愛子内親王殿下一歳のお誕生日に際し皇太子同妃両殿下の文書回答(平成14年)

愛子内親王殿下一歳のお誕生日に際しての皇太子同妃両殿下の文書回答・妃殿下のお歌

皇太子同妃両殿下と愛子内親王殿下のお写真 愛子内親王殿下のお写真
皇太子同妃両殿下と愛子内親王殿下(東宮御所)
(写真:宮内庁)
問1 両殿下にお尋ねします。敬宮愛子さまは健やかに一歳の誕生日をお迎えになりましたが,最近のご様子はいかがでしょうか。これまでの間,日ごろどのように分担して子育てをされてきたのか,その中でのうれしかったこと,学んだこと,お互いのお父さん,お母さんぶりについて「育児を通じて変わった」と思われる点などエピソードを交えてお聞かせください。
ご回答

愛子が,この一年体調を崩すこともなく,元気に過ごし,一歳の誕生日を迎えることができたことを嬉しく思うとともに,誕生以来,多くの国民の皆さんから度々に寄せられたあたたかい祝意に対して心から感謝しています。

大変色々なことに興味を示し,好奇心旺盛で,とても活発です。

毎日の日課の中では,散歩と,絵本の読み聞かせ,お風呂が特に好きなように見受けられます。お風呂の中では,湯船につかるととても嬉しそうににっこりして,湯船の縁につかまり,蛇口にさわるなど大変興味を示し,満足の様子です。(勿論,この間,体は親が後ろから支えています。)その後抱いて,肩までお湯につからせ,1から例えば10まで数えて温まるようにすると,とても気持ちよさそうに静かにつかっていて,可愛らしく思います。お風呂は,私たちが入れられる日は,その日により,父親が入れたり母親が入れたりしますが,夜寝る前に親と一緒にお風呂に入ると安心するのか,その後,すーっと寝入ってくれます。育児は,離乳食をあげること,お散歩,絵本の読み聞かせ他遊び,お風呂など,それぞれ時間を見ながら2人で協力しながらしていますが,我が家では寝かしつけだけは,どうも母親のほうが適しているようです。父親は,遊んでくれる相手と信じているようで,父親が寝かしつけようとするとどんどん目が輝いてきてしまうようなので,以後父親による寝かしつけはあきらめました。

私たちにとり,公務の合間に子供と接したり,子供の世話をする時間は,心のなごむ楽しい一時になっています。公務などで子供の面倒を見られないときには,職員がよく協力して,手助けしてくれることにより,子供が順調に育っていることをありがたく思っています。

問2 両殿下にお尋ねします。敬宮愛子さまが一歳を迎えられたことを機に改めて養育についてのお考えと皇族としての教育についてお聞かせください。両殿下ともごきょうだいに囲まれて育たれましたが,敬宮愛子さまのごきょうだいについての考えはいかがでしょうか。
ご回答

まず,親として,愛子には幸せな人に育ってほしいということが第一の願いです。人を愛し,他人を思いやる広い心を持った人に育って欲しいと思います。そのためには,まず,親が必要な愛情を十分に注いであげることが大切だと思っています。また,何事においても,その時その時だけでなく,長い目で見てあげること,それは親自身についても,その時その時に満点の育児が出来ているかということでなく,長い目で見て,ゆとりを持って自分たちのことを見ることが大事なのではないかと思います。

マナーや社会のいろいろなルールについては,成長の段階に応じて,本人の可能性を良い方向に引き出すような形で教えていかれればと思います。例えば,最近では,手に物を持っている時に,私たちが「下さい」,「はい,どうぞ」などと声をかけると,にっこりして静かに手渡すことが少しずつできるようになってきました。そのような時は,「ありがとう」などと言って,ほめてあげるようにすると,喜んで,段々と自然にそういうことを覚えていくようです。まだ,自分ではきちんとした言葉を話しませんが,そのように,私たちの言っていることを分かってくれた時などは,とても嬉しく感じます。また,逆に,私たちからおもちゃなどを渡すとき,あるいは他の人が何かをしてくれたときなどには,例えば,「お父様(お母様)ありがとう」や「..さん,ありがとう」という言葉を,私たちが添えて,「ありがとう」という気持ちを自然に持つことができるようになればと,現在は心懸けています。(勿論,今後,きちんと叱ることも時には必要になってくると思いますが,)成長の段階に応じて,感謝の心,愛する心,人や命を大切にする心などを育んでいってくれるよう導いていくことができればと思います。

また,皇族としては,世の中を広く知って育ってほしいと思います。今の段階では,例えば,外の空気に触れる良い機会になればと思い,この秋,神宮外苑へ散歩に連れて行ったりしてみました。

これまで,両陛下はじめ皇族の皆様方に,愛子の成長をあたたかく見守っていただいていることを心からありがたく思います。これから愛子を育てていく上で,いろいろな方に導いていただき,たくさんのことを教えていただければと思っています。そのような中にあって,愛子の誕生と成長を心から喜んでくださっていた高円宮様が,先日,急にお亡くなりになったことを,私たちは,殊の外深い悲しみの中で受けとめています。

皇太子妃殿下お歌

乳母車おして歩めばみどり児は光あふるる空にまばたく

(うばぐるまおしてあゆめばみどりごはひかりあふるるそらにまばたく)

[生後3,4か月の頃]

子をつれて君と歩めば夕空に一番星ははやかがやきぬ

(こをつれてきみとあゆめばゆふぞらにいちばんぼしははやかがやきぬ)

あたたかく陽のさす庭に抱きいでてあどけなく笑ふ吾子の重たさ

(あたたかくひのさすにはにだきいでてあどけなくわらふわこのおもたさ)

[1歳近くになって]