天皇皇后両陛下のお歌

平成21年にお詠みになったお歌から

御製(ぎょせい)(天皇陛下のお歌)

結婚五十年に当たり皇宮警察音楽隊の演奏を聞く
我がいもと過ごせし日々を顧みてうれしくも聞く祝典の曲
カナダ訪問
若き日に旅せしカナダ此度こたび来て新しき国の姿感じぬ
即位二十年の国民祭典にて
日の暮れし広場に集ふ人と聞く心にむる「太陽の国」
御所の庭にて
取り木して土に植ゑたるやまざくら生くる冬芽の姿うれしき
即位の頃をしのびて
さば如何いかにおぼさむベルリンの壁崩されし後の世界を

天皇陛下の御製について

第一首

両陛下の御成婚50年に当たる平成21年4月10日,両陛下は奉祝行事の続く中,宮内庁庁舎前の記帳所にお出ましになり,團伊玖磨氏がご結婚の際に作曲した「祝典行進曲」などを,記帳者と共にお聞きになった。この御製はその折のことを詠まれたもの。

第二首

天皇陛下には,昭和28年,エリザベス女王陛下の戴冠式にご出席の途次,カナダ国を訪問された。この御製は,今年の7月,56年ぶりに再訪されたカナダでのご印象を詠まれたもの。

第三首

この11月12日,天皇陛下の御即位20年を祝う「国民祭典」が皇居前広場で催された。両陛下は午後6時半過ぎに二重橋にお出ましになり,多くの人の奉迎に提灯でお応えになり,男性音楽ユニットエグザイルが歌う奉祝曲「太陽の国」をお聞きになった。この御製は,その時のことを詠まれたもの。

第四首

天皇陛下は,昨年,庭園課の職員に教えられながら,初めてヤマザクラの取り木をなさったが,成功しなかった。今年は10本の取り木を試みられ,そのうち2本は土に植えられ,しっかりした冬芽を宿し,生きていることを示している。この御製は,このことを詠まれたもの。

第五首

昭和天皇が崩御された年の11月,ベルリンの壁が崩壊し世界は大きく変わってきた。この御製は,昭和天皇が御在世ならばこのことについてどう思われただろうかと,即位の年に起きた大きな出来事を振り返って詠まれたもの。

第60回全国植樹祭(福井県)
生徒らの心を込めて作りたるくはを手に持ち苗植ゑにけり
第64回国民体育大会(新潟県)
地震なゐによるまが重なりしこれの地に人ら集ひて国体開けり

皇后陛下御歌(みうた)

カナダ訪問
始まらむ旅思ひつつ地を踏めばハリントン・レイクに大き虹立つ
宇宙飛行士帰還
夏草の茂れる星に還り来てまづその草の香を云ひし人
御即位の日 回想
人びとに見守られつつ御列おんれつの君は光の中にいましき

皇后陛下の御歌について

第一首

7月,カナダ国を訪問された天皇皇后両陛下は,オタワに到着されると,時差調整を兼ねて,週末をケベック州にある首相の夏期別荘であるハリントン・レイクで過ごされた。この御歌は,この地に到着された日の夕方の光景を詠まれたもの。

第二首

4ヶ月半に及ぶ国際宇宙ステーションでの長期滞在を終えて無事に帰還した若田光一宇宙飛行士が,帰還直後の記者会見で,ハッチが開いて草の香りがシャトルに入ってきたとき,地球に迎え入れられた気がしたと語った。この御歌はそのことを詠まれたもの。

第三首

平成2年11月,天皇陛下の即位の礼が執り行われ,正殿の儀に続き祝賀御列の儀に臨まれた両陛下は,柔らかい秋の日差しの中,10万人を越す人々の歓迎をお受けになりながら,赤坂御所までオープンカーでお帰りになった。その時の陛下の御様子を思い出されて詠われた御歌である。