主な式典におけるおことば(平成10年)

皇太子殿下のおことば

第107次IOC総会開会式
平成10年2月2日 (月)(長野県民文化会館)

長野オリンピック冬季競技大会に先立ち,国際オリンピック委員会の総会が我が国で開催され,世界各地から参集された皆さんをここにお迎えすることは,私の深く喜びとするところであります。

この機会に,これまで築き上げられてきたオリンピックの伝統と理想が更に高められ,世界の平和と福祉に一層貢献するよう心から願い,

ここに第107次国際オリンピック委員会総会の開会を宣言します。

第43回青少年読書感想文全国コンクール表彰式
平成10年2月4日 (水)(東京会館)

第43回青少年読書感想文全国コンクールで本日表彰を受けられた皆さん,おめでとうございます。

今回は,日本国内と海外の日本人学校からの応募を合わせて,400万編を超える感想文が寄せられたと聞きました。これほど多くの少年,少女が日ごろから本に親しみ,心を動かされる体験をしていることを,大変うれしく思います。

本を通して学んだこと,感じたことを一つの文章にまとめるということは,とても大変な作業であると思います。しかし,その体験はより深いものとして心に刻み込まれ,皆さんの財産となることでしょう。私も受賞作品の幾つかを読んでみましたが,皆さんが読書を通じ,また,感想文を書くことにより,自分の世界を広め,豊かな心をはぐくまれている様子が感じられました。

私がこのコンクールに出席するのは,今回で5回目です。毎回,受賞者が読んだ本について話されるときの目の輝きが,すばらしいと思います。

皆さんのみずみずしく感じる心をいつまでも大切にして下さい。そして,これからも,皆さんが読書によって豊かな知識を身に付け,大きく飛躍されるよう祈るとともに,このコンクールが今後一層発展していくことを願い,お祝いの言葉といたします。

第53回国民体育大会冬季大会スキー競技会開会式
平成10年2月25日 (水)(安比高原スキー場(岩手県))

第53回国民体育大会冬季大会スキー競技会の開催に当たり,全国各地から参加された選手,役員,そして地元岩手県の皆さんとお会いできることを,大変うれしく思います。

国民体育大会は,多くの関係者の努力と熱意により発展を続け,国内のスポーツの普及振興に大きな役割を果たしてきました。折しも,長野で行われた冬季オリンピック大会では,日本選手の活躍も目覚ましく,国民のウィンタースポーツへの関心はますます高まっています。

今回,この大会に参加される選手の皆さんが,日ごろの練習の成果を十分に発揮されるとともに,お互いの友情をはぐくみ,地元の皆さんとの交流を深められるよう期待しています。

豊かな自然に恵まれたこの岩手の地において開催される「いわて銀河国体」が,皆さんの思い出に末長く残ることを願い,私のあいさつといたします。

1998年パラリンピック冬季競技大会開会式
平成10年3月5日 (木)(エムウェーブ(長野県))

私は,ここに,長野において開催される1998年パラリンピック冬季競技大会の開会を宣言します。

第9回全国「みどりの愛護」のつどい
平成10年4月23日 (木)(国営備北丘陵公園(広島県))

本日,ここ国営備北丘陵公園において,日ごろから,緑の愛護活動に携わっている皆さんと共に,第9回全国「みどりの愛護」のつどいに出席できたことを,うれしく思います。

豊かな緑は,私たちの生活に潤いや安らぎをもたらすとともに,大気の浄化や大地における水の循環,災害の防止など,大切な役割を果たしています。このような自然の恩恵を享受し続けることができるよう,また,温暖化の進行を防止するためにも,地球規模での緑の保全,育成を進めていくことは,ますます重要な課題となっています。

中国地方のほぼ中央にあって,雄大な国兼池(くにかねいけ)を臨む緑豊かなこの丘陵地に集われた皆さんが,相互に交流を深め,中国地方の豊かな自然や文化に接することにより,緑を守り,はぐくむ心を,一層新たにされることと思います。そして,その心が,国内はもとより,全世界へと広がっていくことを期待します。

終わりに,ただ今表彰を受けられた方々のたゆみない努力に対し,深く敬意を表するとともに,このつどいを契機として,緑豊かな環境づくりが一層発展することを願い,私のあいさつといたします。

第51回世界新聞大会開会式
平成10年6月1日 (月)(ホテルオークラ神戸(兵庫県))

