主な式典におけるおことば(平成20年)

皇太子殿下のおことば

第63回国民体育大会冬季大会
平成20年1月26日 (土)(長野県県民文化会館)

第63回国民体育大会冬季大会の開会式に,全国各地から参加された選手,役員,そして地元長野県の皆さんと共に出席できることを,大変うれしく思います。

国民体育大会は,多くの関係者の熱意と努力に支えられ,60年を超える歴史を積み重ね,国民の健康増進とスポーツの普及,振興に大きく貢献してきました。

この伝統と意義ある大会に参加される選手の皆さんには,日ごろ鍛えた技と力を十分に発揮されるとともに,お互いの友情をはぐくみ,地元の皆さんとの交流を深められることを期待しています。

今回の冬季大会は,スケート,アイスホッケー,そしてスキーの三競技が,第53回大会以来10年振りに,同一県で総合開催される大会となります。

長野オリンピック,パラリンピックから10年の節目の年の開催となるこの「長野かがやき国体」が,多くの皆さんに感動を与え,いつまでも心に残るすばらしい大会となることを願い,私のあいさつといたします。

第19回全国「みどりの愛護」のつどい
平成20年4月19日 (土)(維新百年記念公園)

第19回全国「みどりの愛護」のつどいが,ここ維新百年記念公園において開催されるに当たり,日ごろから緑の愛護活動に携わっておられる皆さんと共に,出席できることをうれしく思います。

我が国は,緑豊かな環境の中で,四季折々に姿を変える美しい自然の恵みを受け,数多くの文化を生み,はくぐんできました。山口県も,大陸との交流の門戸として,また,本州と九州を結ぶ交通の要衝として古くから発展してきましたが,ここ山口市を始め,その歴史の面影を残す街並みが豊かな緑に抱かれる姿は,我が国を代表する都市景観となっております。

豊かな緑は,私たちの暮らしにゆとりと潤いをもたらすものです。この会場である維新百年記念公園も,県民の皆さんの憩いの場であるとともに,緑の保全・育成活動の拠点として活用されていると伺っております。

本年7月に開催される北海道洞爺湖サミットにおいても,地球温暖化問題が重要な課題として議論されるとのことであります。都市緑化は,国民にとって身近な二酸化炭素の吸収源対策であり,温暖化対策全体の普及啓発としても大きな効果が期待されるものです。

その意味でも,ただ今表彰を受けられた方々の緑の愛護活動への取組は,大変意義深いものであり,皆さんの努力に対し深く敬意を表します。

終わりに,この維新百年記念公園において,全国から参加された皆さんが相互に交流を深め,緑を守り育てる心を新たにされるとともに,その皆さんの心と活動を通じて,緑豊かで快適な生活環境づくりが一層発展することを願い,私のあいさつといたします。

日伯交流年・ブラジル移住100周年記念式典
平成20年4月28日 (月)(兵庫県公館)

日伯交流年・ブラジル移住100周年記念式典を,日本ブラジル交流年の名誉総裁として,皆さんと共にお祝いできることを大変うれしく思います。

先週24日には,天皇皇后両陛下のご臨席の下,東京で,日本ブラジル交流年・日本人ブラジル移住100周年記念式典及びレセプションが,ブラジル政府代表,ブラジルの各界で活躍している日系人の代表を始め,多数の両国関係者の出席を得て開催されました。さらに,本年6月には,ブラジル各地での記念式典や行事に出席するため,私のブラジル訪問が両国政府で検討されています。

本日からちょうど100年前,明治41年4月28日午後5時55分,最初のブラジル移民船である笠戸丸(かさとまる)がこの神戸の地を出航しました。今日のように航空機やインターネット,衛星放送などの通信手段が発達していなかった当時,現地での自然環境や病気,言語や文化についての情報は乏しく,移住者の不安,苦労はいかばかりであったかと思います。

私が最初にブラジルという国を身近に感じたのは,昭和42年に行われた日本とブラジルのサッカーの試合を観戦したときであったと思います。当時7歳であった私は,その試合を通し,ブラジルはサッカーがとても強い国であるという印象を持ちました。

