主な式典におけるおことば(平成25年)

皇太子殿下のおことば

第1回「日本医師会 赤ひげ大賞」表彰式
平成25年3月22日(金)(帝国ホテル)

長年にわたり地域医療の担い手として活躍されてきた医師の方々の功績をたたえて表彰する「日本医師会 赤ひげ大賞」の第1回表彰式に皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

この赤ひげ大賞は,日本の医療制度の中で住民に最も近い存在として重要な役割を果たしている地域医療の現場において,各地域での様々な特徴のある取組が行われている現状に光を当てるとともに,地域医療の発展に貢献することを期待して,設立されたと伺っております。

日本の各地域の医療現場には,様々な特徴や課題があります。高齢化が急速に進んでいる地域,病院や診療所などが無くなり医師が全くいない地域,さらには都市部においても,様々な理由から地域医療を支える病院が撤退していくケースがあると聞いています。この度受賞された方々は,このような厳しい状況の下で,地域住民の生活に寄り添い,治療だけでなく地域住民の健康管理などに尽力されるなど,その地域にとって無くてはならない存在であると聞いています。

ここに,受賞される方々の長年の努力と取組の成果に対し心から敬意を表します。

近年,我が国は高齢化が急速に進み,国民の医療に対する期待がますます大きくなっています。特に地域医療の充実は,住み慣れた地域で安心して暮らしたいと願う人々にとって必要不可欠なものと言えるでしょう。

今回「日本医師会 赤ひげ大賞」が設立されたことが,各地で人々の健康管理や診療を親身になって行っている医師の方々の大きな励みとなり,地域医療の更なる発展につながることを期待するとともに,この賞が末永く発展していくことを心から願い,私の挨拶といたします。

第24回全国「みどりの愛護」のつどい
平成25年5月18日(土)(熊野灘臨海公園)

第24回全国「みどりの愛護」のつどいが,ここ熊野灘臨海公園において開催されるに当たり,日頃から緑の愛護活動に携わっておられる皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

我が国は,緑豊かな環境の中で,四季折々に姿を変える美しい自然の恵みを受け,数多くの文化を生み,育んできました。三重県も,登山が楽しめる山岳や風光明()なリアス式海岸など,山と海の豊かな自然に恵まれる中,古くから林業が盛んに行われ,これらの緑に囲まれた熊野古道が世界文化遺産に登録されるなど,自然と深く関わりながら発展してきました。

豊かな緑は,私たちの暮らしにゆとりと潤いをもたらします。この会場である熊野灘臨海公園も,県民のみならず広い地域の方々のレクリエーションの場となっていると伺っています。また,緑は,多様な生態系を支え,地球温暖化を始めとする様々な環境問題の改善や,さらには災害防止にも大切な役割を果たしております。

貴重な緑とその緑を源とする清らかな水を守るとともに,新たな緑を創り出していくためには,多くの人々がその大切さを理解し,幅広く運動に参加することが重要です。その意味でも,ただ今表彰を受けられた方々の緑の愛護活動への取組は,大変意義深いものであり,皆さんの努力に対し深く敬意を表します。

終わりに,今回のつどいにおいて,全国から参加された皆さんが相互に交流を深め,緑を守り育てる心を新たにされるとともに,これを通じて,緑豊かな環境づくりが一層発展することを願い,挨拶といたします。

学習院幼稚園再開園50周年記念式典
平成25年5月26日(日)(学習院創立百周年記念会館)

学習院幼稚園再開園50周年記念式典に,卒業生の一人として,また子どもを通わせた親の一人として,出席できることを大変うれしく思います。

明治27年に,当時の華族女学校内に開設された学習院の幼稚園は,戦災により休園状態になり,昭和22年に廃園となってから,時を経て,昭和38年,目白に再開園されることとなりました。当時の安倍院長,諸先生方を始めとする関係者が,学習院の良き伝統を守りながら,志高く,新しい幼稚園創設のため力を尽くされたことに,深く敬意を表します。

