主な式典におけるおことば(平成16年)

皇太子殿下のおことば

理科教育振興法制定50周年記念式典
平成16年1月17日 (土)(日本科学未来館)

1月17日を迎え,9年前の阪神・淡路大震災により亡くなられた方々に改めて追悼の意を表します。

理科教育振興法制定50周年に当たり,理科及び算数・数学教育のため,全国各地で日ごろ努力を続けておられる参加者の皆さんと共にこの記念式典に出席できることをうれしく思います。

理科教育振興法は,戦後の復興がなお続いていた昭和28年,国土も狭く資源も乏しい我が国において,豊かで文化的な国家を建設していくためには,科学技術の果たす役割が大きく,科学技術を支える人材の育成が重要であるとの認識の下に生まれた法律であると聞いております。

以来,皆さんのたゆみない努力によって,理科及び算数・数学教育は充実し,我が国の社会の進歩と発展に貢献してきました。今日の我が国の科学技術の高い水準や,国際的に高い評価を受けている多くの研究者や技術者の業績などは,その大きな成果と言えるでしょう。また,私自身を振り返っても,現在行っている歴史学の研究を続けていく上で,学校時代の理科,算数あるいは数学の学習を通して得られた合理的で科学的なものの考え方は,とても役立っていると思います。ここに改めて,この半世紀の間の皆さんの努力に対して,深く敬意を表します。

21世紀の新しい時代に,我が国が発展を続け,世界の繁栄に貢献していくためにも,理科及び算数・数学教育に更に多くの期待が寄せられていると思います。この分野の教育の更なる発展のため,皆さんが今後一層力を尽くしていかれることを期待し,式典に寄せる言葉といたします。

第59回国民体育大会冬季大会スケート競技会・アイスホッケー競技会開会式
平成16年1月28日 (水)(八戸市長根公園野球場)

第59回国民体育大会冬季大会スケート競技会・アイスホッケー競技会の開会式に,全国から参加された多くの選手,役員,そして地元青森県の皆さんと共に出席できることを,大変うれしく思います。

国民体育大会冬季大会は,第1回大会がここ青森県で昭和22年に開催されて以来,多くの関係者の熱意と努力に支えられ,スポーツの振興と国民の健康増進に大きな役割を果たしてきました。

昨年の冬,青森県で開催された「第5回アジア冬季競技大会青森2003」での日本選手の活躍ぶりは記憶に新しいものがあり,国民のウインタースポーツに対する関心も高まってきていますが,こうしたことも長年にわたるスポーツ振興の成果の現れと思います。

この大会に参加される選手の皆さんが,日ごろの練習の成果を十分に発揮されるとともに,お互いの友情をはぐくみ,地元の皆さんとの交流を深められることを期待しています。

豊かな自然に恵まれた,歴史と伝統のある,ここ八戸市を中心として開催される大会が,いつまでも皆さんの思い出に残る,実り多いものとなることを願い,あいさつといたします。

第49回青少年読書感想文全国コンクール表彰式
平成16年2月6日 (金)(東京會舘)

第49回青少年読書感想文全国コンクールで本日表彰を受けられた皆さん,おめでとうございます。

今回のコンクールにも,国内はもとより海外の日本人学校からの応募も含め,400万編を超えるたくさんの感想文が寄せられたと聞いております。青少年の「活字離れ」が心配される中で,これほどの多くの若い人々が,本に親しみ,心を動かされる体験をしていることを大変うれしく,また頼もしく思います。

私がこのコンクールの表彰式に出席するのは,平成2年から数えて8回目となります。皆さんの先輩に当たる受賞者の皆さんが,読んだ本について話すときの生き生きとした目の輝きが,毎回印象に残っています。本を通じて学んだこと,感じたことを一つの文章にまとめるということは,とても大変な作業だと思います。しかしその体験は,読書によって得られた感動をより深く心に刻み込み,いつまでも大切な財産として残ることでしょう。

