主な式典におけるおことば(平成13年)

皇太子殿下のおことば

第56回国民体育大会冬季大会スキー競技会開会式
平成13年2月18日 (日)(長野県飯山市城北グランド)

第56回国民体育大会冬季大会スキー競技会の開催に当たり,全国各地から参加された選手,役員,地元長野県の皆さんにお会いできることを,大変うれしく思います。

国民体育大会は,その半世紀を超える歴史の中で,多くの関係者の熱意と努力に支えられ,国民の健康増進とスポーツの普及に大きな役割を果たしてきました。

この意義ある大会に参加される選手の皆さんが,日ごろの練習の成果を十分に発揮されるとともに,お互いの友情をはぐくみ,地元の皆さんとの交流を深められるよう期待しています。

美しく豊かな自然に恵まれたこの飯山市において開催される「ながの飯山国体」が,いつまでも皆さんの思い出に残る大会となることを願い,私のあいさつといたします。

第34回太平洋小児外科学会議開会式
平成13年4月5日 (木)(京都府・都ホテル)

第34回太平洋小児外科学会が,世界小児外科学会連合との合同会議として春の美しい京都の地で開催され,我が国を始め世界の国々から参加された皆さんとお会いできますことをうれしく思います。

太平洋小児外科学会は,1968年に米国で初めて開催されて以来,太平洋地域における小児外科の分野の先進医療に関する学術交流の場として,小児医療の発展に貢献してきました。この間小児外科分野の治療法の進歩には目覚ましいものがあり,以前には考えられなかったほど多くの子供たちの命が救われ,健やかな成長が望めるようになってきていることは大変喜ばしく,関係の方々のこれまでの御努力に心から敬意を表します。

幼い子供たちの健康を守り,様々な病気の治療の可能性を追求していく上で,ここにお集まりの専門家の皆さんに寄せられる期待は極めて大きいものがあると思います。この学会において発表される多くの研究成果が,参加各国において病に立ち向かう親子に希望をもたらすものとなり,世界の小児外科学の更なる発展に寄与されることを願っています。

今回の太平洋小児外科学会が21世紀の展望を開く新たな船出の機会となることを願い,開会式に寄せる言葉といたします。

太平洋経済委員会第34回東京国際総会開会式
平成13年4月8日 (日)(ホテルグランパシフィックメリディアン)

太平洋経済委員会第34回東京国際総会の開会式に,我が国並びにアジア太平洋地域の国々から参加された皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

太平洋経済委員会は,アジア太平洋地域の発展と繁栄のために,各国が互いに協力することを目的として,1967年,日本を含む数か国の民間経済人によって設立されました。

それ以来,参加国も増え自由な貿易と投資の拡大の実現のため,民間経済人の立場から各国政府や国際機関に働きかけ,地域協力と経済発展に大きく寄与してこられたと聞いております。

今日,アジア太平洋地域の経済状況は34年前に比べ目をみはるものがありますが,この間,経済活動を実地に担っている民間経済人の方々が,直面する様々な問題の解決に英知を傾け,互いに協力してこられたことが大きく貢献していることは疑いありません。その意味でも,今後太平洋経済委員会の果たす役割はますます重要になっていくものと思います。

世界はかつてない勢いで相互依存を深めており,今日ほど各国経済が持つ特性をいかしつつ相互に協力することが必要となってきている時代はないと思います。アジア太平洋各国から集まられた皆さんが,21世紀を迎えたこの地域の経済の発展と社会的厚生の一層の向上のため,自由な発想と真摯(しんし)な対話を通じ,新たな活力に満ちた社会を築くことに貢献されることを願い,開会式に寄せる言葉といたします。

第12回全国「みどりの愛護」のつどい
平成13年4月22日 (日)(国営沖縄記念公園海洋博覧会地区)