世界新聞協会の創立50周年の記念すべき年に,大震災から力強く復興しつつあるここ神戸において,内外から多数の参加者を迎え,世界新聞大会並びに世界編集者フォーラムが開かれることを,誠に喜ばしく思います。

世界新聞協会は,半世紀にわたり,責任ある言論と自主的な新聞経営の確立を目指しつつ,新聞の自由と倫理をうたい,活動を続けてこられました。国連の提唱する5月3日の「世界報道自由の日」の活動の端緒を開いたのも世界新聞協会であると聞いております。

皆さんが長年にわたり努力してこられた言論の自由の確立は,ユネスコ憲章にうたわれている「客観的真理が拘束を受けずに探求され,かつ,思想と知識が自由に交換される」社会の実現のために不可欠であると思います。ここに,長年にわたる世界新聞協会の活動並びに関係者の努力に,深く敬意を表します。

「ペンは剣よりも強し」ということわざは,日本でも広く知られています。この言葉の内容が実現して初めて民主的な社会が生まれると言えましょう。また,同時に,ペンの責任は極めて重大だということも感じています。ペンの自由が,ペンの力とその責任に対する自覚を伴うとき,真に公正な社会への道が開けるものと思います。

各種の情報伝達手段の発達とともに,メディアをめぐる環境は,大きく変化しつつありますが,新聞の役割には,今後とも,大きなものがあると思います。世界新聞協会加盟の各国新聞界が,国際理解や諸国民相互の理解を促進し,世界の平和と人々の幸せな生活のために,更に努力を続けられることを期待いたします。

私ごとになりますが,私はイギリスでの留学中,18世紀のテムズ川の水上交通の問題を研究いたしました。その折,18世紀当時にオックスフォードで発行された新聞をくまなく見,研究に大いに役立ちましたが,同時にその新聞が非常によく残っていたことに驚くとともに,舞い上がるほこりに200年の歴史を感じたことをなつかしく思い出します。

終わりに,この度の第51回世界新聞大会と第5回世界編集者フォーラムが大きな成果を収め,参加者の皆さんが有意義な経験を積まれることを望むとともに,様々な討議,交流を通じ,皆さんの間の友情の輪が更に広がることを願い,開会式に寄せる言葉といたします。

第34回献血運動推進全国大会
平成10年7月16日 (木)(福島県文化センター)

第34回献血運動推進全国大会に,各地から参加された皆さんと共に出席できたことをうれしく思います。

ここ福島県は,明治21年に磐梯山が噴火した際に,日本赤十字社が設立後初めて災害救護活動を行った地であると聞いております。災害時には,短時間のうちに多数の被災者が発生するとともに,医療機関など救護に当たる施設そのものに被害が及ぶこともあり,広い範囲での対応と協力が必要であると思います。先の阪神・淡路大震災の折には,全国的な規模で大勢の方々が献血に協力されたことは,記憶に新しいところであります。

最近の献血状況は,成分献血や400ミリリットル献血方式が定着しつつあり,年間延べ600万人にも及ぶ方々が,熱心に献血に協力されていることを,喜ばしく思います。

献血運動は,献血者の善意に支えられています。その善意にこたえていくためには,献血された血液が,安全性を確認するための厳しい検査を経て,患者の方々に供給されなければなりません。このような安全な血液の安定的な供給は,本日表彰を受けられた方々を始め,関係者の不断の努力により実現しているものであり,皆さんの尽力を深く多としたいと思います。

人口の高齢化,少子化が進む中で,若い人たちの献血への理解と協力がより一層進み,善意に支えられた献血推進運動の輪が,災害救護活動発祥の地であるここ福島から,全国各地へとますます広がっていくことを希望して,私のあいさつといたします。

平成10年度全国高等学校総合体育大会総合開会式
平成10年8月1日 (土)(香川県立丸亀競技場)

平成10年度全国高等学校総合体育大会「四国'98(きゅうはち)総体」が,全国各地から多数の参加者を迎え,瀬戸内海を望み,緑豊かなここ香川県を主会場として四国全域で開催されることを,喜ばしく思います。

選手の皆さんが日ごろ鍛えた力と技を十分に発揮されるとともに,この大会が大勢の地元の高校生の協力によって実り多いものとなるよう期待いたします。それとともに,皆さんが,「輝こう 今この時を 君たちと」のスローガンの下に,互いに友情をはぐくみ,地元の方々とも交流を深め,高校生活のすばらしい思い出をつくられるよう願っております。