皆さん,どうか今持っている若々しい感性と深く考える心を,いつまでも大切にしてください。そして,これからもたくさんの本を読んで新たな発見をし,豊かな心をはぐくんでいってください。私自身,皆さん方と同じ小学生から高校生のころを振り返るとき,良い本に出会う喜びを感じ,本に親しんだ日々を今でもとても懐かしく思い出します。皆さんがこれからも読書を通じて大きく成長されることを期待するとともに,このコンクールが今後一層発展していくことを祈って,お祝いの言葉といたします。

第15回全国「みどりの愛護」のつどい
平成16年4月24日 (土)(国営吉野ヶ里歴史公園)

弥生時代の景観の再現を目指して設置された,ここ国営吉野ヶ里歴史公園で開催される,第15回全国「みどりの愛護」のつどいに,日ごろからみどりの愛護活動に携わっておられる皆さんと共に,出席できることをうれしく思います。

我が国は古くから緑豊かな環境の中で,自然の恵みを受けながら文化を生み,はぐくんできました。また,豊かな緑は,私たちの生活に潤いと安らぎをもたらすとともに,地球温暖化の抑制や大気の浄化,災害の防止などの面でも大切な役割を果たしています。地球規模での緑の保全と育成が人類共通の課題となっている今日,緑を守り育てていくことは,私たちの重要な責務であると思います。

その意味でも,ただ今表彰を受けられた方々の緑の愛護活動への取組は,大変意義深いものであり,皆さんのたゆみない努力に対し深く敬意を表します。

今回のつどいを契機として,全国から参加された皆さんが相互に交流を深め,緑を守り育てる心を新たにされるとともに,そうした皆さんの心と活動を通じて,緑豊かで快適な生活環境づくりが一層発展することを願い,私のあいさつといたします。

第40回献血運動推進全国大会
平成16年7月15日 (木)(大分県立総合文化センター)

第40回献血運動推進全国大会に,全国各地から参加された皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

最近の献血の状況は,医療の需要にこたえるため成分献血及び400ミリリットル献血が定着し,年間約562万人の方々が献血されていると聞いております。

これは,本日,表彰を受けられた方々を始め,長年にわたり献血運動の推進に尽くしてこられた関係者の皆さんのご努力と,多くの国民の皆さんの協力の成果であり,大変心強く,喜ばしいことと思います。

我が国では,昭和39年に,輸血用血液を献血により確保する体制を確立するとの方針が決定され,その後国民の皆さんの努力により,40年を経た今日では,この目的は達成されております。また昨年7月には,国民の献血による血液製剤の国内自給を目指すことを盛り込んだ法律が施行され,この新たな目標に向かい,一層の取組が進みつつあると聞いております。

国民医療の重要な一翼を担う血液は,安全性が確認された上で,不足することなく安定的に供給されなくてはなりません。血液製剤を始め,血液のより一層の安全性・安定供給の向上を図るとともに,あらゆる事態に迅速に対応するため,日本赤十字社を始め関係者の皆さんに対する期待はますます高まっているものと思います。

献血運動は,多くの国民の皆さんに,献血への理解と協力をお願いすることを通じて,人と人とが支え合い,助け合う心をはぐくみ,多くの人道的行為につながっていくものでもあります。

ここ大分での大会を契機に,国民の皆さんの間に,献血への理解と協力がより一層深まり,献血推進運動の輪がますます広がっていくことを希望して,あいさつといたします。

第28回オリンピック競技大会日本代表選手団結団式
平成16年7月24日 (土)(東京プリンスホテル)

アテネにおいて開催される第28回オリンピック競技大会に参加される選手及び役員の皆さんとお会いできましたことを大変うれしく思います。

選手の皆さんには,この度,日本代表に選ばれたことを心からお祝いいたします。

オリンピック発祥の地,アテネへ帰る今回のオリンピックには,200を超える国と地域が参加して,史上最多の28競技301種目が実施されると聞いています。

この記念すべき大会に参加される皆さんが,スポーツを通して世界の精鋭と競い合い,そして友好を深められることを希望いたします。

終わりに,選手の皆さんには,体調管理に十分留意され,競技の場においては,日ごろの練習の成果を存分に発揮されるよう願っております。

選手の皆さんのご活躍を心よりお祈りいたします。

平成16年度全国高等学校総合体育大会総合開会式
平成16年8月1日 (日)(島根県立浜山公園陸上競技場)

