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虎や獅子は,古くから日本美術の意匠としてはなじみがありますが,実際には日本に生息せず,また想像上のものであったため,人々にとって身近な存在ではありませんでした。しかし,大陸から渡来した絵画などに表された勇ましく やがて,江戸末期から明治期になると,見世物や動物園などで本物の虎やライオンを見る機会が生まれ,実際の虎やライオンの生態に即した写実性の強い絵が描かれるようになりました。それらは近世以前の想像上の虎や獅子とは異なり,現実の動物としてより正確な姿を描き表すことによって,客観的にその野生の美をとらえようとしたものでした。またその一方で,東アジアで独自に形成された獅子の図様は,近世以前の伝統を継承しつつ新たな創意が加えられることによって,より力強い描写が生み出されるようにもなりました。 本展は,わが国の美術工芸品に表された虎と獅子,ライオンを集め,人々がそれらをどのように造形化し,時代を経るに従ってイメージがどのように変化していったのかをたどろうとするものです。寅年の本年も半分を過ぎましたが,時には恐ろしく時には愛らしくもある様々な猛獣たちの姿を鑑賞し,盛夏のひとときを涼んでみるのはいかがでしょうか。 展覧会図録(PDF形式:50.3MB) |