御健闘を心からお祈りします。

第12回日本ジャンボリー大集会
平成10年8月5日 (水)(秋田県森吉山麓高原)

第12回日本ジャンボリーの大集会に,内外から参加されたスカウトの皆さんと共に出席できたことを,うれしく思います。

今回のジャンボリーは,「夢と感動」-森吉(もりよし)の自然を楽しもう- をテーマとしていると聞いております。豊かな動植物相をはぐくむブナの原生林に囲まれたこの高原において,皆さんが,大自然の恵みを実感され,自然を大切にする心をはぐくみ,将来への夢を育てられることを期待します。

私は,第7回以来,日本ジャンボリーに出席し,また,富士スカウトに進級された皆さんと毎年お会いしています。そのような機会に,外国スカウトとの交流の経験や,国際貢献活動への取組などについての話を聞き,スカウトの皆さんが,広い視野からの国際感覚を養われていることを知り,頼もしく思っております。また,皆さんが,後進の指導にも熱心に取り組まれている様子をうれしく思います。

世界スカウト運動は,昨年90周年を迎えましたが,この大会にも30を超える国々から多くのスカウトが参加されています。内外から参加されたスカウトの皆さんが,互いに交流を深め,ベーデン・パウエル卿の言葉“Looking winder”を実践することにより,21世紀を担う国際人を目指して,研鑽(さん)を積まれることを願い,あいさつといたします。

第10回全国農業青年交換大会開会式
平成10年8月26日 (水)(石川県産業展示館)

第10回全国農業青年交換大会に,全国各地そして海外から参加された皆さんと共に出席できることを,うれしく思います。

農業・農村は,食料の安定供給という大切な役目に加え,緑豊かな国土の育成と保全にも大きな役割を果たしています。このように人々の生活にとり重要な農業・農村を新たに担っていく農業青年の数が,この数年来,増加傾向にあると聞き,心強く思います。

国際化の時代にふさわしく,この大会には,海外11か国の農業青年の方々も参加されています。国・地域を越えて集まられた皆さんが,石川県の農業を見聞し,その豊かな文化に触れ,日ごろの活動の成果について幅広く意見を交換することにより,将来につながる交流を深め,友情の輪を広げられるよう期待します。

この度の大会を契機に,皆さんが,世界に目を向けつつ,柔軟な発想とたくましい行動力をもって,21世紀を展望し,活力に満ちた農業を築いて行かれることを願い,私のあいさつといたします。

第22回全国育樹祭
平成10年10月4日 (日)(とっとり出会いの森(鳥取県))

第22回全国育樹祭が,全国各地から多数の参加者を迎え,ここ「とっとり出会いの森」において開催されることを,うれしく思います。

鳥取砂丘や大山で知られている鳥取県は,日本海に面した海岸から中国山地に至るまで,松,杉,ブナがよく育ち,県土の約7割が森や林という美しい自然に恵まれた県と聞いています。私もかつて大山に登ったことがありますが,山頂付近に群生するダイセンキャラボクの美しさ,また木々の紅葉を背に北壁を望んだその景色のすばらしさに思わず息をのんだことでした。この自然を長年にわたる育樹を通じて今日まで大切に守り育ててこられた県民の皆さんの努力を,深く多といたします。

今日,地球環境の保全は,世界共通の大きな課題となっていますが,森林が地球の温暖化を防止する上で,大きな役割を果たしていることが改めて認識されております。このような観点からも,私たちが遠い祖先から受け継いできた貴重な森林を立派に育て,永く未来に遺(のこ)してゆくことは,私たちの大きな責務であると思います。

本日表彰を受けられる方々を始め,日ごろから森林の造成や育樹に取り組んでおられる全国各地の皆さんに敬意を表するとともに,今後とも様々な困難を乗り越え,更に努力されることを期待します。

終わりに,国民の一人一人が緑を守り育てることの大切さを深く認識し,「汗の育樹にかがやく未来」というこの度の大会テーマにふさわしく,かがやく未来を一歩一歩築き上げていくことを願い,私のあいさつといたします。

第30回国際小児がん学会開会式
平成10年10月5日 (月)(パシフィコ横浜)

Address by His Imperial Highness The Crown Prince
on the opening celemony of the 30th Meeting of the International Society of Paediatric Oncology
Monday, October 5, 1998
National Convention Hall, Pacifico Yokohama

Mr. President;

It is a very significant event for Yokohama to be hosting the 30th meeting of the International Society of Paediatric Oncology, the first meeting of this Society in Asia, which will bring together the foremost experts in paediatric oncology from around the world.