平成16年度全国高等学校総合体育大会「中国04(ぜろよん)総体」が,全国各地から多数の参加者を迎えて,豊かな自然に恵まれ,神話と古代ロマンに満ちたここ島根県を中心に,中国5県で開催されることを喜ばしく思います。

選手の皆さんには,日ごろ鍛えた力と技を十分に発揮し,お互いに友情をはぐくむとともに,地元の方々とも交流を深め,高校生活のすばらしい思い出をつくられるよう願っています。

そして,この大会が,選手の皆さんの活躍と地元高校生の協力によって,実り多い大会となることを期待します。

皆さんのご健闘を心からお祈りします。

第16回全国農業青年交換大会開会式
平成16年8月26日 (木)(グランメッセ熊本)

第16回全国農業青年交換大会に,全国各地から参加された農業青年の皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

今,我が国の農業は,大きな変革期を迎えていますが,より安全で安心な食べ物を求めて,国民の農業に対する関心は,ますます高まっています。そのような中で,全国各地で農業青年の皆さんが,農業への夢と希望を持ち,生産技術や経営の改善に努め,活躍されていることを心強く感じています。

また,皆さんが,それぞれの地域で4Hクラブ活動などを通じて,共に交流を深め,農業・農村の若きリーダーとして,地域に貢献されていることを大変うれしく思います。

この大会に参加される皆さんが,古くからの歴史と豊かな自然を有する熊本で,新しい知識や技術を習得され,交流を深めながら友情の輪を一層広げていただくことを期待しております。

終わりに,熊本大会のスローガンである「緑豊かな火の国で未来を照らせ若き情熱の炎」にふさわしく,皆さんが大会を通じて,自信と誇りを持って,我が国の農業・農村の未来を語り合い,様々な困難を克服し,ゆとりと豊かさのある農業・農村の実現に努力されることを願い,あいさつといたします。

(注)4Hクラブ=農業青年クラブ

国際取引所連合東京総会ガラ・ディナー
平成16年10月13日 (水)(帝国ホテル)

Address by His Imperial Highness The Crown Prince
at the Gala Dinner of the World Federation of Exchanges
44th General Assembly
Wednesday, October 13, 2004
Imperial Hotel , Tokyo

Distinguished guests, ladies and gentlemen,

I am very pleased that the World Federation of Exchanges 44th General Assembly was brought to a successful conclusion with the participation of representatives from exchanges around the world.

Three centuries have passed since the first securities market was established in the 17th century with the modernization of national economies, and securities markets have now developed to the point that they are regarded as “national assets” which are indispensable to the social and economic activities of individual countries.

Exchanges have several important tasks as the centers of securities markets, which directly connect securities issuers with investors who offer funds. These tasks include encouraging the active and accurate disclosure of information by companies, as well as deepening the public's understanding of securities investment.

I myself have long had great interest in water transportation. Hubs of water transportation are centers of trade, and it is there that commerce flourishes and securities markets, which support economic activities in the field of finance, exist. In fact, adjacent to the place where the Tokyo Stock Exchange stands are commercial areas which have prospered through the ages, and canals still exist there. Nearby there was also a landmark bridge called Kaiun-bashi, or “Marine Transportation Bridge.” This is where the residence of the naval magistrate was located during the Edo Period. I find this fascinating.

In our world of today where the operations of securities markets cross borders and oceans and continue to broaden, I believe it is very meaningful that representatives of the leading exchanges in the world have convened to deepen mutual understanding. I hope that all gathered here today will make even further efforts toward developing securities markets from "national assets" into “global assets.”