私が学習院幼稚園に入園したのは,昭和39年,再開園2年目のことでした。初めて経験する集団生活でしたが,運動会や遠足などの様々な行事を始め,幼稚園で楽しく過ごした日々を,今でも懐かしく思い出します。幼稚園の園庭の池に友達と仲良く落ちたことも私にとって良い思い出です。また,娘の愛子が先生方やお友達に良くしていただき,幼稚園での生活を楽しんだこともうれしく思うとともに,親として感謝しております。

再開園から50年がたち,本日の式典にも多くの卒業生が出席されていることと思います。幼稚園は,楽しく遊びながらも,人としての大切な基礎が培われる場でもあります。卒業生一人一人が,学習院幼稚園の卒業生としての誇りを持ち,それぞれの道で努力し活躍されることを期待しています。

再開園50周年というこの機会に,関係者の皆さんがこれまでの道のりを振り返り,将来に向かって,一層力を尽くしていかれるよう願っております。そして,学習院幼稚園が,すばらしい幼児教育の場として,これからも発展し,子どもたちにとって楽しい幼稚園であり続けることを願い,式典に寄せる言葉といたします。

第28回国民文化祭・やまなし2013夏のステージオープニングイベント開会式典
平成25年6月30日(日)(河口湖ステラシアター)

第28回国民文化祭夏のステージのオープニングイベントに,皆さんと共に出席できることを大変うれしく思います。

山梨県は,首都圏の一角にありながらも,霊峰富士を始め,南アルプス,八ヶ岳,秩父連峰などの急(しゆん)な山々に囲まれ,六つの自然公園を有するなど,豊かな自然に恵まれており,その中で培われてきた伝統文化は,今なお県民生活に息づいています。

とりわけ,古くから日本人の心のよりどころとして大きな存在であった富士山は,富士講や修験道などの舞台となった「信仰の対象」として,また,数々の浮世絵を始めとした絵画のモチーフとなったことなど「芸術の源泉」として,世界に通じる文化を育んできたことが認められ,この度世界文化遺産として登録されました。

この富士山を仰ぎ見るここ山梨の地において,全国各都道府県,さらには海外からも,様々な文化活動に取り組まれている方々を迎え,国民文化祭が開催されることは,誠に喜ばしいことであります。特に今回は,国民文化祭として初めて通年で開催されると伺っており,関係者の皆さんが開催のために払われた努力に対し,心から敬意を表します。

東北の被災地では,多くの方々が今なお困難な状況にありますが,文化の持つ力を大いに発揮し,人々に勇気と明るさを与えるものとして,国民文化祭が大きな役割を果たすことを期待しています。

山梨県では,県内各地で広範な分野にわたる文化行事が開催され,地域固有の文化を守りつつ,その魅力を国内外の人々と共に楽しもうとする,多彩な取組が行われていると伺っています。

こうした取組を通じて,皆さんの間に,地域や世代を超えた幅広い交流の輪が広がり,人と人の(きずな)や地域の連帯感が深まるとともに,地域の良き伝統を再発見し,個性豊かな文化を創造していく場として,「国民文化祭・やまなし2013」が大きな成功を収めることを願い,私の挨拶といたします。

第49回献血運動推進全国大会
平成25年7月5日(金)(福岡国際会議場)

全国各地から参加された皆さんと共に,第49回献血運動推進全国大会に出席できることを,うれしく思います。

医療活動に欠くことのできない献血は,皆さんの善意により,400ミリリットル献血や成分献血を中心に,昨年は延べ527万人の方々の協力を頂き,血液製剤を必要とする方々に滞りなく届けられたと聞いております。

これも,本日ここに表彰を受けられた方々を始め,献血運動を積極的に推進された関係者の皆さんの努力と,国民一人一人の献血への理解・協力により成し得たことであると思います。

