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我が国の近代化推進に大きな役割を果たした国家的事業の一つに,全国各地で開催された博覧会があります。中でも明治時代に5度にわたって開催された内国勧業博覧会は,その名称のとおり,国内の産業発展を促進し,魅力ある輸出品目の育成を目的とした,政府主導による博覧会でした。明治天皇を始め皇室の方々も,これらの博覧会へお出ましになり,国内産業の奨励に努められました。 この殖産興業政策を象徴する催しであった内国勧業博覧会において,美術分野の出品も,他の出品物に劣らず多くの注目を集めることとなりました。当時の美術工芸品は,欧米のジャポニスム(日本趣味)の流行を受けて,有力な輸出品目とみなされていたからです。明治10年(1877)の第一回から明治36年(1903)の第五回の間における,我が国の美術界の状況と言えば,西洋から取り入れた新しい絵画手法である油彩画の登場を始めとして,洋風彫塑の移入や工芸分野での新技術や機械化の導入など,製作技法上の転換期を迎えていました。また,美術学校の設立や美術団体の組織化が進められたほか,各地で様々な展覧会が開催されるようになり,現在の私たちになじみのある美術の有り様に近い,制度的な枠組みが出来上がりつつありました。僅か25年間ほどの短い期間ですが,そのような美術をめぐる激動の時代の中にあって,それぞれの地域で 本展を通じて,明治という時代の息吹が込められた内国勧業博覧会の出品作から,当時の美術の特色に触れていただくとともに,皇室と博覧会との関わりについても注目していただく機会となれば幸いです。 展覧会図録(PDF形式:63.5MB) |