笠戸丸(かさとまる)から70年余の昭和57年,私はブラジルを訪問しました。笠戸丸(かさとまる)が52日をかけた距離を航空機で2日で移動し,ブラジルの皆さんに歓迎していただきました。ブラジルの国土の広さ,多様性,人々の明るさが印象に残っています。そして何よりも,血を分けた同胞である日系人の皆さんのこれまでの地道な努力に対するブラジル社会の高い評価が両国関係の礎となっていることを強く感じました。

笠戸丸(かさとまる)から100年後の今日,日本とブラジルの関係は,100年前には想像もできなかったほど緊密になり,数多くの日系人がブラジルから日本に来て生活するようにもなりました。先週,東宮御所でブラジルで活躍されている若手日系リーダー25名にお会いし,また,24日の式典で,日本の小学校で共に勉強している日本人と日系人の児童10名による日本とブラジルの懸け橋になりたいという発表を聞き,これからの両国関係の発展に大いなる希望を感じ,感銘を受けました。

国際社会の中で日本とブラジルは,諸課題の解決に向けて一層緊密な連携が求められています。日系人の皆さんの長年にわたる努力への敬意と日本人移住者を温かく受け入れてきたブラジル政府,国民への感謝を忘れずに,両国関係を将来にわたって発展させていきたいと思います。私自身も,ブラジル訪問を通じて,両国関係の更なる発展に貢献したいと考えています。本日の式典に参加された皆さんが,更なる両国の友好交流の懸け橋として活躍されることを心から願い,式典に寄せる言葉といたします。

東京大学医学部・医学部附属病院創立150周年記念式典
平成20年5月9日 (金)(東京大学大講堂)

東京大学医学部・医学部附属病院創立150周年に当たり,多くの関係者の皆さんと共に,この記念式典に出席できることを,うれしく思います。

東京大学医学部及び医学部附属病院は,近代日本の幕が開けようとしていた安政5年に開設された「種痘所」を起源としています。当時,天然痘が毎年のように猛威をふるっていましたが,この種痘所において人々に種痘接種を行ったことにより,多くの尊い命を救済しただけでなく,その後の医学・医療の方向性に大きな影響を与えたと言われています。

種痘所は,後に「医学所」,「東京医学校」などと名称を変えつつ発展し,今日に至っています。この間に,多くの医学,医療に携わる有為な人材を世に送り出し,我が国の医学・医療に貢献した功績は誠に大きく,ここに改めて関係の皆さんの御努力に深く敬意を表します。

我が国は,医学・医療の進歩により,世界でも屈指の長寿国となりました。しかし,克服すべき病は,なお数多くあり,また,少子高齢社会を迎え,医学・医療を取り巻く環境も大きく変化する中で,医学教育,研究,医療提供体制の在り方の見直しなど様々な課題があるものと思います。

このような中,医療に携わる人々には,絶えず新しい医学・医療を目指して前進していくことが期待されています。創立150周年を迎えた今日,東京大学医学部及び医学部附属病院が果たすべき役割は,一層重要なものになってきていると思います。

また,昨年,私自身十二指腸ポリープの手術でこちらの病院に入院した際に,様々な病やけがなどで入院し,あるいは治療を受けている人々の御苦労について思うとともに,医師や看護に携わる方々の献身的な治療に深く感銘を受けました。

本日お集まりの皆さんが,今後も,こうした患者や家族の願いにこたえるべく,新たな時代に向かって力を合わせ,医学・医療の更なる発展に寄与されることを願い,式典に寄せる言葉といたします。

国連「水と衛生に関する諮問委員会」第10回会合開会式
平成20年5月26日 (月)(ザ・プリンス・パークタワー東京)

国連「水と衛生に関する諮問委員会」第10回会合が,ここ東京に多くの参加者をお迎えして開催されることを喜ばしく思います。私自身にとりましても,今回の諮問委員会は,昨年11月の名誉総裁就任後,初めて公式に参加するものであり,議長のアレキサンダー皇太子殿下を始め委員の皆様とこうしてお会いする日が参りましたことを,大変うれしく思います。