少子高齢化が進み,献血可能な人口が減少する一方で,高齢者の方々を中心に血液製剤の需要は今後ますます増加することが予測されています。血液製剤を安定的に供給するためには,将来の献血を支える10代,20代といった若い世代の方々の理解と積極的な献血への参加が強く求められています。

そのため,日本赤十字社では,将来の献血を担う小中学生や高校生に対して,血液の大切さなどへの理解を深めてもらうための「献血セミナー」を全国的に実施するほか,若者向けにラジオやインターネットなどを活用した啓発活動を展開していると聞いています。

そういう観点からも,本日午前中に立ち寄らせていただいた献血の現場において,高校生が積極的に献血をされているのを目の当たりにし,大変心強く思いました。献血は,献血を必要とする患者さんのために,一時期に偏ることなく継続的に行われることが必要であり,途切れることのない献血への協力は,人と人が助け合う心をも育むものであると思います。

ここ福岡での大会を契機に,国民の生命と健康を守る献血運動の輪が,国民の皆さんにますます広がることを希望して,大会に寄せる言葉といたします。

平成25年度全国高等学校総合体育大会総合開会式
平成25年7月28日(日)(大分スポーツ公園大分銀行ドーム)

平成25年度全国高等学校総合体育大会「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」が,全国各地から多数の参加者を迎えて,日本一の湧出量と源泉数を誇る温泉など,美しく豊かな自然や歴史・文化に恵まれたここ大分県,そして,福岡県,佐賀県,長崎県で開催されることを,喜ばしく思います。

選手の皆さんには,暑さの中,体調管理に気を付けられ,日頃鍛えた力と技を十分に発揮し,お互いに友情を育むとともに,地元の方々とも交流を深め,高校生活のすばらしい思い出をつくってください。

そして,この大会が,選手の皆さんの活躍と地元高校生の協力により,実り多い大会となるよう願っています。

皆さんのご健闘を心からお祈りします。

第16回日本ジャンボリーアリーナショー
平成25年8月4日(日)(第16回日本ジャンボリー会場アリーナ)

挨拶に先立ち,この度の豪雨災害により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,ご遺族と被災された方々にお見舞いを申し上げます。

被災地での救援と復旧の作業が速やかに進むことを願っております。

第16回日本ジャンボリーに,国内外から集まったスカウトの皆さんと共に参加できることをうれしく思います。

私自身は,静岡県・御殿場で開催された第7回大会以来,毎回ジャンボリー会場を訪れ,今大会で,ちょうど10回目となりました。

毎回この日本ジャンボリーに参加するたびに,皆さんが日頃からスカウト活動への参加を通じて自らの成長を促し,将来良き社会人となるために研(さん)され,大会の様々な活動に積極的に,また真剣に取り組んでいる姿を,頼もしく感じます。

同時に,私自身も若き日に,野営体験などのスカウト活動に参加した貴重な体験を懐かしく思い出します。

今大会は,2年後にこの地で開催される第23回世界スカウトジャンボリーのプレ大会として,海外から,国内大会では最も多い50を超える国や地域からスカウトが参加されていると聞きました。

是非,世界各地からのスカウトと交流し,国際的な視野を深め,地球上の様々な問題について考える機会としてください。

この大会が実り多いものとなるよう期待するとともに,スカウト運動の更なる伸展を通して,我が国,そして世界の青少年の健全な育成が図られることを願い,日本ジャンボリーに寄せる言葉といたします。

第5回国際デザイン学会連合国際会議開会式
平成25年8月27日(火)(芝浦工業大学豊洲キャンパス)

Address by His Imperial Highness The Crown Prince
at the Opening Ceremony of the 5th International Congress of International
Association of Societies of Design Research (IASDR) 2013 Tokyo
Tuesday, August 27, 2013
Toyosu Campus, Shibaura Institute of Technology

Distinguished participants and guests,
Ladies and gentlemen,

I am pleased to attend the opening ceremony of the 5th International Congress of International Association of Societies of Design Research (IASDR), with the participation of many researchers from 41 countries and regions around the world.