Thank you.

第28回全国育樹祭
平成16年10月24日 (日)(徳島県立神山森林公園)

あいさつに先立ち,この度の台風23号を始めとする度重なる台風と,昨日の新潟県を震源とする地震により亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに,ご遺族,被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

第28回全国育樹祭が,全国各地から多くの参加者を迎え,ここ徳島県立神山(かみやま)森林公園において開催されることを,うれしく思います。

徳島県は,北は瀬戸内海,南は太平洋に面する美しい海岸線が続き,中央部に名峰剣山(つるぎさん)を擁し,さらには四国三郎の愛称で親しまれている吉野川が徳島平野を貫いており,水と緑の豊かな自然に恵まれています。このすばらしい自然を生み出す源となったのは,緑豊かな森林であり,これは,長年にわたり守り育ててこられた県民と林業関係者の皆さんのたゆみない努力のたまものであると思います。

森林は,美しく豊かな国づくりの基礎として重要な役割を果たすだけではなく,台風などの自然災害への備えとなり,また地球温暖化防止に貢献するなど,人々が安心して暮らしていく上でも,その役割はますます大きなものとなっております。

こうした森林の大切さを思うとき,緑を守り育て,そしてそれをはぐくんできた技術や文化を,次の世代に引き継いでいくことは,私たちに課せられた大きな役割であろうと考えます。近年,若い人たちや森林ボランティアなど幅広い国民の参加による森林の整備・保全活動が活発になってきていると伺い,大変うれしく思います。

このような中で,本日表彰を受けられる方々を始め,日ごろからそれぞれの地域において国土の緑化に尽力されている全国の皆さんに敬意を表するとともに,そうした活動が更に発展していくことを期待します。

終わりに,この度の大会のテーマ「広げよう 青い地球に 緑の大地」にふさわしく,森林を守り育てる活動の輪が,世界へ,そして未来へ広がることを願い,私のあいさつといたします。

第45回海外日系人大会
平成16年10月27日 (水)(憲政記念館)

世界各地から多くの参加者を迎え,第45回海外日系人大会が開催されることを喜ばしく思います。

本大会が昭和32年の第1回大会以来,日本と海外日系人との懸け橋として,大きな役割を果たしてきたことを思い,日系人の皆様と大会関係者の長年にわたる努力に敬意を表します。私はこれまで3回にわたりこの大会に出席してきましたが,この度10年振りに出席の機会を得たことをうれしく思います。

これまで私は,訪問した幾つかの国で,日系人の方々が地域にしっかりと根付かれ,それぞれの国や社会のために尽くしておられる姿を見てまいりました。それぞれの国の大統領を始めとする指導者からも,日系人の皆さんの尽力を高く評価するとのお話を伺い,うれしく思いました。

他方,近年多数の日系人の方々が就労のために我が国に滞在するようになりました。かつて我が国からの移住者がこれらの国々で受け入れられてきた歴史を顧みると,我が国においてもこれら日系人の方々が温かく迎えられることを望んでおります。

今や海外日系社会も三世,四世の時代となり,今回の会議のテーマからも窺(うかが)えるように,日系人の皆さんの課題も変化してきているものと思います。在住国において持っておられる様々な問題について,この大会で十分に話し合われ,意義ある成果が得られるよう期待しております。

終わりに,第45回を迎えたこの大会の成功と,皆さんの日本滞在が実り多いものとなることを祈り,大会に寄せる言葉といたします。

第19回国民文化祭・ふくおか2004開会式
平成16年10月30日 (土)(マリンメッセ福岡)

初めに,本年の度重なる台風と今般の新潟県中越地震により亡くなられた方々に深い哀悼の意を表するとともに,ご遺族と被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げ,これらの災害からの復旧が速やかに進むことを願っております。また,イラクでの人質事件についても心配しております。第19回国民文化祭の開会式に,皆さんと共に出席できることを,大変うれしく思います。

