天皇皇后両陛下のお歌

平成22年にお詠みになったお歌から

御製(ぎょせい)(天皇陛下のお歌)

石尊山登山
長き年の後に来たりし山のにはくさんふうろ再び見たり
大山千枚田
刈り終へし棚田に稲葉青く茂りあぜのなだりに彼岸花咲く
虫捕りに来し悠仁に会ひて
遠くより我妹わぎもの姿目にしたるうまごの声の高く聞え
遷都千三百年にあたり
研究を重ねかさねて復原せし大極殿だいごくでんいま目の前に立つ
奄美大島豪雨災害
被災せる人々を案じテレビにて豪雨に広がる濁流を見る

天皇陛下の御製について

第一首

天皇陛下は,皇太子時代にご家族でしばしば訪れた石尊山に,本年8月,秋篠宮ご一家とともに約30年ぶりにお登りになった。この御製は,石尊山山頂に当時と変わらずハクサンフウロが咲いているのをご覧になって詠まれたものである。

第二首

本年9月,天皇皇后両陛下は,千葉県で開催された国民体育大会ご臨席の機会に大山千枚田をご視察になった。この御製は,刈り終えた後に稲の葉が茂る棚田とあぜの斜面に咲くヒガンバナをご覧になって詠まれたものである。

第三首

悠仁親王殿下は,秋篠宮妃殿下とともに,虫を捕りながら皇居内生物学研究所から御所のお庭を通って,天皇皇后両陛下をご訪問になった。この御製は,両陛下が御所からお庭に出られた時に,悠仁親王殿下がお庭の向こうから皇后陛下のお姿を見つけ,声を上げられた様子を詠まれたものである。

第四首

天皇皇后両陛下は,本年10月,平城遷都1300年記念祝典ご臨席のため,奈良県をご訪問になった。この御製は,長年にわたる発掘調査とその研究成果を基に復原された第一次大極殿を訪れた時のことを詠まれたものである。

第五首

本年10月,鹿児島県奄美大島を激しい豪雨が襲い,死者を伴う大きな被害をもたらした。この御製は,被災した人々のことをお案じになり,テレビのニュースに映し出された災害の様子をご覧になった時のことを詠まれたものである。

第61回全国植樹祭(神奈川県)
雨の中あまたの人と集ひ合ひ苗植ゑにけり足柄の森に
第30回全国豊かな海づくり大会(岐阜県)
手渡せるやまめは白く輝きて日本海へと川下りゆく
第65回国民体育大会(千葉県)
花や小旗振りて歩める選手らに声援の声高まりて聞こゆ

皇后陛下御歌(みうた)

明治神宮鎮座九十年
窓といふ窓を開きて四方よもの花見さけ給ひし大御代おほみよの春
FIFAワールドカップ南アフリカ大会
ブブゼラの音も懐しかの国に笛鳴るごとにたたかひ果てて
「はやぶさ」
その帰路に己れを焼きし「はやぶさ」の光かがやかに明かるかりしと

皇后陛下の御歌について

第一首

本年,明治神宮鎮座90年祭にあたり,神宮からの願い出に応え,献詠された御歌。

明治天皇御製「たかどのの/窓てふ窓を/あけさせて/四方よもの櫻の/さかりをぞみる」をお心にもたれてお詠みになっている。

第二首

本年6月から7月にかけて,南アフリカ共和国においてFIFAワールドカップが開催された。ホイッスルの鳴るごとに戦いの終わるスポーツの世界の喜ばしさを詠われた御歌。

第三首

小惑星探査機「はやぶさ」は,小惑星イトカワにおいて試料を収集し,本年6月13日に地球に帰還を果たした。御歌は,長い宇宙の旅を終え,「はやぶさ」が煌々と輝きながら大気圏に突入した時のことをお詠みになったもの。