主な式典におけるおことば(平成15年)

皇后陛下のおことば

平成15年全国赤十字大会
平成15年5月8日 (木)(明治神宮会館)

本日,全国赤十字大会に出席し,赤十字活動に携わっておられる大勢の方々とお会いいたしますことを,大変うれしく思います。

赤十字は,国際的な強い(きずな)で結ばれ,人道的事業を通じ,広く世界の人々の福祉を増進し,平和な国際社会を築くための力強い活動を続けておりますが,我が国においても日本赤十字社が,皆様の深い理解と尽力により,日々その使命を果たしていることを心強く思います。

今日,世界の各地ではいまだ紛争が絶えず,また,自然災害に苦しむ人々も多く,赤十字に寄せられる人道的援助の期待と要請は,今後もますます高まっていくものと思われます。

これからも,皆様が常に赤十字の使命に深く想いを致され,より一層力強い活動を,国の内外において進められますよう,切に希望いたします。

第39回フローレンス・ナイチンゲール記章授与式
平成15年6月19日 (木)(日本赤十字社)

このたび,髙橋令子さん,見藤隆子さん,永井敏枝さんが,赤十字国際委員会から,看護師として最高の栄誉であるフローレンス・ナイチンゲール記章を贈られました。3名の方々は,それぞれ看護の実践や看護教育に尽くされ,多数の看護師,看護指導者を育成されました。髙橋さんは,戦時においては戦傷病者や,広島の原爆による被爆者の看護など,傷ついた人々の苦痛を和らげ,命を守るために献身され,戦後は看護教育における先駆的な活動により,実習環境の整備や教育内容の充実に力を尽くされました。見藤さんは,大学における看護教育の確立と充実に尽力され,新しい時代にふさわしい,看護師育成のための教育体制の構築に貢献され,今も県立の看護大学学長として,日々学生の教育に当たっておられます。永井さんは戦後まもなく,基礎看護の教科書を(あらわ)し,基礎教育や継続教育の充実に努められ,看護教育のカリキュラムや国家試験制度の改正など,看護行政の整備の面でも大きな業績を残されました。

ここにお3方の,長年にわたる看護への献身と,たゆみない努力に対し,深く敬意を表し,このたびの受章を心からお祝いいたします。

苦しむ人々への思いやりと共に,優れた洞察力と見識を持つ皆様方の教育を受け,今日,多くの教え子が看護の様々な分野で活躍されていることを,心強く思います。

受章された皆様には,どうかくれぐれも体を大切にされ,これからも後進の育成のために力をお()え下さることを願い,本日の祝辞といたします。