第12回全国「みどりの愛護」のつどいに,皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

「みどり」は,私たちの生活に潤いと安らぎをもたらし,命の大切さを教えてくれるとともに,地球温暖化の抑制や大気の浄化,災害の防止など様々な面で大きな役割を果たしています。21世紀を迎え,地球規模での「みどり」の保全と育成が,人類共通の課題として重要性を増している今日,未来へ引き継ぐ重要な資産として,「みどり」を守り育てていくことは,私たちの責務であると思います。

その意味からも,ただ今表彰を受けられた方々の「みどり」の愛護活動への取組は,大変意義深いものであり,皆さんのたゆみない努力に対し,心からの敬意を表します。皆さんの活動により,「みどり」豊かで潤いに満ちた生活環境の形成が,一層進展することを期待いたします。

沖縄県は固有の歴史,伝統,文化を有するとともに,亜熱帯地域特有の植生に恵まれております。全国から集まった皆さんが,この沖縄固有の文化や自然に触れ,地元の皆さんとの交流を深められることは,非常に有意義なことであると考えます。

珊瑚礁(さんごしょう)の海に面し,「みどり」豊かな国営沖縄記念公園で開催される今回のつどいにおいて,全国から参加された皆さんが相互に交流を深め,「みどり」を守り育てる心を新たにされ,皆さんの熱意が,国内はもとより,全世界に広がっていくことを願い,私のあいさつといたします。

行政相談委員制度40周年記念式典
平成13年6月18日 (月)(東京国際フォーラム)

行政相談委員制度発足40周年を記念する式典に,皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

行政相談委員制度は,昭和36年に設けられて以来,相談委員の奉仕の精神に支えられ,国民と行政の懸け橋として着実な歩みを続けてきました。

現在全国には約5千人の行政相談委員の方々が委嘱され,各地で国の行政に関する相談に乗り,国民の立場に立って様々な助言を行ったり,苦情の解決や要望の実現に大きな役割を果たしておられると伺っております。

本日ここに表彰を受けられる皆さんを始め,発足以来40年間この制度の発展のため,ボランティアとして力を尽くしてこられた関係者の皆さんに対し,改めて心からの敬意を表したいと思います。

現在,国の行政においても様々な改革が進められていると伺っていますが,行政相談委員の皆さんに対しても,これまでにない新しい形の相談や要望が寄せられてくることと思います。重要な使命と役割を背負った相談委員の皆さんや関係の人々の一層の努力により,この制度が,明るく豊かな社会を築く礎となり,人々の福祉の向上に引き続き貢献していくことを願い,式典に寄せる言葉といたします。

独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター施設完成記念全国青少年総合フェスティバル開会式
平成13年6月21日 (木)(独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター)

本日,全国青少年総合フェスティバルの開催に当たり,皆さんと共に,開会式に出席できることを,うれしく思います。国立オリンピック記念青少年総合センターは,これまで年間延べ100万人に近い青少年や青少年教育関係者を受け入れ,青少年の健全な育成に大きな役割を果たしてきました。ここに,長年にわたる関係者のたゆみないご努力に対し,心から敬意を表します。

今日,日本の将来を担う青少年の健全な育成は,ますます重要になってきています。その意味からも,この度,センター施設の全面的な整備・改善が完成し,各種の活動を総合的に実施するための体制が整ったことは意義深いことと思います。今後とも,このセンターにおける活動を通じて,参加する青少年一人一人の人格の中に,自主性や協調性,公共心や国際性などが,培われていくことを期待いたします。

装いも新たになったセンターで,今日から3日間にわたって開かれるこのフェスティバルにおいて,日本各地から集まってこられた青少年及び青少年指導者,教育関係者の皆さんが,青少年交流や青少年教育の一層の充実・発展を図るため有意義な意見交換をされることを期待します。そして,このセンターが,我が国内外の多くの青少年に親しまれ,日本の中心的な青少年教育施設として,ますます発展していくことを願い,開会式に寄せる言葉といたします。