Progress in medicine has greatry improved the health of humankind. Smallpox has been eradicated, and the rate of infant mortality has dropped significantly, to cite but two salient examples. On the other hand we are faced with the sad fact that numberless children are still afflicted with cancer. But there is a silver lining to this cloud, in that the continuous efforts of paediatricians, paediatric surgeons, nurses, and social workers are steadily increasing the number of children's victories over this scourge. Particularly in the diagnosis and treatment of neuroblastoma, paediatric leukemia, and paediatric liver tumors, I am told that great progress has been made, and that much more can be expected.

Among the learned societies of the world, the International Society of Paediatric Oncology is relatively young, and was formed to meet the needs of the present-day world. I would like to encourage the participants to freely present and thoroughly discuss their state-of-the-art reserch and clinical techniques, in a concerted effort to aid the many children suffering from cancer and to raise ever higher the level of clinical care for these young patients worldwide.

第13回国民文化祭・おおいた98開会式
平成10年10月18日 (日)(大分県総合文化センター)

「21世紀へ 文化をおこす豊(とよ)の風」をメインテーマとする第13回国民文化祭の開会式に,皆さんと共に出席できることを,大変うれしく思います。

美しい自然と温暖な気候に恵まれ,伝統ある個性豊かな文化をはぐくんできた,ここ大分県において,日ごろから芸術文化活動に取り組んでいる人々を国内はもとより海外からも多数迎えて,国民文化祭が開催されることは,誠に喜ばしいことであります。

ここに,開催のために払われた関係者の努力に対し,敬意を表したいと思います。

私も幾度か大分を訪れる機会に恵まれ,臼杵(うすき)の石仏(せきぶつ)や熊野磨崖仏(くまのまがいぶつ),宇佐神宮や数々の仏閣などを巡り,遠き歴史に思いをはせつつ,その地域固有の伝統ある文化的遺産に深い感銘を受けたことを思い出します。

今日,心の豊かさを求め,国民の多くが文化への関心を強めています。このような中で,国民文化祭は,我が国の優れた伝統文化を継承し,新しい文化を創造する場として,大きな役割を果たすものと思います。この度の催しを契機に,各地域の文化の振興が一層促進され,我が国の文化がより豊かなものとなっていくことを期待しています。

終わりに,県内各地で開催される多くの催しを通じ,国内外の参加者と地元の皆さんとの交流の輪が広がり,この度のメインテーマにふさわしく,21世紀に向けて新しい文化の風が吹くことを期待するとともに,国民文化祭がますます発展することを願い,私のあいさつといたします。

日本消化器病学会創立100年記念式典
平成10年10月28日 (水)(東京国際フォーラム)

日本消化器病学会が,本年創立100年を迎えられたことを誠に喜ばしく思います。

明治31年に胃腸病研究会として学会が創設されたころは,我が国近代化の黎(れい)明期で,医学の分野においても,直接西洋で医学を学んできた人々が中心になって,近代医療体制の確立に向け大きな一歩を踏み出した,我が国における医学の転換点とも言うべき時期ではなかったかと思われます。そのような流れの中にあって,当時日本人に極めて多かった胃腸病の患者を救う,医療水準の向上を目指し設立されたのが胃腸病研究会であったと聞いております。以来100年の間に日本消化器病学会は幾多の困難を乗り越えて大きな足跡を残してきましたが,そのたゆみない努力と研鑽(さん)によって,今日,広く国民が世界においても優れた水準の医療を受けられるようになりました。ここに,長年にわたる関係者の努力に対し,心からの敬意を表します。

現在我が国では,かつて経験したことのない速度で高齢化が進んでおり,国民の健康を預かる医師並びに研究者の皆さんの果たす役割はますます重要になってきています。消化器病の分野においても治療体制の一層の改善のみならず,現在根治不能と見られている疾患に対する新しい治療法の確立,さらには食生活自体に着目した予防医学の前進など,今後とも日本消化器病学会が果たすべき役割は大きいものがあると思います。これからの新しい100年に向けて日本消化器病学会が人々の健康と福祉の増進のために,より一層力を尽くしていかれることを願い,記念式典に寄せる言葉といたします。

