主な式典におけるおことば(平成22年)

皇太子殿下のおことば(仮訳)

第43回太平洋小児外科学会議開会式
平成22年5月24日(月)(ポートピアホテル)

第43回太平洋小児外科学会議に,我が国を始め世界の約30か国の国々から参加された小児外科に携わる皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

太平洋小児外科学会は,1968年に米国シアトルで初めて開催されて以来,環太平洋地域における小児外科の分野の先進医療に関する学術交流の場として,また発展途上国における若手小児外科医の育成の場として,小児医療の発展に貢献してきました。この間,小児外科の分野の治療法は著しく進歩し,我が国で外科手術を受けた新生児の死亡率は1968年には32%でしたが,2008年には7.5%にまで減少しました。このように,以前は救うことができなかった多くの子どもたちの命が救われ,健やかな成長が望めるようになったことは大変喜ばしく,関係の方々のこれまでの御努力に心から敬意を表します。

幼い子どもたちの健康を守り,様々な病気の治療の可能性を追求していく上で,ここにお集まりの専門家の皆さんに寄せられる期待は,極めて大きいものがあります。今回の国際学会において発表される多くの研究成果が,参加各国において病に立ち向かう子どもたちと両親に対して希望をもたらすとともに,世界の小児外科学の更なる発展を期待します。

最後に,本学会が,皆さんの知識や経験の交流の場となり,21世紀における小児外科学の展望を開くための礎となることを願い,私のあいさつといたします。

第7回国際整形外科基礎学術集会記念式典
平成22年10月18日(月)(国立京都国際会館)

本日,第7回国際整形外科基礎学術集会記念式典に,世界中から参加された多くの研究者の皆さんと共に出席できることを,とてもうれしく思います。

人口構成の高齢化とともに,骨や関節などの運動器の疾患にかかる人は年々増加し,現在では世界中で数億人が()患しているとも言われています。一方,小児の運動器疾患は,子どもの健やかな成長にかかわる問題であることから,その予防と早期治療の重要性が指摘されています。

WHO(世界保健機関)は,2000年から2010年までの10年を「The Bone and Joint Decade」と定めており,その締めくくりの年に,整形外科学の基礎学術分野において重要な国際会議の一つであるこの会議が,歴史ある京都の地において開催されることを喜ばしく思います。

整形外科学においては,骨や筋肉などの再生医学を始めとする基礎研究の促進により,運動器疾患の知識,診断,治療の進歩を通じて,人々のクオリティ・オブ・ライフの向上に貢献することが期待されていると伺っております。

世界的に意義のある本会議に,多くの研究者の皆さんが出席され,「運動器基礎研究の現状とブレイクスルー」をテーマに,活発な討論がなされることを期待しています。

最後に,今回の会議が実りある成果をあげ,世界の医療の向上に貢献するとともに,人類の幸福に寄与することを願い,私のあいさつといたします。