ユネスコ加盟50周年記念式典
平成13年7月2日 (月)(文部科学省分館 虎ノ門ホール)

我が国のユネスコ加盟50周年を記念する式典に皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

「人々の心の中に平和のとりでを築こう」という理想を掲げるユネスコ憲章の精神に共鳴し,我が国は昭和26年にユネスコに加盟しました。当時の我が国は,終戦からまだ6年,戦後の荒廃からの復興に皆で努力を重ねていたころですが,ユネスコへの加盟は,我が国にとり国際社会への復帰への第一歩として大きな意義のあることだったと思います。

ユネスコは第二次世界大戦後半世紀余にわたり世界の諸国民が互いに理解し,尊重し合う平和な国際社会の建設を目指して,教育,科学,文化など様々な分野での国際協力を進めてきました。その中にあって,我が国はこの50年の間,ユネスコの活動に積極的に参加し,特にアジア太平洋地域での識字教育の推進,ユネスコ世界遺産などの文化遺産の保護,地球環境や生命科学の倫理などの分野で大きく貢献してきたものと思います。また,ユネスコに加盟する以前より,我が国においては世界で初めてのユネスコ協会が活動を開始し,民間の草の根のユネスコ運動が活発に展開されてきたと伺っています。ここに半世紀を振り返り,我が国のユネスコ活動を推進してこられた数多くの方々の努力に改めて敬意を表したいと思います。

21世紀を迎え,国境を越えた人々の相互理解を築いていく上で,ユネスコの果たすべき役割はますます大きくなっていくと思われます。この機会に改めてユネスコ憲章の理想とその精神を胸に刻み,我が国のユネスコ活動が一層活発になることを願い,式典に寄せる言葉といたします。

第37回献血運動推進全国大会
平成13年7月19日 (木)(山口県スポーツ文化センター)

第37回献血運動推進全国大会に,全国各地から参加された皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

最近の献血の状況を見ますと,血液の安全性の確保や献血者の方々の負担の軽減などの見地から推進されてきた400ミリリットル献血及び成分献血がほぼ定着し,献血者の数もおおむね年間約600万人の規模で推移してきていると聞いております。これは血液を必要とする患者さんへの献血者の思いと行動の現れであり,大変心強く,喜ばしいことです。

国民医療の重要な一翼を担う血液は,安全性が確認された上で,いつでも国内のどこにでも不足することなく,安定的に供給されなければなりません。血漿(けっしょう)分画製剤については輸入に頼る部分があるものの,輸血用血液製剤のすべてと血液由来の凝固因子製剤のほとんどは国内献血で間に合っていると伺っております。これも本日表彰を受けられる方々を始め,関係者の尽力によるものであり,皆さんの努力に対し,深く敬意を表したいと思います。

このような重大な意味を持つ献血運動が,より多くの国民に理解され,広がってゆき,献血を通して人と人とが支え合い,助け合う気持ちが世の中に伝わっていくことは,何よりも大切なことであります。

人口の高齢化,少子化が進む中で,この山口大会を契機に,国民のみなさん,とりわけ若い人たちの献血への理解と協力がより一層深まり,世代,年齢を超えて献血運動が更に発展していくことを希望して,私のあいさつといたします。

平成13年度全国高等学校総合体育大会総合開会式
平成13年8月1日 (水)(熊本県民総合運動公園陸上競技場)

21世紀最初の大会となる平成13年度全国高等学校総合体育大会が,全国各地から多数の参加者を迎え,自然・歴史・文化共に豊かに恵まれたこの熊本の地で開かれることを,喜ばしく思います。

選手の皆さんには,それぞれの競技において,日ごろ鍛えた力と技を十分に発揮し,お互いに友情をはぐくみ,交流を深め,高校生活のすばらしい思い出を作られるよう願っています。