第34回全国身体障害者スポーツ大会開会式
平成10年11月7日 (土)(横浜国際競技場)

全国各地から参加された選手,役員の皆さんと共に第34回全国身体障害者スポーツ大会「かながわ・ゆめ大会」の開会式に出席できることを,大変うれしく思います。

この大会は,発足以来,障害を有する人々へのスポーツの普及のみならず,その方々の自立と社会参加の促進に,大きな役割を果たしてきました。また,多くの人々が,選手が熱心に競技する姿を眺め,あるいは,ボランティアとして運営に参加することを通じ,障害者への理解を深めてきました。ここに,長年にわたり,この大会の発展に尽くしてこられた数多くの関係者のたゆみない努力に,深く敬意を表します。

本年3月,長野で行われたパラリンピック冬季競技大会の折には,私は,開会式,閉会式に出席するとともに,様々な競技を見ることができました。アジアで初めて開催されたこの大会が多くの人々の協力の下,大きな成功を収めるとともに,日本選手団の目覚ましい活躍を目の当たりにした多くの国民が,障害者スポーツによって示される人間の限りない可能性に深く感動したものでした。この大会は,障害を有する人々にとどまらず,日本中の多くの人々に勇気と希望を与えました。

パラリンピック冬季大会と同じ年に行われるこの「かながわ・ゆめ大会」に参加される選手の皆さんも,日ごろの練習の成果を十分に発揮されるとともに,互いの友情をはぐくみ,地元の方々との交流も深められ,数多くの楽しい思い出をつくられるよう期待しております。

終わりに,この大会が,神奈川県民の温かい協力の下に,実り多いものとなることを願い,私のあいさつといたします。

全国高等学校体育連盟創立50周年記念式典
平成10年11月14日 (土)(ホテルグランドパレス)

全国高等学校体育連盟が,創立50周年を迎えられたことを,喜ばしく思います。

全国高等学校体育連盟は,戦後の学制改革とともに昭和23年に創立されて以来,高校生の体育・スポーツ活動の振興を通じて,青少年の健全育成に努めてこられました。この半世紀の間に,体育施設などの整備・充実が図られるとともに,高校生の競技能力は大きく向上し,各種の大会において,その活躍が大いに期待されております。

ここに,全国高等学校体育連盟が戦後の我が国の高等学校教育に果たしてきた大きな功績を多とするとともに,長年にわたる関係者の努力に敬意を表します。

21世紀を目前にした今日,高等学校教育を取り巻く環境も変わりつつありますが,全国高等学校体育連盟が,時代や社会の変化に対応し,たくましく未来を切り開く力を持った心身共に健康な若人の育成に向け,学校と社会との連帯を一層強めながら今後も活動されるとともに,我が国のスポーツの振興・発展にも寄与されることを期待し,50周年の式典に寄せる言葉といたします。

日・豪・ニュージーランド協会創立70周年記念パーティー
平成10年11月16日 (月)(パレスホテル)

日・豪・ニュージーランド協会創立70周年に当たり,皆さんと共に夕べの一時を過ごすことができることを大変うれしく思います。

近年,我が国とオーストラリア及びニュージーランドとの友好関係は著しく発展してきていると聞いております。中でも,特に若い世代の人々の交流が盛んになっていることは誠に喜ばしいことであります。

日・豪・ニュージーランド協会は古い歴史と伝統を持ち,その積極的な活動を通じて,我が国とオーストラリア,ニュージーランド両国との友好関係の増進に尽力してこられました。ここに,当協会の会員の皆さん方の長年にわたる努力に,深く敬意を表したいと思います。

総裁の桂宮殿下は,オーストラリアに留学された御経験をお持ちですが,私自身にとっても,オーストラリアは中学3年の夏に最初に行った外国として深く記憶にとどめられています。その折には,メルボルンでのホームステイや,エアーズロック登山を始め,いくつかの場所を回ることができました。私は今でもその折お世話になった方々のことを,また,頂いた温かいおもてなしの数々を懐かしく思い出します。

ニュージーランドはまだ訪れたことがありませんが,行き届いた自然保護により保たれている美しい山野があると聞いており,いつかは訪れてみたいと思います。また,日本の自然にも深い関心を示しておられるヒラリー卿に2度ほどお会いし,お話しする機会に恵まれたことは大きな喜びでありました。