福岡県は,九州と本州,また日本と大陸を結ぶ接点に位置していることから,古くから人や文化の交流が活発に行われ,豊かな自然と風土,明るく開放的な県民性と温かい人情の上に,多彩で個性的な文化をはぐくんできました。

この福岡県において,県内96の全市町村参加の下,全国,さらには海外からも様々な文化活動に取り組まれている方々を迎え,国民文化祭が開催されることは,誠に喜ばしいことであります。ここに,関係者の皆さんが開催のために払われた努力に対し,心から敬意を表します。

近年,心の豊かさが,以前にも増して強く求められるようになり,国民の文化に対する関心が高まっています。このような中で,これまで各地で培われてきた文化や芸術・芸能などの価値を改めて見直し,その継承発展を図りながら,更に新しい文化を創造していくための契機として,国民文化祭は大きな役割を果たすものと思います。

この度,「飛梅に乗って広がれ 文化新時代」をメインテーマに,県内各地で開催される115の多彩な催しを通して,国内外の参加者と地元の皆さんとの交流の輪が広がるとともに,創造性に満ち,人間性豊かな新しい文化が花開いていくことを願い,あいさつといたします。

第31回「日本賞」教育番組国際コンクール授賞式
平成16年11月2日(火)(NHKホール)

第31回「日本賞(にっぽんしょう)」授賞式に,世界各国から参加された皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

「日本賞(にっぽんしょう)」は,1965年の創設以来,世界の教育番組の向上に大きく貢献するとともに,世界各国間の相互理解を深める役割を果たしてきました。

私は,1989年以来15年の間,「日本賞(にっぽんしょう)」の授賞式に出席し,世界の教育番組の発展を見てまいりましたが,その時代の課題を鋭くとらえ,新しい技術と豊かな表現を用いて多様なテーマに取り組む制作者の皆さんの熱意には,毎回深い感銘を受けております。皆さんの長年にわたるご努力に対し心から敬意を表します。

今年のコンクールには,3つの部門に234に上る企画と作品が参加し,とりわけ,昨年新たに設けられた「番組企画部門」には,昨年を大幅に上回る39の企画が,アジアやアフリカなどの国々から参加したと伺いました。いずれの部門の企画や作品も,それぞれの社会や地域の問題に正面から取り組み,また,文化や境遇の異なる人々の間の相互理解を促す優れたものと伺っております。

子どもたちをはぐくみ,豊かな未来を築いてゆく上で,放送番組の果たす役割には非常に大きなものがあります。これからも,「日本賞(にっぽんしょう)」が世界各地の様々な環境の下にある制作者の皆さんを力付け励ますために貢献していくことを大いに期待します。

「日本賞(にっぽんしょう)」教育番組国際コンクールが,今後とも一層発展していくことを願い,私のあいさつといたします。

「世界イネ研究会議」東京シンポジウム
平成16年11月4日 (木)(赤坂プリンスホテル)

「世界イネ研究会議」が,国内外の稲の研究者を始めとする多数の参加者を迎え,開催されることを大変うれしく思います。

米は,世界の半数以上の人々が主食とする優れた作物です。我が国においても,古くから米は日本列島に定着し,国民生活の安定の礎となってきました。美しい水田の景観は,日本の原風景となっています。また,田は水を貯(たくわ)えるダムの役割を果たし,土を守るとともに多くの生き物をはぐくんできました。近年,米を中心とした健康的な日本型の食生活は,国内外から高く評価されていると聞いています。日本の社会や文化は,米作りを原点として発展してきたと言っても過言ではありません。

国際連合において,本年は「国際コメ年」とされ,飢餓や貧困の削減における米の重要な役割について認識を高める取組が世界各国で行われています。その中で,科学技術面から,米の生産と利用や水田の多面的機能の果たす役割などを議論し,稲研究が進むべき方向を検討するこの会議の意義は,極めて大きいと思います。