あわせて,この「ひのくに新世紀総体」が,選手の皆さんの活躍と地元高校生の協力によって,実り多い大会となるよう期待いたします。

皆さんの御健闘を心からお祈りいたします。

第13回全国農業青年交換大会開会式
平成13年8月22日 (水)(アスティとくしま)

第13回全国農業青年交換大会に,全国各地から参加された皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

農業は,人々の生命を支える食料の生産はもとより,自然環境の維持や国土の保全などにも大きな役割を果たしています。皆さんが,このように重要な農業の若い担い手として,農業青年クラブ活動などを通じ,地域社会の発展や農業生産に貢献するとともに,互いに経験をいかし研鑽(けんさん)に励まれていることはすばらしいことです。

今回,参加された皆さんが,温暖な気候と豊かな水に恵まれたここ徳島県において,日ごろ培われた知識や技術を交換し,交流される中で,農業の持つ多様な可能性について語り合い,農業の若い担い手としての誇りと自信を確かめ合い,将来を展望する新しい農業の在り方を探求していかれることを期待します。

最後に,皆さんが新しい感覚と豊かな想像力,たくましい行動力により,様々な課題を克服し,21世紀の日本の農業を着実に築いていかれることを願い,私のあいさつといたします。

第14回世界観光機関(WTO)大阪総会開会式
平成13年9月28日 (金)(大阪国際会議場)

第14回世界観光機関総会開会式に,皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

世界観光機関は,1975年の創立以来,観光に関する唯一の国際機関として,世界的規模での観光振興,自然や文化遺産と観光開発の調和,観光分野での技術協力推進などの面で活発な活動を続けてきました。今日,国境を越えた人々の相互理解を築いていく上で,世界観光機関の役割はますます重要になっています。

折しも,この度,米国において起きた悲しい事件で,極めて多くの尊い命が失われたことに,世界中の人々が強い衝撃と深い悲しみを受けました。ここに被害に遭われた方々に対し,心から哀悼の意とお見舞いを申し上げます。

この事件は,観光分野の将来を担う世界観光機関の関係者の皆さんにとっても大きな試練を与えたものと思いますが,この意味からも,今回の総会は特別な役割を担うものとなることと思います。

観光は,訪れる先の歴史,文化,自然との触れ合いを通じて人々の知識や関心を深めるとともに,異文化間の相互理解を増進し,地域の発展をもたらすなど,大きな意義を有しています。特に,世界の人々が互いに交流する国際観光の振興は,他国との相互理解の増進,国際親善,ひいては国際平和にも大きく貢献するものと思います。

大阪は,古くから商業・交易の都,世界との交流の窓口として栄え,都市と自然の調和を図りつつ豊かな文化を花開かせてきました。大阪を始めとする関西地方は,日本の様々な伝統文化の発祥の地であり,四季折々の自然の移り変わりとあいまって,観光資源の魅力にあふれた地域と言えるでしょう。今回,100か国を超える国と地域から集った皆さんが,この地方の文化や自然に触れ,交流を深められることは,非常に有意義なことであると思います。

今回の大阪総会が,21世紀という,地球規模での交流の時代にふさわしい国際観光の発展に向けて重要な足跡を残されることを願い,開会式に寄せる言葉といたします。

平成13年度21世紀ルネッサンス青年リーダー招へい事業青年賢人会議
平成13年10月9日 (火)(経団連会館)

Address of His Imperial Highness the Crown Prince
to the 21st Century Global Youth Conference

Tuesday, October 9, 2001
at Keidanrenkaikan

Ladies and Gentlemen,

Here at the beginning of the 21st century, as a new endeavor of the International Youth Exchange Program, I am pleased to be able to attend the 21st Century Global Youth Conference with you, the participants from Japan and 37 other countries.

The program of exchanges among the youth of the world was begun by the Japanese government 40 years ago, to commemorate the wedding of Their Majesties The present Emperor and Empress of Japan, and it has borne much fruit in promoting mutual understanding and friendship, and nurturing a capable generation with a sense for things international.

