皇太子妃殿下お誕生日に際し(平成20年)

皇太子妃殿下お誕生日に際してのご感想

平成20年12月9日(火)

昨年の誕生日以来,この一年は,愛子の幼稚園卒業,学習院初等科入学,皇太子殿下の夏の三度の外国ご訪問,東宮仮御所への移居などで瞬く間に過ぎたように感じております。

愛子の幼稚園生活を振り返りますと,愛子が先生方やお友達と楽しく過ごさせていただいたのは勿論のこと,私自身も折々に先生方やお母様方,そして,子どもさん達と温かい交流を持つことができましたことは,私にとり大きな力になりました。初等科入学後も,初めのうちは送り迎えを通して,そしてまた,授業参観や遠足,運動会などの様々な学校での行事を通して,新しく知り合った方々も含め,先生方やお母様方との交流が広がっていることを嬉しくありがたく思っております。

初等科入学後間もない頃は,ランドセルの開け閉め一つにも懸命に取り組まなければならない様子だった一年生の子ども達も,授業参観の回を経るごとに,生き生きと楽しそうに,授業や遊びに参加している様子を目にして,とても嬉しく思いました。先生方のきめ細かいご指導をありがたく思いながら,私自身も,愛子が新しい学校生活に順調に慣れ,楽しく充実した日々を送れるように手助けをしたいと思い,力を注いでまいりました。お陰様で,愛子には新しいお友達も沢山でき,先生方から温かいお心遣いを頂きながら,楽しく学校に通っていることを大変ありがたく思っております。

今年の夏には,皇太子殿下がブラジル,スペイン,トンガへと,三度にわたり外国をご訪問になりました。私はご一緒できず残念でしたが,8月には仮御所への移居もあり,慌ただしい中で夏が過ぎたという感じが致します。愛子が暫く体調を崩した時期もあり,私自身まだ十分とは言えない中で,殿下の外国ご訪問のためのお手伝いや移居の準備など,様々なことを乗り切るのはとても無理なのではないかと感じることもありましたが,東宮職をはじめまわりからの助けにより何とか無事に乗り越えることができ,安堵致しました。移居にあたっては,愛子も自分の荷物をまとめるなど,進んで協力してくれました。今は,移居後の生活も落ち着き,以前に殿下と新婚時代を過ごした仮御所で愛子も交えて穏やかな日々を送っております。

秋には,運動会など愛子の学校の行事もありましたが,公務も少しずつ幅を広げて行うことができるようになったように感じております。11月には,スペインの国王王妃両陛下を国賓としてお迎えしての歓迎行事に出席させて頂きました。このような式典に出席するのは久しぶりのことでしたが,天皇皇后両陛下よりお心遣いをいただきながらお陰様で無事に出席することができましたことを嬉しく,心よりありがたく思いました。また,他にもいくつかの異なった行事に出席できましたことも私にとり励みになるものでした。まだ全てのことを十分にできるわけではありませんが,少しずつ色々なことができるようになってきたように感じられ,今後もお医者様のご指導の下で一つ一つ努力を重ねていきたいと思っております。このような中で,皇太子殿下には,いつも温かく私を励まし,勇気づけてくださり,辛抱強く傍でお支えくださっていることに心より感謝申し上げます。

天皇陛下には,先週,ご不例によりご公務をお取りやめになられることがおありになり,ご案じ申し上げております。どうぞくれぐれもお大事に遊ばされますよう心よりお祈り申し上げます。天皇皇后両陛下には,これまで私の体調についてご心配くださり,温かくお見守りいただいているお心遣いに深く感謝申し上げます。

今年も日本の内外で様々な出来事があり,心の痛むことも少なくありませんでした。最近では経済が厳しい状況になり,多くの方が色々な面でご苦労されていることにも心が痛みます。そうした中で,国民の皆様が力を合わせて難しい状況を乗り越えていかれることを心から願っております。

国民の皆様より引き続き温かいお気持ちを寄せていただいていることは,私にとりまして大きな支えになっており,この機会に心から御礼を申し上げたいと思います。

皇太子妃殿下のお誕生日に際してのご近影