This year marks the 60th anniversary of the foundation of the Japanese Society for the Science of Design, which is the sponsor of this International Congress. In this regard, I believe it is of immense significance in such a memorable year that meaningful discussions on the theme “Consilience and Innovation in Design” be held in cooperation with the Japan Society of Kansei Engineering.

Design can be defined by the act of organizing and integrating functions and demands required of products, environments or services, as well as turning them into an economical, efficient, and comfortable item or beautiful form while preserving unity. To achieve this, however, it is necessary to conduct studies on the science of design by integrating knowledge of the humanities and the social or natural sciences to explore ways to improve the quality of life. I am told that it is especially important to collaborate with kansei engineering, a field that gives much importance to sensitivity with the aim of value creation. Such efforts and initiatives have increased the number of easily recyclable product designs as well as designs of facilities, products and information, which are easy to use and have vastly improved the lives of people from all walks of life, regardless of culture, language, age, gender, disability, or ability. Through such undertakings, you have committed yourselves to improving the quality of life of humankind. I should like at this point to express my deepest respect to all of you for the efforts made in this regard.

At present, society is going through drastic changes due to the rapid advances in science and technology among other things. Under such circumstances, in order for the world to overcome complex issues, including environmental problems and aging societies, it is through such measures as the creation of new services and quality improvement that the role to be performed by the science of design will definitely become more critical in the future.

In closing, I would like to express my sincere hope that this Congress will yield fruitful results that will contribute to the well-being of humankind through the development of design in the world.

Thank you very much.

国際青年育成交流事業第20回記念式典
平成25年9月26日(木)(ホテルニューオータニ)

Address by His Imperial Highness the Crown Prince
at the Ceremony for the 20th International Youth Development Exchange Program
Thursday, September 26, 2013
at Hotel New Otani Tokyo

Excellencies,
Distinguished Guests,
Ladies and Gentlemen,

It is a great pleasure for me to be here with you, to celebrate the 20th International Youth Development Exchange Program. On this occasion, I along with my wife Masako, would like to express our heartfelt respect for the persistent efforts of all the people who have, in many ways and for a long time, supported this Program.

Through its 20-year history, the Program has had considerable success in promoting mutual understanding and friendship, and nurturing a capable generation with global awareness.

Today, information and communication technology is highly developed, and people from distant countries can easily communicate with one another. Still however, meeting face to face and exchanging words is the most effective way of communication, in order for people from different countries to build mutual trust as well as to respect diverse cultures and value one another. I myself remember having observed, nearby and several times during the annual discussion session of this Program, the very passionate and positive exchanges of opinions among the participants. I hope that all young participants today will, in ernest, study various subjects, discuss them openly, work hard together, and foster friendship that transcends national borders.

As globalization proceeds in every area, we expect young people who lead the next generation to cooperate with people from all over the world. I wish you every success in your future endeavors in various fields by making the most of your youthful energy. I would like to conclude by hoping for an even deeper mutual understanding and friendship between countries as well as the further development of the International Youth Development Exchange Program.

Thank you very much.

第13回全国障害者スポーツ大会開会式
平成25年10月12日(土)(味の素スタジアム)

「スポーツ祭東京2013」第13回全国障害者スポーツ大会の開会式に,全国各地から参加された多くの選手,役員,そして開催地である東京都の皆さんと共に出席できることを大変うれしく思います。

この大会が,「とどけよう スポーツの力を東北へ!」を合言葉に,東日本大震災からの復興・再生を願い開催されることは,誠に意義深いことです。

選手の皆さんは,日頃の練習の成果を十分に発揮して活躍されるとともに,選手同士はもちろん,大会に関わる多くのボランティアの方々や,地元東京都の皆さんとの交流を深め,たくさんの心に残る思い出を作ってください。