The present Global Youth Conference was planned as part of the program of exchanges to enable the assembled youths to organize a message from themselves to the world. I believe that this is a very timely endeavor.

I hope that the youthful leaders congregated here today will conduct lively discussions on the problems of the world from their fresh point of view, and compose a message that will mark the start of a bright new future for the 21st century.

GEA地球環境警鐘会議及びアジア太平洋環境会議の合同記念フォーラム開会式
平成13年10月13日 (土)(東京プリンスホテル)

国内外から多数の参加者を迎え,GEA地球環境警鐘会議及びアジア太平洋環境会議の合同記念フォーラムが開催されることを大変うれしく思います。

環境の世紀とも言われている新たな世紀を迎えた今日,人類がこの地球に生を受けて以来の長い歴史を振り返ってみますと,環境の恵みによって繁栄した文明の幾つかが,自ら環境に与えた影響によって,その基盤を崩していったことを知ることができます。ここに,私たちは,地球環境のかけがえのない大切さを知るとともに,その保全の難しさに思いを致さざるを得ません。

技術と経済活動の発展により,それまで自然との調和の中で生きてきた人間は,自然を変え,環境に大きな影響と負担を強いるようになりました。そのような中で,私たちは,今の社会を環境と調和のとれた持続可能な社会へと早急に改めていく必要に迫られています。

この重要な問題の解決のために,世界各国において,多くの人が協力し合い,様々な課題について精力的な努力を続けていますが,それが地球的な規模で広がっていることを知り,心強く思います。

今回のフォーラムにおいて,活発な議論が行われ,私たち人類が将来にわたって地球の恵みを享受し続けていくための貴重な情報が発信されることを願っています。それとともに,地球環境の保全のための取組が更に進んでいくことを願い,私のあいさつといたします。

平成13年度(第60回)全国産業安全衛生大会開会式
平成13年10月17日 (水)(日本武道館)

平成13年度全国産業安全衛生大会の開会式に臨み,各地から参加された皆さんにお会いすることができることを,大変うれしく思います。

戦後今日に至るまで,我が国経済の発展ぶりには誠に目覚ましいものがありますが,その陰には,働く人々の安全と健康の確保に携わる方々の,大変な尽力があったことを忘れてはならないと思います。本日表彰を受けられる方々を始め,この分野に携われた多くの関係者の長年にわたる貢献に対し,深く敬意を表します。

他方,このような努力にもかかわらず,職場における災害や疾病の発生が,長期的には減少傾向にあるものの,今なおかなりの数に上っていることは残念なことであります。さらに,近年,我が国の産業構造が大きく変化しつつある中,今後発生し得る新しい課題の解決のためにも,関係の皆さんの精力的な取組が期待されていると思います。

21世紀初の記念すべきこの大会で,皆さんの真摯(しんし)な討議と研究を通じ,大きな成果が達成されるよう願っています。それとともに,今後も皆さん方が労働災害の防止と安全衛生水準の向上のためにたゆみない努力を続け,健康で安心して働くことのできる快適な職場づくりに寄与していかれることを期待して,大会に寄せる言葉といたします。

第1回全国障害者スポーツ大会開会式
平成13年10月27日 (土)(宮城県総合運動公園宮城スタジアム)

全国各地から参加された多くの選手,役員の皆さんと共に,記念すべき第1回全国障害者スポーツ大会「翔(はばた)く・新世紀みやぎ大会」の開会式に出席できることを,大変うれしく思います。

この大会は,長年にわたり,障害を有する方々へのスポーツの普及に貢献するとともに,これらの方々に勇気と希望を与えてきた「全国身体障害者スポーツ大会」と「全国知的障害者スポーツ大会」が一つに統合されたもので,国内最大の障害者スポーツの祭典として,本日第1回の大会がここ宮城の地で開催されることになりました。