この時期,日本では,(さわ)やかな春の季節も終わりに差し掛かり,これから長雨が続く梅雨へと向かいます。ここ日本では,1年を通じて様々な季節の変化が見られる四季の恩恵もあって,世界の平均の約2倍の年間降水量があります。しかし,一人当たりの年間降水量は,狭い国土に多くの人口を抱えているために,世界の平均の3分の1にとどまっています。また,降水が梅雨や台風の時期に集中していることや,急(しゅん)な山々が連なる厳しい地理的条件にもあるため,日本においても,水の確保や水害の防止に向けて,古くからたゆみない努力が続けられてきたことを御存じの方も多いかと思います。

同様に,国際社会においても,それぞれの地域が抱える水と衛生の問題への早急な対応が必要とされています。国連の報告では,全世界で約11億人が安全な水を利用できず,約26億人が基本的な衛生施設を利用できないという深刻な状況にあります。毎年,数多くの幼い子どもたちが,コレラや腸チフスなどの非衛生的な水に起因する病気で亡くなっているという現実もあります。また,水災害も各地で起こっています。

先日も,ミャンマーを襲ったサイクロンや中国で発生した地震により,多くの死者や行方不明者が出ました。学校,病院などの公共機関や多数の住宅が損壊する被害も発生しています。水道や井戸が壊れたため飲料水の確保に困っている人が多数おり,感染症の発生も伝えられているところであります。また,ダムの決壊や土石流の発生などの二次災害も懸念されています。亡くなられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに,御遺族と被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げ,災害からの復旧や復興が一刻も早く進むことを願っております。

私も,第3回及び第4回世界水フォーラムへの参加を通じて,水や衛生の問題が女性の地位向上や子どもの教育問題などとも深く関連しており,世界中の人々が地域や世代を越えて解決方法を考えていくことが重要であると実感しました。また,昨年12月の第1回アジア・太平洋水サミットでは,数多くの参加者が,氷河の融解や海面の上昇など,地域が直面する水問題の解決に向けて真剣なまなざしで議論を行っていたのが印象に残っています。

本諮問委員会は,これまでも,水と衛生に関する啓もう活動や,様々な人々の声を国際社会の政策に反映させていく取組を積極的に行ってきたところですが,水と衛生の問題の深刻さを考えると,その果たすべき役割は今後ますます大きなものになると思います。

「国際衛生年」に開催される今回の会合では,今日から3日間の日程で,「橋本アクションプラン」の実現に向けた議論はもとより,新しい試みとしての「日本との対話」や「アフリカ諸国リーダーとの対話」が行われることになっております。こうした機会を通じて,安全な飲料水と基本的な衛生施設を継続的に利用できる環境づくりや水災害にも強い地域づくりについての議論が着実に前進することを期待いたします。

終わりに,今回の諮問委員会が,委員を始め参加された皆様にとって実り多いものとなることを心から願い,私のあいさつといたします。

第50回日本小児神経学会総会,第50回総会記念国際小児シンポジウムPartII,第50回記念式典
平成20年5月29日(木)(ホテル日航東京)

Address by His Imperial Highness The Crown Prince
on the Occasion of the ceremony celebrating the 50th meeting of the Japanese Society
of Child Neurology and the International Symposium
Thursday, May 29, 2008
Hotel Nikko Tokyo

Distinguished participants,
Ladies and gentlemen,

I am most pleased to have the honor of attending this ceremony celebrating the 50th general meeting of the Japanese Society of Child Neurology and the International Symposium, which is being held here today with many participants from inside and outside Japan.

I have been told that the Japanese Society of Child Neurology was founded in 1961, making it one of the oldest academic societies worldwide related to pediatric neurology, with the goal of studying and discussing issues of development, and wide range of neurological disorders afflicting children. Since then, this meeting has been held annually with very educational and productive discussions leading to extraordinary global contributions to the field, and of this you can all be very proud.

The 21st century has been called “The Century of the Mind” and the health of the human mind needs to be protected. As a father, I am constantly amazed by the day-to-day changes in my own child, and enormous potential that children have. Children, with their remarkable development and unlimited possibilities require medical approaches different from those applied to adults. I hope that every single child will be treated as a precious treasure. I also hope that all children will be protected, cherished and raised in the best possible environment.

I am concerned with recent news of the shortage of doctors, especially pediatricians, in Japan. It is with great confidence that I understand that all those present today have fulfilled their mission for the children and their families. It is my wish that in the future the many children and their families without exception will be delivered from their troubles and illnesses and that they may then be able to live healthy lives.