世界各国の英知が集まったこの会議が,多様な視点からの活発な議論を通じて,世界の食料問題の解決と地球環境の保全に大きく貢献することを期待し,私のあいさつといたします。

第4回全国障害者スポーツ大会開会式
平成16年11月13日 (土)(熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)

初めに,本年は度重なる台風と新潟県中越地震により,各地で大きな災害が発生しました。被害を受けられた方々に改めて心からお見舞いを申し上げるとともに,災害からの復興が一日も早く進むことを願っております。

全国各地から参加された多くの選手,役員の皆さんと共に,第4回全国障害者スポーツ大会「彩の国まごころ大会」の開会式に出席できることを大変うれしく思います。

21世紀の幕開けとともに,国内最大の障害者スポーツの祭典として開催されることとなった全国障害者スポーツ大会は,今年はここ埼玉県で第4回の大会が開かれることとなりました。

今年のアテネパラリンピック競技大会での日本選手団の活躍は,すばらしいものがありましたが,この大会に参加される選手の皆さんも,日ごろの練習で身につけた力を十分に発揮されることを期待しています。また,選手同士の友情をはぐくみ,多くのボランティアの皆さんや地元埼玉県民の皆さんとも交流を深め,たくさんのよい思い出を作ってください。

さらに,この大会の開催を通じて,障害を持った方々の間で,一層スポーツが盛んになることを願っています。そのためには,障害者の皆さんのスポーツ参加を促進し,指導していく,適切な人材の育成がとても重要なことと思います。

終わりに,この大会の開催を支えてこられたすべての皆さんの努力に対して,心から敬意を表するとともに,参加されたすべての方々が,共に感動を分かち合えるすばらしい大会となることを願い,私のあいさつといたします。

産業教育120年記念式典
平成16年11月25日 (木)(国立オリンピック記念青少年総合センター)

産業教育120年の記念式典に,皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

我が国の産業教育は,明治初期にその基礎が確立されて以来,関係者のたゆみない努力によって,時代の変化に対応しつつ,内容を充実させてきました。こうした長年にわたる産業教育の充実が基礎となって,我が国の産業界が目覚ましい発展を遂げ,国民生活の向上に寄与してきたことは,大変喜ばしいことと思います。ここに改めて,産業教育に関係する皆さんの努力に対して,敬意を表します。

今日,我が国の産業経済は大きな環境の変化に直面しており,その更なる発展のために産業教育が大きな役割を果たすことが期待されています。今後とも関係される皆さんが力を合わせて,産業教育を更に発展させ,時代を支える人材の育成に貢献されることを願い,私のあいさつといたします。

第19回国際消化器外科会議開会式
平成16年12月8日 (水)(パシフィコ横浜会議センター)

Address by His Imperial Highness The Crown Prince
on the Occasion of the Opening Ceremony of the 19th World Congress
of the International Society for Digestive Surgery
Wednesday, December 8, 2004
Pacifico Yokohama , Kanagawa

Distinguished guests, ladies and gentlemen,

I am delighted to address the 19th World Congress of the International Society for Digestive Surgery being held here today with the attendance of many experts from both Japan and abroad.

The advancement of science and technology has indeed been phenomenal in the 21st century. In the field of digestive surgery, I understand that intensive efforts are being made to treat hitherto intractable diseases and minimize treatment burden on patients, making use of the most advanced science and technology in various fields.

All of you gathered here today, through your work in digestive surgery, have a vital role to play in maintaining people's health, and I should like to express my respect for your diligence and efforts in medical care as well as in basic and clinical research.

With the rapid progress in information technology in recent years, the latest knowledge and expertise in digestive surgery can be promptly shared among people in many different countries. Through this Congress, I hope that you will be able to pool your wisdom and knowledge in order to realize the most appropriate diagnosis and treatment based on the knowledge and expertise thus shared.

I would like to close by expressing my wish that this Congress will serve as a venue for fruitful study, international exchange and education for all those involved in the field of digestive surgery, and contribute to the improvement of health care around the world.

Thank you.