この度,2020年オリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定されました。7年後のパラリンピックが大きな目標となったことを契機として,障害者スポーツへの関心が高まっている中で開催されるこの大会が,今後の障害者スポーツのより一層の発展と障害者への理解の広がりにつながることを希望します。

終わりに,この大会の開催を支えてこられた全ての方々の努力に心から敬意を表するとともに,参加される皆さんの一人一人が十分に力を発揮され,思い出に残るすばらしい大会になることを願い,私の挨拶といたします。

GEA国際会議2013開会式
平成25年10月18日(金)(ザ・キャピトルホテル東急)

国内外から多くの参加者を迎え,GEA(地球環境行動会議)国際会議2013が開催されることを誠に喜ばしく思います。

地球温暖化や生物多様性の減少は今や現実の問題として進行しています。新興国を中心に世界経済が急速に成長し,今後更に発展していくと考えられる中で,経済発展に伴う環境破壊を防ぎ,持続可能な開発を達成することが,世界的な課題となっています。

このような中で,「リオ+20からの出発:持続可能な未来に向かって」をテーマとした本会議は,持続可能な開発に向けて世界の(えい)智を結集する貴重な機会です。1992年のリオ・サミットから20年を経た昨年6月,再びリオデジャネイロにおいて「国連持続可能な開発会議」が開催され,世界188か国により,「我々が望む未来」という文書が合意されました。今,私たち一人一人が,私たちの望む持続可能な未来に向けてどのように行動するかが,問われています。

この会議では,持続可能な開発に関連する科学技術,都市づくり,エネルギー,経済,金融など様々な分野の第一人者を迎え,議論が行われると伺っております。

この会議で,私たちと,私たちの子孫,そして全ての生物が,いつまでも地球環境の恵みを享受することができるような未来に向け,活発な議論が行われ,世界に向けて発信されることを期待しています。そして,持続可能な社会の構築に向け,具体的な取組が更に進むことを願い,私の挨拶といたします。

第40回「日本賞」教育コンテンツ国際コンクール授賞式
平成25年10月24日(木)(NHK放送センター)

第40回を迎えた「日本(にっぽん)(しょう)」授賞式に,世界各地の皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

教育は,過去の歴史や文化を受け継ぎ,現在の社会が抱える様々な課題を克服して,誰もが共に幸福に暮らすために,何よりも大切な営みです。私は1989年からこの授賞式に出席してきましたが,出品される作品や企画の数が着実に増加して毎年300を超える規模になり,熱意あふれる作品が数多く寄せられる様子を目の当たりにしてきました。これまで賞に関わってこられた皆さんの努力と熱意に対して,深く敬意を表します。

今年のコンクールでは,タブレット端末向けアプリケーションなど,教育コンテンツの将来像を示す作品が多く見られたと伺っております。また,昨年より,作品や企画の審査と併せてシンポジウムが行われ,今年は教育現場における「いじめ」の解消や防災教育などの世界共通の課題や,デジタルメディアの進化と普及が教育現場をどのように変化していくかについて,実りある議論が交わされたと聞いています。

このように世界の各地から「日本(にっぽん)(しょう)」に集まった皆さんが,お互いの知識や経験を分かち合い,教育コンテンツの質の向上を目指して力を尽くされることは,誠に意義深いことです。

皆さんが,この成果を活用して更に豊かな教育コンテンツを作り出され,教育コンテンツの持つ力によって国際的な理解と協力に貢献するという「日本(にっぽん)(しょう)」の目的が果たされるとともに,「日本(にっぽん)(しょう)」教育コンテンツ国際コンクールが今後も発展することを期待して,私の挨拶といたします。

第16回全国農業担い手サミット in いしかわ
平成25年10月30日(水)(いしかわ総合スポーツセンター)

