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古くから人間は,ひとや生きものの姿をさまざまな立体の像にかたちづくってきました。そして,これらは,今日ではあるものは彫刻,あるものは人形と呼ばれ,それぞれ親しまれています。 しかし,「彫刻」という言葉は,明治期以降にひろく使われるようになった新しい用語であり,明治初期には,人形以外の立体像のほとんどを「置物」と称していました。現在,三の丸尚蔵館に引き継がれている立体像のほとんどの作品名には,古くは「置物」という名称が付けられていたことがわかっていますが,これは,明治初期の日本人の立体像に対する考え方をそのまま反映してきた結果にほかならないのです。 これに対して,およそ明治のなかほどから,日本の美術界では西欧美術の考え方を受け入れることで,置物と彫刻を漠然と分けはじめるようになっていきました。 それでは,近代日本の置物と,西欧風の彫刻の違いはどこにあるのでしょうか。そして,両者を区別する考え方は,具体的には,どのような背景のもとで生みだされたものだったのでしょうか。実際には,近代日本の彫刻のなかには,置物と区別をつけることが難しい作品が少なくありませんが,これらは,どのように扱ったらよいのでしょうか。 本展は,こうした置物と彫刻をめぐる問題から出発しつつ,置物や彫刻と重なり合う分野の近代「人形」作品をも視野に入れて,近代日本の伝統派の彫刻作品の特質とその歴史的な意義を改めて考え直してみようとするものです。 展覧会図録(PDF形式:51.8MB) |