Finally, I would like to express my sincere hope that this congress will produce fruitful results and lead to further clinical and research developments in child neurology, and thereby contribute to the well-being of humankind.

Thank you.

平成20年度全国高等学校総合体育大会総合開会式
平成20年7月28日 (月)(さいたまスーパーアリーナ)

あいさつに先立ち,先月の岩手・宮城内陸地震により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,御遺族と被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。また,先週24日に発生した岩手県沿岸北部地震による被害者の方々にもお見舞いを申し上げます。このような災害からの復旧や復興が一日も早く進むことを願っております。

平成20年度全国高等学校総合体育大会「彩夏到来08(さいかとうらいぜろはち)埼玉総体」が,全国各地から多数の参加者を迎えて,武蔵野と秩父連山の豊かな自然に恵まれ,都市化が急速に進んでいるここ埼玉県で盛大に開催されることをうれしく思います。

選手の皆さんには,それぞれの競技において,日ごろ鍛えた力と技を十分に発揮し,お互いに友情をはぐくむとともに,地元の方々とも交流を深め,高校生活のすばらしい思い出をつくってください。

そして,この大会が,選手の皆さんの活躍と地元高校生の協力により,実り多い大会となることを期待いたします。

皆さんの御健闘を,心からお祈りいたします。

第29回オリンピック競技大会日本代表選手団結団式
平成20年7月28日 (月)(ザ・プリンス・パークタワー東京)

北京において開催される第29回オリンピック競技大会に参加される選手及び役員の皆さんとお会いできますことをうれしく思います。

選手の皆さんには,この度,日本代表選手に選ばれ,この結団式に臨まれたことを心からお祝いします。

アジアで3度目となる今回のオリンピックには,200を超える国と地域が参加して,史上最多の28競技302種目が実施されると聞いております。

この記念すべき大会に参加される皆さんが,スポーツを通して世界各地の精鋭と競い合い,そして友好を深められることを希望いたします。

選手の皆さんには,体調管理に十分留意され,競技の場に臨んでは,日ごろの練習の成果を存分に発揮されるよう願っております。

選手の皆さんの御活躍と御健闘をお祈りし,結団式に寄せる言葉といたします。

第11回世界内視鏡外科学会開会式
平成20年9月2日(火)(パシフィコ横浜)

Address by His Imperial Highness The Crown Prince of Japan
at the Eleventh World Congress of Endoscopic Surgery
September 2, 2008
National Convention Hall, Pacifico Yokohama

Distinguished participants and guests,
Ladies and gentlemen,

It is an immense pleasure for me to attend the Eleventh World Congress of Endoscopic Surgery here in Yokohama, and to welcome so many participants from Japan and overseas.

This year's congress marks the eleventh gathering of what is the world's oldest international conference in the field of endoscopic surgery. It is also the first time for the conference to be held in Japan since the Fourth Congress, which was hosted in Kyoto fourteen years ago. I have heard that endoscopic surgery has since then made rapid progress, and that this spectacular progress is expected to open up new paths in surgery.

As you know, endoscopic surgery is a comparatively new medical science that was developed as a minimally invasive form of surgery, and it is already being broadly applied in the treatment of various inflammatory diseases and cancers. Today, it plays a vital role in our battle against the illnesses that plague humankind, and in maintaining good health. In fact, I myself underwent endoscopic treatment last year to have a polyp removed from my duodenum, and thus from a patient's point of view, I can attest to the amazing advances that have been made in endoscopic surgery. As such, I fervently hope that all the medical professionals attending this internationally momentous conference will engage in animated discussions on the theme of “Innovation for Surgical Endoscopy and Harmonization with Open Surgery.”

In closing, I offer my heartfelt wish that this conference will bear fruitful results and that it will help to advance healthcare around the globe and that it will contribute to the wellbeing of humankind.

Thank you.

科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)第5回年次総会閉会式
平成20年10月7日(火)(国立京都国際会館)

Address by His Imperial Highness The Crown Prince
on the Occasion of the Closing Plenary Session of the Fifth Annual Meeting
of the Science and Technology in Society (STS) Forum
Tuseday, October 7, 2008
Kyoto International Conference Center, Japan

Your excellencies,
Distinguished participants,
Ladies and gentlemen,

I am very pleased to participate with you all in the Closing Plenary Session of the Fifth Annual Meeting of the Science and Technology in Society Forum.