挨拶に先立ち,本年の度重なる台風及び豪雨により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,ご遺族と被災された方々にお見舞いを申し上げます。災害からの復旧が一日も早く進むことを願っております。

「第16回全国農業担い手サミットinいしかわ」に,全国各地から参加された皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

農業は,食料の生産と供給を通じて,人々の健康と暮らしを支えるほか,国土や自然環境を保全するとともに,緑豊かな景観をつくり出し,それぞれの地域で特色ある文化を育んできました。

皆さんが,このような大切な役割を果たす農業を担い,地域のリーダーとして,農業・農村の発展に意欲的に取り組まれていることを,大変心強く思います。

ここ石川県では,稲作を中心としつつ,江戸時代から受け継がれている「加賀野菜」や,能登の風土を生かして栽培される「能登野菜」など,優れた特色や品質を持つ様々な農産物が生産されていると伺っております。

また,県北部の能登地域の里山・里海は,一昨年,国際連合食糧農業機関から,日本で初めて世界農業遺産に認定された地域の一つであり,伝統的な農法や景観を後世に引き継ぐ取組が進められるとともに,その効果は観光など他の産業にも及んでいると聞いております。

この石川の地において,全国から集まった農業の担い手の皆さんが,「伝えよう! 担い手の心 広げよう! 農の絆」のテーマの下,農業経営に関する互いの知見や情報を交換し合い,将来の農業のあるべき姿について議論されることは,日本の農業と,各地域の発展のために誠に意義深いことと思います。

皆さんが,このサミットを通じて,連携を深められることにより,様々な困難や課題を克服し,将来に向かって日本の農業を力強く築いていかれることを願い,挨拶といたします。

第37回全国育樹祭
平成25年11月17日(日)(熊谷スポーツ文化公園彩の国くまがやドーム)

第37回全国育樹祭が全国各地から多くの参加者を迎え,ここ埼玉県の彩の国くまがやドームにおいて開催されることを喜ばしく思います。

埼玉県は,県土の3分の1を森林が占めており,甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)を始めとする奥秩父の山々など,緑豊かな自然に抱かれています。これは,平野部での都市化が進む中,すばらしい自然を守り育ててこられた県民と林業関係者の皆さんのたゆみない努力の賜物(たまもの)であると思います。私も,奥秩父の両神山(りようかみさん)等に登ったことがあり,眼下に広がる美しい自然に感銘を受けたことを懐かしく思い出します。

昨日,私は,昭和天皇と香淳皇后がお手植えになりましたヒノキの手入れを行いました。私が生まれる前年の昭和34年に植えられたヒノキが,力強く成長し,立派な森を形成するに至っている姿に感慨を覚えるとともに,世代を超えて長年にわたり森林を守り育てていくことの大切さを改めて感じました。

森林は,豊かな国づくりの基礎であり,山地災害の防止,木材等の林産物の供給,水源の(かん)養等多面的な機能を果たすことにより人々の暮らしを豊かにしてきました。さらに,最近では,温暖化防止や生物多様性保全など地球環境の保全に果たす役割も大いに注目され,期待されております。

こうした森林の大切さを思うとき,緑を守り育んできた技術・文化を次の世代にしっかりと引き継いでいくことは,私たちに課せられた大きな使命であろうと思います。

また,近年,企業や団体の皆さんの自主的な森林整備活動の取組が広がっていると聞き,大変うれしく思います。

こうした中,本日表彰を受けられる方々を始め,日頃から各地域において国土の緑化に尽力されている全国の皆さんに敬意を表するとともに,そうした活動が,より多くの人々により支えられ,更に発展していくことを期待します。

終わりに,この大会のテーマである「育てよう みどりは未来の たからもの」にふさわしく,森林を守り育て,そして()かす活動の輪が,ここ埼玉の地から全国へ,世界へ広がり,そして未来へと継承されていくことを切に願い,私の挨拶といたします。