています。特に,1982年と1986年のジャンボリーで,参加スカウトの皆さんと共に野外での炊事やテント生活を体験したことは,今でも大切な思い出として,深く心に刻まれています。

今回のジャンボリーのテーマは,「和 a Spirit of Unity」であると聞きました。「和」という言葉には,「ハーモニー」や「フレンドシップ」,「ピース」といった多様な意味が含まれていますが,これらの理想は,正にジャンボリーの目指すところであろうと思います。

私たちはそれぞれに違う信仰を持ち,違う言葉を話し,異なる文化や歴史を持っています。正にこのジャンボリーで,皆さんはその多様さを日々実感していると思います。同時に,それぞれの心の中には「いつも他の人々をたすけます」という同じ信念が宿っていることも感じていることと思います。

小さなジャンボリーの世界に満ちる友情や,このような理想や信念が,やがて世界をより良くしていくでしょう。どうぞこのジャンボリーで“a Spirit of Unity”の理想をしっかりと学んでください。大会のテーマである「和」の精神は,皆さんにとってかけがえのない宝物になることと確信します。

平和で豊かな未来を担う青少年の育成に向けて,スカウト運動が更に発展することを願い,私の世界スカウトジャンボリーに寄せる言葉といたします。

第5回世界工学会議開会式
平成27年11月30日(月)(国立京都国際会館)

会長
    ご列席の皆様


第5回世界工学会議開会式に,国内外から参加された多くの関係者の皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

世界工学会議は,1929年に日本工学会が当時の産学官の総力を挙げて東京にて開催した万国工業会議を源流としています。この会議は関東大震災からの日本の復興を世界に発信して成功を収めました。その後,1968年に「全世界の平和と経済と社会の進歩のために,工学の進展と国際交流を促進する」目的で,世界工学団体連盟が設立され,現在は世界工学団体連盟が中心となって世界工学会議をおよそ4年に一度開催していると聞いております。その第5回会議が,日本の文化・伝統を保つと同時に,先端技術を発展させ,伝統と最新技術の融合に成功した都市である京都で開催されることを喜ばしく思います。

今回の世界工学会議において,産業界,学術界・教育界,行政並びに市民が一堂に会し,「社会のための工学」の視点から,持続可能な社会の構築に向け,エネルギー問題や,自然災害と安全といった社会の課題を解決するためのイノベーションの実現について議論が行われることは,大変意義深いことと思います。

折しも,災害に強い社会基盤の整備など,東日本大震災の教訓をいかした持続可能な発展のための日本の取組に対する世界の期待は高まりつつあると思います。このような中,我が国で開催される第5回世界工学会議は,世界各国の様々な分野で活躍している方々と日本の取組を共有する貴重な機会であると思います。

最後に,「社会のための工学」の視点に立ち,工学の発展に尽くしてきた関係者の努力に対し心からの敬意を表するとともに,今回の世界工学会議が,21世紀の人類の重要な課題に対して,その解決の方向性や具体的対応策を提案する役割を果たし,技術者・研究者の重要な役割を世界に広める機会となることを願い,私の挨拶といたします。

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