I am told that this year again, extremely animated discussions took place in the past three days here in Kyoto, amongst experts and leaders who gathered from around the globe. Let me pay deep respect to the efforts of the many people whose commitment made this forum possible.

In recent years, the developments in life sciences and information communication technologies, among others, have been remarkable. Humankind has benefited greatly from these developments and their applications have totally transformed the economy, society and even the way we live.

On the other hand, the challenges facing science and technology in its relation with nature and humankind are growing greater than ever, and they raise questions such as whether the development of science and technology is in harmony with the laws of nature, or whether the fruits of technological innovation are equally shared among peoples.

It is not easy immediately to give clear-cut answers to these questions. However, the cost of failing to seek answers is just too overwhelming, and the very survival of the human race could be endangered. The least we can say is that humankind should continuously mobilize its utmost wisdom in order to ensure that science and technology is used appropriately to provide a bright future for our precious planet earth.

This international forum has already gathered five times, and a substantial track record is being accumulated. I believe that this year's meeting has been fruitful in showing tremendous results in bringing solutions to many of the issues faced by humankind while largely contributing to opening new horizons of science and technology.

I conclude by expressing my heartfelt wish that this important initiative will provide a beacon to guide us toward the sound advancement of science and technology that will benefit us all.

Thank you.

第8回全国障害者スポーツ大会開会式
平成20年10月11日(土)(大分スポーツ公園 九州石油ドーム)

第8回全国障害者スポーツ大会「チャレンジ!おおいた大会」の開会式に,全国各地から参加された多くの選手,役員,そして開催地である大分県の皆さんと共に出席できることを大変うれしく思います。

8回目となるこの大会が,大分国際車いすマラソン大会の開催など,障害者スポーツに積極的に取り組んでいる大分県で開催されることは,誠に意義深いことです。

選手の皆さんには,日ごろ鍛えた力と技を十分に発揮されるとともに,選手同士はもちろん,多くのボランティアを始め地元の方々との交流を深め,たくさんの良い思い出を作ってください。

今年の北京パラリンピック競技大会では,日本選手団のすばらしい活躍がありました。国民の間で障害者スポーツへの関心が高まっている中で開催されるこの大会が,今後の障害者スポーツのより一層の発展に寄与することを願っています。

終わりに,この大会の開催を支えてこられたすべての皆さんの努力に対して,心から敬意を表するとともに,参加された一人一人が,本大会のテーマにふさわしく,それぞれの目標に向かってチャレンジされることを期待して,私のあいさつといたします。

第32回全国育樹祭
平成20年10月26日 (日)(愛媛県武道館)

第32回全国育樹祭が,全国各地から多くの参加者を迎え,ここ愛媛県武道館において開催されることを喜ばしく思います。

本年は,昭和41年にこの地で行われた第17回植樹行事並びに国土緑化大会から数えて42年目に当たりますが,当時,多くの人々の手で植えられた苗木が,立派に育ち,久谷(くたに)ふれあい林となって,県民の皆さんに守り育てられていると伺い,喜ばしく思います。

昨日,私は,昭和天皇と香淳皇后がお手植えになりました杉の手入れを行い,杉が40数年の歳月の間に,力強く成長し立派な森を作っている姿に感慨を覚えるとともに,樹木は,苗木から長年にわたり愛情を持って守り育てていくことが必要であることを強く感じました。

ここ愛媛県は,面積の7割が森林と伺っており,美しく,緑豊かな自然に恵まれています。このすばらしい自然は,長年にわたり,守り育ててこられた林業関係者を始めとする県民の皆さんのたゆみない努力の賜物(たまもの)であると思います。

森林は,美しく豊かな国づくりの基礎であり,国土の保全,水源の涵養(かんよう)を始め,私たちに限りない恩恵を与えてくれます。今日,地球温暖化防止など地球環境の保全が人類共通の喫緊の課題であり,森林の果たす役割が重視されております。