ここに,これまで開催の準備を進めてこられた,競技団体を始め多くの関係団体,そしてボランティアの方々の努力に対し心からの敬意を表したいと思います。

今回参加される選手の皆さんには,日ごろの練習で培った力を十分に発揮し,活躍されることを期待するとともに,お互いの,そして大会関係者やボランティアを含む地元宮城県民の皆さんとも友情の輪を広げ,たくさんの思い出を作られるよう希望します。

終わりに,この大会が,宮城県民の温かい協力の下に,21世紀の幕開けにふさわしい,実り多い大会になることを願い,私のあいさつといたします。

第16回国民文化祭・ぐんま2001開会式
平成13年11月3日 (土)(群馬県庁県民広場)

「生命の発見」を開催テーマとする第16回国民文化祭の開会式に,皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

群馬県は,三方にそびえる雄大な山々,中央部を南北に走る豊かな利根川の流れ,そして南東部には大きく広がる関東平野と,変化に富む自然の恩恵を受けています。群馬県の豊かな文化は,このような豊かな自然の中ではぐくまれてきたものと感じます。

この群馬の地で国民文化祭が開催され,日ごろから様々な芸術文化活動に取り組まれている方々が,国内はもとより海外からも多数参加されることは誠に喜ばしいことであります。ここに,開催のために払われた関係者の皆さんの努力に対し,心からの敬意を表します。

21世紀を迎えた今日,心の豊かさが以前にも増して強く求められ,多くの人々が芸術文化への関心を高めています。このような中で,我が国各地の伝統的な文化を継承しつつ新しい文化を創造する場として,国民文化祭の果たす役割には大きなものがあります。

この度,県内各地で開催される多くの催しを通じて,国内外の参加者と地元の皆さんとの交流の輪が広がるとともに,各地域の文化が再認識され,人間性豊かな文化が花開いていくことを期待し,私のあいさつといたします。

第28回「日本賞」教育番組国際コンクール授賞式
平成13年11月14日 (水)(NHKホール)

第28回「日本賞(にっぽんしょう)」教育番組国際コンクール授賞式に,皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

「日本賞(にっぽんしょう)」コンクールは,1965年の創設以来,教育放送番組の向上や国際社会における相互理解の増進に大きな役割を果たしてきました。本年は,初参加の3か国を含め世界50か国から175本の番組が寄せられ,これまでにも増して国際色豊かなコンクールとなったことを喜ばしく思います。国境を越えて人々の相互理解を深め,次代を担う子供たちの健全な育成を図ることが重要な課題となっている今日,世界規模で放送の教育的価値を競う「日本賞(にっぽんしょう)」の意義はますます重要になっていると考えます。

21世紀最初のコンクールとなる今年の「日本賞(にっぽんしょう)」では,世界の国々が抱える様々な今日的問題が参加番組に反映され,人間の心の大切さや命の尊さ,民族の相互理解を訴える番組が多く見られたということです。また近年,映像メディアの飛躍的な発達に伴い,教育分野でも,放送と連動したホームページが世界的に普及し活用されるなど,新しい動きが見られるようになっています。今年の「日本賞(にっぽんしょう)」では,こうした動きにも着目し,教育番組とマルチメディアとの連携による教育効果を競うマルチメディア・コンペティションが新たに設立され,多くの意欲的な作品が寄せられたと聞いています。ここに,放送が子供の成長や教育に与える影響の大きさを改めて思うとともに,世界の教育番組の制作に携わっている皆さんのたゆみない努力に敬意を表します。

国際社会が多様化,複雑化する中で,世界各国から集まった皆さんが,「日本賞(にっぽんしょう)」コンクールへの参加を通じて,今日の世界が直面する諸問題への認識を深め,共に考えることは非常に有意義なことであると思います。

今後とも参加者の皆さんが教育放送番組の一層の質的・技術的向上に向けて努力され,「日本賞(にっぽんしょう)」コンクールがますます発展することを願い,私のあいさつといたします。

