天皇陛下のご感想(新年に当たり)

平成17年

昨年は自然災害が各地を襲い,大勢の人々が被災しました。厳しい冬を迎え,被災者のことが案じられます。また,経済情勢がまだ十分に良好な状況にはなく,人々の苦労を察しています。

海外では,紛争などにより,多くの命が失われ,非常に残念なことでした。それとともに,自然災害による犠牲も多く,特に,年末に起こった地震による津波は周辺の国々に大きな被害をもたらし,極めて多数の死者・行方不明者が生じたと報道されています。誠に痛ましいことです。12年前奥尻島などを襲った津波や,私の生まれた年に起こった死者・行方不明者三千人を超す被害を出したといわれる三陸地震津波などのことが思い起こされました。

今年は,阪神・淡路大震災が起こってから10年になります。ここに改めて皆で過去の自然災害を顧み,安全性の高い社会を築いていくことに務めることが大切であると思います。

年頭に当たり,国民の幸せを祈るとともに,皆が相互に,また,世界の人々とも相携え,世の平安と人々の幸せのために力を尽くしていくよう願っています。