三の丸尚蔵館 第84回展覧会について

1. 展覧会名

「正倉院宝物を伝える―復元模造の製作事業と保存継承」

2. 会期

令和元年7月13日(土)~9月1日(日)
           前期:7月13日(土)~8月4日(日)
           後期:8月10日(土)~9月1日(日)

  • 休館日:毎週月曜・金曜日
  •       展示替えの期間(8月5日から8月9日)

          ただし,7月15日(月・祝),8月12日(月・祝)は開館し,7月16日(火),8月13日(火)は休館します。

  • 開館時間:午前9時から午後5時45分まで(入館は午後5時30分まで)
  • ※9月1日(日)のみ午前9時から午後4時45分まで(入館は4時30分まで)
3. 概要

皇室と文化の関わりにおいて,1300年近くにも及んで伝世してきた正倉院宝物に対して,その保存や修理の歴史に皇室,宮内庁が果たしてきた役割は非常に大きいものがあります。奈良時代,光明皇后によって東大寺の盧舎那仏に献納された聖武天皇御遺愛の品々を中心として集積された宝物は,朝廷からの勅使の封,さらには天皇親書の封が宝庫の扉に付けられて保護される中,時には曝涼で,時には権力者によって開封されることがありました。

一方,江戸時代には宝庫の修理と宝物点検,宝物の修理等,宝物の保存への関心が高まり,明治時代には,政府による国内の文化財保存への積極的関与の方針を受けて正倉院宝物の調査も実施されました。明治16年からは毎年曝涼が行われることとなり,翌年から宮内省が宝物の管理を担当することとなって本格的に宝物保存の措置が講じられていきました。そして昭和20年代以降は,各種宝物の学術調査が実施されると共に,昭和47年からは宝物の材料や技法をできるだけ忠実に再現することを目的とした復元模造の製作が進められ,優れた製作技術が解明されることにもなりました。

さらに,平成の時代においては,上皇后陛下が大切に飼育されていた国産の古代種の蚕,小石丸による糸が,正倉院宝物の古代裂の復元において大きな役割を果たし,日本の文化財を後世に長く伝えていくうえで多大な貢献をしました。また,三の丸尚蔵館所蔵の鎌倉時代の絵巻の修理事業においても,小石丸の糸がその表紙裂の復元に活用されています。

そしてこの度,正倉院宝物の中でも特に有名な「螺鈿紫檀五絃琵琶」の復元模造が完成し,製作当初の姿が再現されました。小石丸の糸を頂戴して製作された絃が装着されたこの名品の復元は,現代の英知と技術の結集と言えましょう。

本展では,これら復元模造の品々を通して,素材や技術をも含めた日本文化の伝統を継承することの重要性とその意義を紹介します。

<主な出品作品>

展示№3 紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)
     原宝物:北倉13-2
     制作年:昭和53年
     制作者:吉田文之


展示№7 二彩鉢(にさいのはち)
     原宝物:南倉74
     制作年:昭和63年
     制作者:加藤卓男



展示№9 粉地彩絵八角几(ふんじさいえはっかくき)
     原宝物:中倉177-11
     制作年:昭和49~50年
     制作者:素地 坂本曲齋(二代)  彩色 山崎昭二郎


展示№12 螺鈿箱(らでんのはこ)12
     原宝物 中倉88
     制作年:昭和51~52,54年
     制作者:素地 川北良造  髹漆・加飾 北村大通  嚫 高田義男


展示№14 花鳥背八角鏡(かちょうはいのはっかくきょう)
     原宝物:北倉42-14
     制作年:昭和54年
     制作者:鈴木貫爾


展示№17 酔胡王面(すいこおうめん)
     原宝物:南倉1-木彫47
     制作年:平成14~15年
     制作者:(財)美術院 国宝修理所


展示№18 螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)
     原宝物:北倉29
     制作年:平成23~30年
     制作者:本体 坂本曲齋(三代)  象嵌 新田紀雲  加飾 北村昭斎・松浦直子


展示№19 琵琶袋(びわのふくろ)
     原宝物:南倉103
     制作年:平成3年
     制作者:(株)龍村美術織物


展示№23 赤地唐花文錦(あかじからはなもんのにしき)
     原宝物:南倉179-90
     制作年:平成14年
     制作者:(株)川島織物



このページのトップへ