第15回民間経済団体国際会議
平成13年11月15日 (木)(帝国ホテル)

日米欧及び豪州の民間経済団体が集まり,また,アジアからの参加者も加えて,「21世紀への新たな挑戦」をテーマに,第15回民間経済団体国際会議が,ここ東京において10年振りに開催されることをうれしく思います。

私は,10年前の開会式にも出席しましたが,その後もこの国際会議は順調に活動を続け,経済分野を中心とした国際交流に大きく貢献してきたと伺っております。この10年の間に我が国の経済状況にも,世界の経済状況にも大きな変化が見られましたが,21世紀を迎え,人類の相互依存関係は一層深まっており,経済の分野でも,相互理解を深め,友好関係をはぐくむことの重要性がますます高まっていると考えます。

現在,世界経済の前途には多くの問題が横たわっていますが,今回の民間経済団体国際会議において,平和で豊かな世界を築くために経済界の果たす役割について,活発な討議が行われ,21世紀の明るい展望を開く契機となることを期待いたします。

終わりに,海外から参加されている皆様の日本滞在が快適なものとなるよう願い,私のあいさつといたします。

全国公民館連合会創立50周年記念式典
平成13年11月16日 (金)(文部科学省分館 虎ノ門ホール)

全国公民館連合会創立50周年に当たり,公民館活動のため,全国各地で日ごろたゆみない努力を続けておられる参加者の皆さんと共にこの記念式典に出席できることをうれしく思います。

公民館は,戦後間もなく,地域社会における文化教養の中心施設として発足し,大きな役割を果たしてきました。21世紀を迎えて,私たちを取り巻く環境は大きく変化し,公民館に寄せられる要望も多様なものとなっていると思いますが,今日,全国の公民館で年間延べ2億人もの利用者が熱心に活動していることは,大変喜ばしいことです。本日表彰を受けられた方々を始め,公民館の活動をこれまで支えてこられた多くの関係者の皆さんの御努力に対し,ここに深く敬意を表します。

この記念すべき年を契機として,地域の人々に愛され,活発な活動の場となる公民館づくりのために,皆さんが一層力を尽くしていかれることを期待し,式典に寄せる言葉といたします。

第25回全国育樹祭
平成13年11月18日 (日)(鹿児島県)

第25回全国育樹祭が,全国各地から多数の参加者を迎え,ここ霧島山麓(さんろく)において開催されることを,うれしく思います。

鹿児島県は,北は霧島山系の山並みを望み,南には海を隔てて屋久島や種子島,奄美の島々が点在し,温暖多雨な気候の下,広葉樹から針葉樹まで多様で豊かな森林に恵まれています。

私も昨年,世界自然遺産の島,屋久島を訪ねる機会があり,その折,樹齢数千年に及ぶ屋久杉を始めとする豊かな森林を目の当たりにし,その生命力あふれるたたずまいに深い感銘を受けました。

森林は,人々の生活に潤いをもたらすのみならず,国土保全・木材資源の供給の面でも,私たちに限りない恩恵を与えてくれています。先人たちが長い年月をかけて大切にはぐくんできた森林を,更に豊かに育て,未来へと引き継いでいくことは,私たちに課せられた大きな責務であります。

21世紀を迎え,地球環境問題への関心が高まりを見せている今日,森林に期待される役割はますます大きくなっております。私たちは,改めて森林を守り育てることの大切さを心に刻み,社会全体で森林を支えていくことが重要であると思います。

本日,表彰を受けられる方々を始め,日ごろから育樹,育林など森づくりに取り組んでおられる全国各地の皆さんに敬意を表するとともに,今後とも一層の尽力を期待いたします。

終わりに,「育てよう 森の木 町の木 みんなの木」というこの度の大会テーマにふさわしく,国民一人一人が森林を守り育てる活動に参加し,森林と人とが共生する緑豊かな社会を築き上げていくことを願い,私のあいさつといたします。