こうした森林の大切さを思うとき,緑を守り育て,そしてそれをはぐくんできた技術や文化を次の世代にしっかりと引き継いでいくことは,私たちに課せられた大きな役割と考えます。

このような中で,本日表彰を受けられる方々を始め,日ごろから各地域において国土の緑化に尽力されている全国の皆さんに敬意を表するとともに,そうした活動が更に多くの人々により支えられ,発展していくことを期待します。

終わりに,この度の大会テーマ「育てよう緑あふれる日本の未来」にふさわしく,森林を守り育てる活動の輪が全国に広がり,緑あふれる豊かな自然が未来へと引き継がれていくことを願い,私のあいさつといたします。

第35回「日本賞」教育コンテンツ国際コンクール授賞式
平成20年10月28日 (火)(NHK放送センター)

第35回「日本賞(にっぽんしょう)」授賞式に,世界各国から参加された皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

教育は,過去の歴史や文化を受け継ぎ,現在の社会が抱える様々な課題を克服して,だれもが共に幸福に暮らすために,何よりも大切な営みです。教育の果たす役割を考えるとき,世界各国の様々なメディアを通じて,優れた教育番組や情報技術を活用した教育プログラムがより多くの人々に届けられることは,とても重要であると思います。

今年の「日本賞」では,これまでの43年の歴史の中で初めて,審査の対象が「教育番組」から「音と映像を用いた教育コンテンツ」に広げられました。同時に,世界59の国と地域の173機関から,史上最多となる293本もの作品と企画が参加し,新しい国からの応募もありました。

「コンテンツ部門」には,異文化理解や環境問題などの今日的な教育課題に,斬新(ざんしん)な手法で取り組もうとする作品も多く見られ,「シリーズ番組部門」には,放送を継続することによって教育効果を上げる意欲的な作品が見られたと伺いました。また「企画部門」には,教育の恩恵を広く行き渡らせたいと願う真摯(しんし)な提案が多かったと聞いています。

私は,毎年の「日本賞」を通じて,現代の世界が向き合う教育課題と,その克服に取り組もうとする人々の姿を見てきました。その御努力と熱意に,心から敬意を表します。これからも,「日本賞」が世界各地の様々な環境の下にある制作者の皆さんを力付け励ますために貢献していくことを期待します。

豊かな未来を築くために,教育メディアの果たす役割は大変重要です。世界から「日本賞」に集まった皆さんが,お互いの知識や経験を分かち合い,教育コンテンツの向上を目指して力を尽くされることは,誠に意義深いものであると思います。

「日本賞」教育コンテンツ国際コンクールが,今後とも一層発展していくことを願い,私のあいさつといたします。

第23回国民文化祭・いばらき2008開会式
平成20年11月1日 (土)(茨城県立県民文化センター)

常世(とこよ)の国筑波嶺(つくばね)()ける文化のいぶき」をテーマとする第23回国民文化祭の開会式に,皆さんと共に出席できることを,大変うれしく思います。

茨城県は,太平洋に臨む美しい海岸線を擁し,名峰筑波山,日本第2位の大きさを誇る湖,霞ヶ浦など,豊かな自然と風土に恵まれております。また,日本画の横山大観(よこやまたいかん),陶芸の板谷波山(いたやはざん),童謡詩人の野口雨情(のぐちうじょう)など多くの文化人を輩出してきました。

この茨城の地において,県内各地,全国各都道府県,さらには海外からも,様々な文化活動に取り組まれている方々を迎えて,第23回国民文化祭が開催されることは,誠に喜ばしいことであります。今回の国民文化祭の開催に向けて,関係者の皆さんが払われた努力に対し,心から敬意を表します。

近年,国民一人一人が心の豊かさや生活の質的向上を強く求めるようになり,文化に対する関心が一層高まってきています。このような中で,国民文化祭は,地域の特色をいかしながら,優れた伝統文化を継承し,新しい文化を創造・発展させる祭典として,大きな役割を担っていると思います。

特に,今回の国民文化祭では,茨城県内の複数の市町村が連携して催しを開催する「広域文化交流事業」,グリーン電力やバイオディーゼル燃料の利用を通じた環境への配慮など,新たな時代を見据えた取組が,多くの方々の工夫と参加を得て進められていると伺っています。