21世紀を目前にして世界は大きく変化しつつありますが,国と国との関係においては,人の交流を通じ,互いに理解の度を深め,親善関係を強めていくことが大切であると思います。日・豪・ニュージーランド協会が今後とも,こうした点に基礎を置き,ますます広い分野での交流活動を展開されることを期待します。

ここにお集まりの皆さん方の御尽力によって,今後の日本とオーストラリア及びニュージーランド両国とのきずながますます深まり,様々な面での友好関係が一層広がっていくことを願い,お祝いの言葉といたします。

日本PTA全国協議会創立50周年記念式典
平成10年11月18日 (水)(ホテルニューオータニ)

日本PTA全国協議会創立50周年記念式典に,全国から参加された皆さんと共に出席できたことをうれしく思います。

PTAは,戦後間もない昭和23年の学制改革と共に,全国各地の小学校・中学校に,子供たちの心身の健やかな成長を願って,父母と先生が協力する組織として生まれたと聞いております。

我が国の今日の発展に教育の果たした役割には極めて大きなものがありますが,PTAもまた,発足以来50年間にわたって,多くの困難を克服しつつ,たゆみない活動を続けてこられました。

ここに,本日表彰を受けられた方々を始め,これまでPTA活動を支えてこられた多くの関係者の皆さんの努力に対し,深く敬意を表したいと思います。

今日,青少年を取り巻く教育環境は大きく変化しつつありますが,次代を担う子供たちの健やかな成長のため,皆さんが家庭・学校・地域の懸け橋として今後とも手を携え,一層力を尽くしていかれることを期待し,式典に寄せる言葉といたします。

第25回「日本賞」教育番組国際コンクール授賞式
平成10年11月20日 (金)(京王プラザホテル)

「日本賞(にっぽんしょう)」教育番組国際コンクールが,第25回という記念すべき年を迎え,世界の50を超える国々からの参加を得て行われたことを大変喜ばしく思います。

21世紀を目前にした現在,世界の多くの国が,困難な教育的課題を抱えていますが,それぞれの国において,様々な叡智(えいち)を集め,次の世代のために平和でより豊かな社会を築こうと懸命な努力がなされています。特に,最近の発達した映像メディアが子供たちに与える影響の大きさを考えると,質の高い教育番組を作る必要性はますます高まっていると思われます。

今年のコンクールに参加した170もの番組には,学力向上の基本的テーマを取り上げたものから,社会の複雑化の過程から生じている青少年育成の課題まで,教育をめぐる日常的課題を番組を通して解決していきたいという強い意志が込められているものが多かったと伺っています。ここに,教育番組の制作に携わっている各国の皆さんの日ごろの努力に敬意を表します。

教育番組の持つ可能性を更に追求していくために,世界の放送機関が互いにその成果と経験を分かち合うことは,誠に有意義なことであります。「日本賞(にっぽんしょう)」コンクールが,教育番組の質の向上に資するため,一層発展していくことを願い,私のあいさつといたします。

特殊教育120年記念式典
平成10年12月9日 (水)(日比谷公会堂)

特殊教育120年記念式典に臨み,全国から参加された皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

明治11年,京都に盲唖院が設立されて以来120年の歳月が流れ,特殊教育は多くの関係者のたゆまぬ努力により,様々な困難を乗り越え,今日の発展を迎えるに至りました。特に,昭和54年に養護学校の就学義務制度が実施されて以来,この20年近くの間に我が国において成し遂げられた特殊教育の内容の充実・発展には誠に目覚ましいものがあったと聞いております。

永年特殊教育に携わり,この度表彰を受けられた方々を始め関係の皆さんの御努力に対し,心からの敬意を表します。

特殊教育においては,障害のある子供一人一人の可能性を最大限に伸ばし,自立と社会参加を実現するため,その障害の種類や程度に応じ,手厚くきめ細かな教育を行うことが重要であります。この一人一人を大切にする特殊教育の在り方は,教育の原点ともいえるのではないかと思います。

間もなく21世紀を迎えますが,我が国の特殊教育が,このような視点を大切にしながら,更に内容の充実を図り,一人でも多くの子供たちに,より多くの幸せがもたらされることを願い,式典に寄せる言葉といたします。