こうした取組を通じて,皆さんの間の交流の輪が広がるとともに,地域の文化が再認識され,この「国民文化祭・いばらき2008」が,大きな成功を収めることをお祈りして,私のあいさつといたします。

第11回全国農業担い手サミットinみえ
平成20年11月13日 (木)(三重県営サンアリーナ)

第11回全国農業担い手サミットinみえに,全国各地から参加された皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

農業は,人々の生命を支える食料の供給という重要な使命の外,緑豊かな自然や国土の保全,さらには地域社会の形成など,様々な面で大きな役割を果たしております。皆さんがこのような大切な農業の担い手として,現在の農業の発展や地域の振興に積極的に取り組まれていることを大変心強く感じます。

古い歴史と伝統文化を有するとともに,海陸の豊かな自然に恵まれた,ここ三重県で,皆さんが県内各地の地域交流会を通じ,互いの知識や技術を交換し合い,自らの経営を語るなど交流の輪を広げられ,将来の農業のあるべき姿を探求していかれることは誠に意義深いことと思います。また,昨今,食の安全や安心に対する国民の信頼を揺るがせる事柄も多く発生し,私も心を痛めています。国民の皆さんが,将来にわたって安全で安心な食料を,手にできることが望まれます。

最後に,この大会を契機に,皆さんの熱い思いが,更なる創造力と行動力を生み出し,様々な困難を克服して,将来に向かって日本の農業を力強く築いていかれることを願い,私のあいさつといたします。

日本PTA創立60周年記念式典
平成20年11月20日 (木)(ホテルニューオータニ)

日本PTA創立60周年記念式典に,全国から参加された皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

戦後間もない昭和23年,全国各地の小学校・中学校に,児童・生徒の心身の健やかな成長を願って,保護者と先生が協力する組織としてPTAが生まれました。

我が国の今日見られる発展に,教育の果たした役割には大きなものがありますが,PTAもまた発足以来60年間にわたって,子どもたちの教育の振興のため,多くの困難を克服しつつ,たゆみない努力を続けてこられたと思います。

本日表彰を受けられた方々を始め,これまでPTA活動を支えてこられた多くの関係者の皆さんの努力に対し,深く敬意を表したいと思います。

今日,青少年を取り巻く環境は大きく変化しつつありますが,次代を担う子どもたちの健全な成長のため,皆さんが今後も手を携え,家庭・学校・地域の懸け橋として,一層力を尽くしていかれることを期待して,式典に寄せる言葉といたします。

高円宮杯第60回全日本中学校英語弁論大会記念レセプション
平成20年11月22日 (土)(帝国ホテル)

高円宮杯全日本中学校英語弁論大会60周年に当たり,多くの関係者の皆さんと共に,この記念レセプションに出席できることをうれしく思います。

この英語弁論大会は,戦後間もない昭和24年に,英語を通じて国際的に活躍できる日本人を育成するために始まりました。それから60年がたち,この大会から社会に巣立っていった参加者たちは,産業界を始めとして幅広い分野で活躍していると聞いております。

私は,昭和49年の第26回大会,そして,その2年後の第28回大会のレセプションにも出席しました。私とほぼ同年代の中学生の皆さんが,熱心にスピーチをしていた姿が印象に残っています。本日も入賞者のスピーチを聴かせてもらうことを,とても楽しみにしています。自信を持って努力した結果を披露してください。

ここで一点,中学生の皆さんに,私自身の経験から,英語を通じて海外の人たちとの相互理解を深めるために必要なことを指摘したいと思います。それは,英語を上手に話せることの外に,皆さんの祖国である日本国の歴史と文化をよく勉強し理解して,それを英語を通じて話すことができるようになることが重要だということです。私は,この点を2年間のイギリス留学中特に強く感じました。

I should like to emphasize this point in English as well. In order to promote mutual understanding with people in different countries of the world through English, it is important not only to speak English well, but also to study the history and the culture of your native country, Japan, and to understand them, and to be able to talk about them in English. I became keenly aware of this point during my two years of study in England.

最後に,この大会を支えてこられた皆さんが,今後も引き続きこの大会を盛り立て,今後更に発展させていかれることを希望して,私のあいさつといたします。